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「恩人訪問」リターンズ

2021.05.14

「小さな酒蔵応援団 革命君」店主、齋藤哲雄さんの訃報がまだ心の中を引きずっています。
今も時折、齋藤さんのあの笑顔が蘇ってきます。

そんな中、2年前に「恩人訪問」と名付けたこんな記事を書いたことを思い出しました。
よろしければご一読ください。

https://www.wadaryu.com/blog/archives/662.html

ちなみに齋藤さんと最後に会ったのは昨年2020年3月24日でした。
この日の午後、上田を訪問された齋藤さんは数蔵を巡ったあと、夜は上田市内の4蔵を囲んで酒談議に花を咲かせたのでした。
千鳥足の齋藤さんを21時過ぎの新幹線に乗せるべくみんなで上田駅の改札口まで送った、あの時の齋藤さんの笑顔を忘れません。

先日も、齋藤さんと懇意にされていた都内の鮨処のご夫妻がわざわざご来訪下さいました。
お互い初対面とは思えないほど会話が盛り上がり、楽しい時間が過ぎていきました。
齋藤さんが遺して下さった「ご縁」という大きな財産は、これからもずっと生き続けています。

サービスの温度差

2021.05.06

スターバックスによく行きます。

頼むのは大抵「ホットコーヒー」の「ショートサイズ」を「マグカップ」で。
税込み319円。

この商品の特典「One More Coffee」で、レシートを出せば2杯目は162円でお替りができるので、本を読みながらアツアツのコーヒーを2杯楽しむ毎回です。

私の街には3店のスターバックスがありますが、通っていると、お店によってサービスの温度が微妙に違うのが分かってきます。

表向きのサービスは同じです。
これはマニュアル通りです。

たださり気ない微妙なシーンで、それぞれのお店の温度差が如実に現れてくるから不思議です。

具体的には、市内のショッピングモールに入っている2店はいつも大変快適ですが、その反面ドライブスルーも付いたロードサイドの大型店は座席は快適ですがサービスのムラが頻繁に顔をもたげてきます。

以前このブログで、高校生がつまづいて、手に持っていたストロベリーフラペチーノを私が頭から浴びた顛末を書きましたが、この時とても気持ちのこもった温かな対応をしてくれたのはアリオ上田のスタバでした。

頻繁に「スターバックスラテ」を頼んでいた一時期、幾度となくハートのラテアートをさり気なくあしらってくれたのもこちらのお店の女性スタッフでした。

逆にロードサイドの大型店では、ブラックエプロン(格上)のスタッフが挨拶もなしに私のうしろに平然と客として並んでいたり、大好きなフレンチトーストを頼んだ際にいつものトレイもナイフもフォークもトーストを包んでいる紙ナプキンすらもこちらが言うまで用意されなかったり(意地悪されているのかと思いました)、ドライブスルーで妻のために「フラペチーノ」の「シトラス果肉追加」を注文したら、スタッフが私のドリンクを作りながら馴染みの客に「果肉追加」の意味を大声でフランクに教えているのが窓口越しに見えてきたり・・。
このお店は広さとシートが心地よいので行きますが、サービスは一切期待しなくなりました。

ちなみに昨日は、前述のアリオ上田内のスタバに行って「コールドブリューコーヒー」(アイスコーヒー)を頼んだところ、男性スタッフが「今日はいつものホットではないんですね。暑いですものね」と笑顔で語り掛けてくれました。
そのひとことがどれだけ心を解きほぐしてくれることか。

スタバに限らず、そのスタッフのひとことが心の内面から出た言葉か、あるいは上っ面の言葉かはすぐに分かります。
私も改めて肝に銘じたいと思います。

いつものあの店

2021.04.30

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平日の夕方、所用のため軽井沢へ向かいました。

コロナ禍の軽井沢。
人の姿はほぼ皆無です。
こんなに静かな軽井沢は、まるでオフシーズンの1月・2月を見ているようです。

そんな中で休息に立ち寄ったのは、旧軽井沢通りの一番奥にある、大好きな「茜屋珈琲店」。

名物の一枚カウンターの向こうから、いつものようにオーナーご夫妻が温かな笑顔で迎えてくれます。

ずいぶん前ですが、12月25日を過ぎても年賀状のデザインすら出来上がっていない中、ふと思い立って家族でこちらにお伺いして、クラシックな店内を背景に年賀状用の写真を撮らせて頂いたことがあります。
その節はわがままを聞いて頂いてありがとうございました。

さて、ゆっくり腰を落ち着けて珈琲をお願いすると、これまたいつものように、数あるブランドのカップの中からご主人が選んで、時間を掛けて丁寧に注いでくれます。

この日の1杯目はウエッジウッド。

店内の雰囲気、オーナーご夫妻のお人柄とあいまって、じっくり味わう珈琲の美味しさは格別です。

せっかくお伺いしたのでお替りを所望して、2杯目のカップはOKURA(大倉陶園)です(写真)。

軽井沢のホームに帰ってきた、そんな思いに浸って小一時間。
お店を出ると、まだ日が沈まない夕方の旧軽井沢はしんと静まり返ったままで、いつもとは違う残像を残していました。

緊急事態宣言

2021.04.23

今から15年ほど前、私の子どもたちが通う小学校で、児童に向けた薬剤師さんの講演会がありました。

私はちょっと嫌な予感がしていたのですが、案の定、その薬剤師さんは煙草とお酒の害に触れ、児童たちにその2つの存在を否定するような話をしたそうです。

お酒が悪いのではありません。
「未成年が飲酒すること」が悪いのです。

嬉しかったのは、直後に息子が先生に「お父さんはお酒を造っているのに今日の話は悲しかった」と言ってくれ、それに対して先生も素直に謝罪してくれた事です。

今回、3回目の緊急事態宣言が発令されます。

対象の4都府県には「飲食店の酒類禁止」を求めるそうです。

酒は悪くありません。
悪いのは飲む方のモラルの問題です。

お世話になっている飲食店の皆さんの顔を思い浮かべると、悔しくて泣けてきます。

齋藤さんが遺したもの

2021.04.19

facebookで突然「お友達申請」が届いたその方は、前回書いた「小さな酒蔵応援団 革命君」代表の齋藤哲雄さんがこよなく愛した、江戸川区にある「鮨K」のご店主でした。

「鮨K」は、生前の齋藤さんから「本当に素晴らしいお店だからいつか一緒にいきましょう」と幾度となくお誘いを受けていた1軒でした。

「承認」と共にお礼のメッセージを送った私に対し、先方からもすぐにレスを頂き、しばし齋藤さんの思い出話に花が咲きました。
今となっては齋藤さんとこのお店にご一緒できなかった事が悔やまれてなりません。

数日前には、日本酒愛好家として有名な東京在住のイラストレーターSさんからも、突然の電話がありました。
カウンターに乗った「和田龍登水」の写真付きです。

今どこで飲んでいるのかお伺いすると、大田区にある和酒バーTとのこと。
実はこのお店も齋藤さんが大変懇意にされたお店です。
Sさんのあと電話を代わったオーナーと、まだ私が未訪問である事が嘘のように、齋藤さんを思い返しながらふたりで長い会話が続きました。

いつもお世話になっている東京の地酒専門酒販店Kさんから届いた発注書の片隅には「和田くん、気を落とさないでね」とひとこと書いてありました。
齋藤さんと私の繋がりを知っているKさんからの温かなお言葉をしばし見つめながら、涙がこぼれそうになりました。

旧知の富山県の蕎麦屋店主からは、いきなり「ショックです」というメッセージが届きました。
「同じくです」と返した私にまたすぐにレスがあり、文章を交わしながら齋藤さんの悲しみと思い出話に暮れました。

齋藤さんが遺して下さった数え切れない程のたくさんのご縁は、これからも大切な財産として、ずっと守り続けていく所存です。

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