WOWOWで、昨年の大晦日に東京文化会館大ホールで行われた小林研一郎が指揮する「ベートーベン全交響曲連続演奏会2021」を観ました。
観ました、と言っても、ベートーベンの交響曲全9曲の演奏をノーカットで放映する訳ですから、席を離れることもありながらの、いわゆる「ながら見」です。
それでも第9番「合唱付き」の演奏が終わり、小林研一郎がカーテンコールに包まれる場面では、不覚にも大粒の涙を流し続ける自分がいました。
小林研一郎が大好きです。
学生時代から今日まで、彼のコンサートをどれだけ聴きにいったか、数え切れません。
十八番ともいえるチャイコフスキー、ベルリオーズ。
合唱が一体となって映えるモーツァルト「レクイエム」、オルフ「カルミナ・プラーナ」、マーラー「復活」そしてベートーベン「第九」・・・。
直近では上田のコンサートホール「サントミューゼ」で開催された、群馬交響楽団のチャイコフスキー「交響曲第4番」を聴きに行き、年齢をまったく感じされないパワフルかつ繊細な、あの小林研一郎ならではのタクトを堪能して参りました。
思い返せば30年近く聴き続け、見続けてきた小林研一郎。
そして14回目を迎える今年が最後と宣言した「ベートーベン全交響曲連続演奏会」。
そのクライマックスの「炎の第九」(小林研一郎の「第九」の通称です)と、そしてすべてを演奏し切ったあとの彼の汗にまみれた満面の笑顔を観れば、心が揺さぶられないわけがありません。
次はぜひまたライブでと、小林先生の次のステージを待ち望む自分がそこにはいました。
ひとつ余談です。
小林研一郎は大の将棋好きで知られています。
さて、私が学生時代、東京文化会館へマーラーの交響曲第2番「復活」を聴きに行った時のこと。
開演前、隣の席に見た顔が座っています。
「あの・・・人違いでしたら申し訳ありませんが、もしかして将棋の青野(照市)先生ではありませんか?」
(ニッコリ笑いながら)「はい、そうです」
「え~っ、私、大ファンなんです。A級順位戦(当時)、ぜひ頑張ってくださいね。応援しています」
「ありがとう。そうそう、あちらには大内(延介)先生もいらっしゃいますよ」
「え~っ!」
小林先生の将棋人脈も恐るべし、です。