お客様のお名前が弊社の銘柄「和田龍」と同じ、あるいは一部分重なっているとご連絡・ご注文頂くことが時折あります。
そんな時はご縁を感じて本当に嬉しいですね。
中には、それがきっかけで公私に渡る長いお付き合いとなったお客様もいらっしゃいます。
先日も、そんな関西のお客様から、お嬢様が仕事の関係で上田市を訪問されていると、リアルタイムでご連絡を頂きました。
こういう時こそ何はさておき駆け付けねばと、お仕事中の現場へと直行致しました。
お忙しいさ中でしたのでほんの数分しかお話しできませんでしたが、幼少の頃ご家族で上田遊びに来られた事を覚えて下さっていて、久方ぶりの再会に本当に感激致しました。
出会いの素晴らしさをしみじみ噛み締めたひとときでした。
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お酒の色
あけましておめでとうございます。
無理のない範囲で肩の力を抜いて始めたこの「雑記帳」ですが、思わぬ方面から「読んでるよ」コールを頂いたりして、緊張すると共に励みにもなっている今日この頃です。
これからも時間を見つけてアップしていきますので、よろしくお願い致します。
さて、今日の話題。
お酒を扱っていて、ここのところしみじみありがたいと思うのは、お酒には色がついていて当たり前という認識が広がってきたこと。
そう、お酒にはもともと色があるのです。
そして、お酒を熟成させればさせるほど、色も少しずつ増してきます。
一方で、お酒の製成過程には「活性炭ろ過」というものがあります。
これは、搾ったあと、炭素の粉末の表面に空いた大小さまざまな多数の孔(あな)に、お酒の着色物質や雑味・雑臭成分を吸着させて除去し、品質をきれいにし安定させる技術です。
ただし、ここで活性炭を使い過ぎると、お酒の良い香りや味わいまで失われてしまうどころか、お酒の個性そのものが奪われ平坦な酒質になってしまう、いわば「活性炭ろ過」は両刃のつるぎなのです。
ですので、最近はこの「活性炭ろ過」は極力抑える方向にあります。
そこには、搾った時の状態にできるだけ手を加えたくないという思いがあります。
ちなみに、最近よく見られる「無ろ過」というお酒は、この「活性炭ろ過」をしていない、という意味です。
正直言うと10年ほど前は、お酒に少しでも色があると、お客様から直接苦情が来たなんて経験もしました。
でも今は、お酒に色があるのは自然なこと、そう思って頂けるので、こちらとしても胸を張って出荷できます。
そしてそれは蔵元だけでなく、このような知識を少しずつお客様に伝えて頂いた酒販店さんのお力が大きいと感謝しています。
「丸本酒店」さん
上田市から車で約1時間、長野市の隣に位置する須坂市、その駅前通りに「丸本酒店」さんはあります。
店主の水本さんは、以前このブログに登場した「酒の春日」さんともども、私がこの業界に入った時からの師匠格の存在です。
師匠といっても私より数歳だけ年上の兄貴分なのですが、その豊富な知識と柔和なお人柄、そして日本酒・ワインなど水本さんならではの独自の商品構成で、県内に留まらず数多くのファンを獲得されていらっしゃいます。
上の写真は、水本さんがお店に入られた直後ですから今から15年以上前でしょうか、何とご自身で設計・製作されたワインセラー。
2枚目の写真は、つい最近完成した、店内に飾ってあるエッフェル塔の模型、実はこれ全部マッチ棒でできています。
このように、店内はお酒のみならず、お人柄が反映された心躍る水本さんワールドが全開です。
文七元結
昨日は、午後3時半の新幹線に飛び乗って東京へ行き、最終の新幹線で上田へ戻ってくるという、東京滞在時間4時間の強行軍でした。
で、どこへ向かったかというと、上野の鈴本演芸場。
そう、都内に4箇所ある寄席のひとつです。
お目当ては「金原亭馬生(きんげんていばしょう)一門会」。
数年前に十一代として名跡を継いだ馬生師匠とは、毎年恒例「和田龍・新酒を味わう会」に続けてご出演頂いてからのご縁で、その艶のある完成された芸に私自身すっかり虜になってしまったのでした。
さて、招待券を握り締めて駆けつけたその「一門会」、お弟子さんたちが立て続けに高座を努めたあと、トリで登場した馬生師匠の演目は人情物の名作「文七元結」。
一時間近くに及ぶ熱演はそれはそれは素晴らしいもので、クライマックスの娘が戻ってくる場面では、落語を聴いて涙が止まらなくなるという初めての経験までしてしまいました。
どの世界でも、一級品は心を豊かにしてくれるものですね。