「Libiamo(リビアーモ)」、上田市の夜の繁華街、袋町のほぼ中心にあるレストラン・バーです。
オーナー兼バーテンダーの坂田さんは若干24歳でこの店を立ち上げ、今年で9年目を迎えます。
このお店の素晴らしさは、何よりもハードとソフトが合体した居心地の良さ。
カウンターや専用のクーラーにびっしりと居並ぶ豊富なお酒はもちろんの事、カクテルの作り方からビール一杯の注ぎ方に至るまでのこだわり、「レストランバー」の名前に恥じない彼自身の手による料理の数々、これらがその都度手を変え品を変え、さり気なく提供されます。
そして、その時々でお客が望む距離感でオーナーの坂田さんが接してくれる、その心地良さも特筆ものです。
しっかりとディナーを摂りたい方にはそれに相応しい料理と空間を、アフターディナーに酔いたい方にはそれに応じたお酒と余韻を、このお店は提供してくれます。
状態の良いフロマージュやシガーをしっかりと用意してくれているのもファンにとってはありがたい。
かくいう私も、しこたま飲んだそのあとに、その日の締めの一杯を求めて、つい足が向いてしまうのです。
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Restraunt Bar Libiamo
日本酒の酸
日本酒の味わいの決め手のひとつは「酸」であると言われていますし、私自身そう思っています。
「酸」の特徴によって、そのお酒の味わいはがらりと変わってきます。
それでは、日本酒の「酸」とは一体どんなものなのでしょう?
お酒が育っている「もろみ」の中で、「酸」は酵母によって生成されたり、麹から溶出されてきます。
その「酸(詳しくは「有機酸」)」とは、具体的に「乳酸」「コハク酸」「リンゴ酸」「クエン酸」の4種類です。
まず「乳酸」ですが、清酒中に最も多く含まれる酸です。
そしてこの乳酸は、お酒の生育中に細菌の増殖を防ぐ大変重要な役割を担っています。
この乳酸を自然に生成させるか(「生もと系」)、あるいは人工的に添加するか(「速醸系」)で清酒はふたつに大別できます。
味わいとしては非常に強い酸味を持っています。
「コハク酸」は「乳酸」と並んで、やはり清酒中に最も多く含まれる酸です。
旨みのある特有の酸味で、お酒の味わいを作る大切なファクターのひとつです。
「リンゴ酸」は乳酸・コハク酸に次いで多く含まれる酸で、その名の通りリンゴやブドウなどの果実に含まれている、爽やかな味わいの酸です。
「クエン酸」はレモンなどのかんきつ類に多く含まれる酸で、ご想像の通り「すっぱい」味わいの酸です。
ひとえに「酸」といっても、上記の通りそれぞれが特有の風味を持ち、実際に味わってみるとその違いに驚きます。
これらの酸が組み合わさったバランスの上で、日本酒の味わいの一角は決まっていくのです。
日本酒の保存管理
日本酒をどのように保存するのがいいのでしょうか?
これはよく言われる通り、温度変化が少ない、涼しくて日光の当たらない環境が望ましいです。
では、それは何故なのか、簡単に説明します。
日本酒の品質の変化は、清酒中のアミノ酸等の化学反応によるものですが、お酒の温度が10℃高くなるとその化学反応は2倍の速さで進むといわれています。
具体的には進行が進むと、味わいは苦味を増し、香りは「老香(ひねか)」と呼ばれる独特の匂いが感じられるようになります。
同じくお酒の温度が10℃上がると、やはりアミノ酸の化学反応で、着色も3~5倍の速さで進み、やがて茶褐色を帯びてきます。
着色に関して言えば、直射日光も大きく影響します。
これは清酒中のアミノ酸の一種や、清酒にとっての有害成分であるマンガンが紫外線と反応することが原因で、お酒が直射日光に1時間当たっただけで着色は2倍以上になります。
紫外線が関与するという意味で、日本酒の保存に際しては、日光だけでなく蛍光灯や殺菌灯もできるだけ避けたほうがベターです。
前にも書きましたが、酒屋さんで蛍光灯を使わずあえて暗くしているお店は、それだけ品質に気を掛けているひとつの目安にもなります。
「酒舗 清水屋」さん
小諸と小淵沢を結ぶ高原列車で名高いJR小海線。
その中間にある小海町の駅前通りに、今回ご紹介する「酒舗 清水屋」さんはあります。
このお店の存在と発信力は以前から響き渡っていて、ご主人の小山さんとはぜひ一度お目にかかりたいと思っていた、その願いが叶ったのが今から2年前でした。
わざわざ弊社まで足を運んで頂き、お互いのお酒に対する思いを語り合った緊張と感動のひとときを、今でも鮮明に思い出すことが出来ます。
地元の佐久や軽井沢に留まらず、日頃からお酒の魅力を広く伝えることに力を尽くされ、昨年秋には「信州醸熱和酒の会(信州醸和会)」を設立されて、その時の様子は地元メディアでも大きく取り上げられました。
信州の山あいの小さな町に、このようなパワフルなお店があるという衝撃と素晴らしさをいつも再確認させられる、「酒舗 清水屋」さんはそんな一軒です。
精米歩合って?
お酒のラベルに「精米歩合××%」と書いてあります。
この「精米歩合」とは何でしょう?
「精米」とはお米をみがくことです。
なので簡単に言うと、「精米歩合」とは、使用しているお米が玄米から削られてどれだけの重さになっているか、その割合の事です。
計算式としては、「精米歩合(%)=精米後の白米kg数÷精米前の玄米のkg数×100」となります。
例えば、「精米歩合60%」という表示があれば、そのお米は玄米から40%削られて60%の重さで使用されているという事です。
ちなみに、我々が日頃食べている飯米の精米歩合は90%前後です。
玄米とほぼ同じ大きさです。
これが酒造米になると数字がぐっと小さくなって、普通酒でも10年ほど前で70%、今は品質が高まるのとあいまって60~65%前後となってきています。
最高クラスの大吟醸ですと精米歩合が30%台というものもざらです。
これはもうお米というより、小さくキラキラ光る宝石のようです。
ではなぜ精米が必要なのでしょうか?
玄米の外側には、お酒の製造上不必要なタンパク質・脂肪・灰分・ビタミン類といった成分が多く含まれています。
精米の目的はこれらの成分を減少させるためです。
ただし、ひとえに精米といいますが、同じ削るのでも、お米が胴割れを起こさず、そして醸造に耐えうるきれいな精米をするためには、精米歩合が小さくなればなるほど、多大な気遣いと日数と経費が必要となります。
考えてみれば、大吟醸クラスのお酒は、最高の酒造好適米を半分以上削って、それは全部糠(ぬか)になってしまうのですから、それだけでも何とも贅沢ですよね。