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「レモンハート」?

2008.04.09

だいぶ前の話ですが、出張で東京へ行った時のことです。
時折伺う銀座のワインバーに、真夜中にひとり、ふらりと立ち寄りました。
いつもならば豊富なグラスワインの中から2~3杯飲んで帰るのですが、この時はふと思い立って、このお店には日本酒は置いてないのか聞いてみました。
今思えばかなり酔っていたとはいえ、ワインバーで随分無茶な注文をしたものです。
しかしオーナーのGさんはにこっと笑って「そういうお客様を待っていたのですよ」とセラーの片隅をガサゴソ探して、おもむろにカウンターの上に1本の瓶を置きました。
それは私も大好きな、北陸の某蔵元の純米吟醸酒でした。
Gさんは未開封の栓を空けてお酒をグラスに注ぎ、黙って私の前に差し出しました。
いつ来るか分からない日本酒を頼むお客、なのにそのお酒は飲み手に心地良い最適な温度で提供され、随分と感激したものです。
それからしばし日本酒談義に花が咲き、私はいつもにも増していい気分でそのお店をあとにしました。
今思うと、それはまるでお酒とバーを描いたマンガ「レモンハート」の一コマのような出来事でした。

そのお店はその後もお客様を増やされ、今も大変繁盛されています。
先日、その系列のビストロオープンのお知らせが届いたのを機に思い出した出来事です。

お客様からのお勧め

2008.04.02

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今回は、関西在住の古くからのお客様から掲載のご要望があり、「京都伏見稲荷の眼力大社」をご紹介させて頂きます。

そのお客様から送って頂いた文章です。

「京都伏見稲荷の眼力大社」

・眼の治療や手術などの願い事、恋愛、仕事、学業の願い事、物事の先が見えるで利益のある神様です。

・初牛祭(2月)、お火焚祭(11月28日)には和田龍酒造のしぼりたてのお酒が振る舞われます。

との事で、京都伏見稲荷は商売の神様として、また全国の稲荷神社の総本宮としてつとに有名です。
初詣の参拝客も関西で一、二を争うそうです。
そんな伏見稲荷大社の中に、このような神様が祀られているという事を、このお客様から伺って初めて知りました。
写真は、その「眼力大社」のお土産の書の一部です。
ちなみに私も、このお客様から「和」という書を贈って頂き、飾ってあります。
「眼力大社」には企業経営者や商売人も多く訪れるとのこと。
私も京都に行った際には、伏見稲荷の眼力大社に足を運んでみようと思っています。

舌の訓練

2008.03.26

日本酒の利き酒も含めて、お酒の味覚の個人差は天性のものと思われますか?あるいは訓練によって鍛えられるものと思いますか?
諸説あるかと思いますが、私は個人的には訓練だと思っています。

今から15年以上前、当時東京都北区滝野川にあった「国税庁醸造試験所」(現在は東広島市に移転し「酒類総合研究所」)に季節講習生としてひと冬入所しました。
その中の「官能検査」という講習の中で、利き酒の「いろは」を繰り返し教わりました。
どんな内容だったか、思い出すままに列挙してみます。

・二組ペアになった水の入ったグラスがあり、そのどちらかにほんの微量の、例えばその日のテーマによってブドウ糖やクエン酸や塩などが入っている。ひと組だけならばどちらに入っているかすぐに分かるが、それが36組並べられており、ほぼ完璧に当たるまで繰り返す。

・マッチング法。数種類のお酒が入ったグラスが2組、組み合わせを変えて並べられており、それぞれの組から同じお酒を結んで一致させる。

・アルコール度数が微妙に変えられたお酒がランダムに並んでおり、それをアルコール度数が高い順番に並べ替える。
 同じことが日本酒度、酸度などでも行なわれた。

・老(ひね)香・ツワリ香・ゴム臭など、お酒に関する「異臭」を実際に嗅いで、それがどれに当たるかを当てる。

・日本酒に限らず、ワイン・ウイスキー・ブランデー・スピリッツ・リキュールがずらりと並べられ、それぞれの味わいと個性を覚える。

以上、思い出すだけでこんな感じです。

もちろんこれは専門的な講習ですので、普通はここまでは出来ません。
ただ普段から、「意識をして味わうこと」そして「2種類以上のお酒を並べて比較すること」、これだけで随分と味覚は鍛えられると私は思っています。
ふたつのお酒を並べて飲んで、それぞれのお酒について思ったことを、頭の中で構わないので言葉で表現してみる、それが上達の早道のような気がしています。

原商店さん

2008.03.22

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上田市の中心街から国道18号線を長野市方面へ向い、ちょうど隣町の坂城(さかき)町へ抜ける手前、国道沿いにあるのが元気印一杯の原商店さんです。
冷静沈着でどっしりと構えた若主人の英和さんと、いつも明るく笑顔が耐えない若女将の有紀さんは、そのおふたりのお人柄でたくさんのファンのハートをがっちりと掴んでいらっしゃいます。

商品構成でまず特筆すべきは、完全手造りで量り売り専門のお味噌。
これが一度食べたら病みつきになるおいしさ。
その証拠に、個人のお客様に留まらず、地域の多くの飲食店さんにご指名で使われ続けています。
同じく自家製の甘酒も、毎日若女将の有紀さんが手ずから造り上げる限定品、いつも午後には完売御礼の看板がお店の前に掲げられています。
そしてご夫妻が選び抜いた日本酒やワインの数々。
お話を聞いていると、それぞれの造り手と銘柄への愛情がひしと伝わってきます。

写真にもある通り、店内にはお酒を飲みながら語り合えるフリースペース「遊地処」も設けられています。
お酒という範疇を飛び越えて、フリーペーパーの発刊やイベントの開催に携わり、地域の文化発信に走り回る原さんご夫妻にぜひ会いに行ってみませんか?

アミノ酸とは?

2008.03.21

これまで、お酒の成分表示に関して「日本酒度」「酸度」の説明をして参りました。
今回は「アミノ酸度」です。

まず、清酒中のアミノ酸はどうやってできるのか。
これは主に、米の中にあるタンパク質が、麹菌が生成した酵素(酸性プロテアーゼ・酸性カルボキシペフチターゼ)によって分解されてアミノ酸となります。
ちなみに復習ですが、やはり米の中のデンプンが、麹菌による酵素(α-アミラーゼ・グルコアミラーゼ)によってブドウ糖に分解され、そのブドウ糖から酵母によってアルコールと炭酸ガスが生産される(=アルコール発酵)のは前にも書いた通りです。

ひと口にアミノ酸と言いますが、自然界には20種類ほどのアミノ酸が存在していて、中でもよく知られているのは、旨味調味料としても使われているグルタミン酸です。
アミノ酸は清酒中で、旨味・甘味・酸味・苦味などの味わいを作り上げる大切な成分です。
アミノ酸が適量入る事によって、味わいは豊かでふくらみのあるものになります。
しかしアミノ酸が多過ぎると、そのお酒は雑味のあるクドい酒質になってしまいます。
ですので、お酒を製造する過程では、日本酒度・酸度・アミノ酸度のバランスに常に気を配らなければならないのです。

「アミノ酸度」とは、そんなアミノ酸の多少を判断する滴定値です。
平均的な数値としては1.1~1.7くらいかと思いますが、もちろんそれより少ない酒も多い酒も存在します。

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