2008.06.20
写真は作家で東京都副知事、猪瀬直樹氏です。
昨日、「関東信越清酒協議会 夏季ゼミナール」なる催しが長野市のホテルでありまして、私も参加して参りました。
そのプログラムのメインを飾ったのが「この国のゆくえ」と題して行なわれた、長野市出身の猪瀬氏の講演会でした。
ご存知の方も多いかと存じますが、猪瀬直樹氏は「ミカドの肖像」で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞し、その後も精力的に次々と作品を発表されています。
しばらく前には、「ピカレスク 太宰治伝」が河村隆一主演で映画化され、話題を呼びました。
また、石原東京都知事が再選された際に「民間の大物を副知事に据える」と発言して物議を醸し、蓋を開けてみたらそれが猪瀬氏だったという経緯もあります。
実は私はかなり以前から猪瀬氏ウォッチャーでありまして、氏のメールマガジンも数年前から購読しております。
ただそれは一ファンというのとはちょっと違います。
猪瀬氏の論調や発言は、その鋭角さもあいまって、とかく賛否両論が渦巻く事が多い傾向にあります。
そんな批評を背に、猪瀬氏がどのような対応をしていくのか、それを追うのがちょっとした知的好奇心をくすぐられる思いがして、つい注目してしまうのです。
この日の第一声は「実は今日は太宰治が入水自殺した日なんだよね」という、氏ならではの挨拶で始まりました。
それから1時間半、猪瀬氏が歴任して何かと物議を醸し出した道路公団民営化推進委員会から現在の東京都副知事に至るまで、自身の経験と綿密な裏付けからなる国家論や経済論を展開され、最後は「仕事にしても責めなくちゃ駄目だね。待っていて何か生まれると思ったら大間違いだよ。責め続けて下さい」というエールを締めの言葉として1時間半の講演は終了しました。
私としては先程も記した通り、せっかくの猪瀬氏だからこそ是々非々の立場で聞こうと耳をそばだてていたのですが、結論から言うと大変面白く、そして氏の話術に引き込まれた1時間半でした。
当たり前ですがすべての話が猪瀬氏の立場から語られていたので、それを丸々鵜呑みにする事はできないと構えた部分もありましたが、それでも具体的な数字を挙げながら論理的に話す猪瀬氏の話の講演はとても魅力に溢れ、そして楽しいものでした。
私はつまらない講演会だとすぐに寝てしまう悪い癖があるのですが、今回はまさに寝る間も惜しい、そんな思いで対峙した講演会でした。
ちなみにそのあとの懇親会では、長野県の各蔵のお酒がずらりとテーブルに並びました。
私もせっかくの機会だからと、意地汚くも片っ端から飲み倒したのですが、改めて長野のお酒の魅力に大いに酔いしれた、そんな一晩でした。