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新酒誕生

2010.03.05

「登水(とすい)吟醸酒」の新酒がいよいよ搾れて参りました。
早速出来上がった新酒を利いてみると・・・例年をひと回り上回る素晴らしい出来です。

まず鼻を近づけるとライムや桃を思わせるフレッシュかつ繊細な芳香。
その上品で甘い香りにしばし陶然とします。

続いてひと口含むと、山田錦ならではの線の太い味わい、そしてたっぷりと乗った旨み、これらが口中いっぱいに広がって刺激し合います。
しっかりとあるはずの酸も、甘みや旨みにきれいに溶け込んで、決して突出する事なく見事に調和しています。
そして飲み込むとキレよく、口の中がきれいに洗い流されてあとには何も残りません。
その一連の味わいの流れは官能的でさえあります。
とても原酒でアルコール分が18度以上あるとは思えない飲みやすさです。

搾りの最初と最後、すなわち「あらばしり」と「責め」とでは味わいが全く異なるのも感動のひとつです。
今回の「登水・吟醸酒」の場合は、「あらばしり」は香り高く上品で軽快、対して「責め」はふっくらと旨みが詰まってとろりと濃醇、どちらも甲乙付け難い出来上がりです。
できれば両方をそれぞれ単独で発売したい思いです。

ちなみに本年度も初夏までは旬の季節商品として、「生酒」で発売予定です。
成分等の詳細はその時改めて掲載致します。

ひとつだけお詫びです。
「登水」発売以降5年間、「良質な日本酒をできるだけお求め易いお値段で」をモットーに価格を据え置いて参りましたが、原価の高騰等からどうしても若干の値上げを余儀なくされそうです。
できるだけ上げ幅は抑える気持ちでおりますが、決まり次第改めてご案内申し上げます。

なおもう片方の「登水・純米酒」は今まさに仕込みが始まったばかりです。
搾りは3月下旬の予定です。
こちらも出来上がりを楽しみにお待ち下さい。

「日本酒ええじゃないか」

2010.02.26

来たる3月20日(土)、上田東急インにて「日本酒ええじゃないか」というイベントが開催されます。

発起人は「上田利酒師五人衆」なるメンバー。
彼らは上田市内の酒販店の若手経営者5名(うち2人はご夫妻)で、日頃から日本酒の普及のために様々な情報発信やイベントを行なっています。
素晴らしいのは、今の時代なかなか横の繋がりが持ちにくい小売店同士が、各々の損得を抜きにして手を結び合い協力し合って、日本酒ひいては地域や業界の底上げを図っているという事。
そんな「五人衆」が満を持して企画したのが今回の「日本酒ええじゃないか」です。

そしてそんな「五人衆」を支援する形で主催者として名を連ねたのが「うえだNavi」。
この「うえだNavi」とは上田市の情報を網羅するフリーペーパーで、上田市内のデパート、スーパー、小売店をはじめとしてありとあらゆるところに置かれている、今や発行部数1万部を誇る情報誌です。

そんな「五人衆」と「うえだNavi」が主催する「日本酒ええじゃないか」、嬉しい事に弊社もお声掛け頂き、昨夜は企画会議が開かれました。
集まった蔵元は4蔵。
まず第1回は「上田の酒蔵」がテーマという事で、市内のやはり若手(とはいっても私は長老に手が届きそうですが)蔵元が、五人衆や「うえだNavi」編集長ともども会場の上田東急インに終結しました。

おいしい日本酒を飲みながら進んだ会議は、白熱した議論あり、はたまた笑いありで、二合徳利の空くのが早いこと早いこと。
お開きとなる頃には、数え切れないほど並んだ空の徳利と共に、イベントの形もだいぶ決まって参りました。

せっかくお誘い頂いた今回のイベント、信州の地酒の普及に少しでも貢献できるよう私も精一杯頑張って、そしてお客様と一緒に楽しみたいと思います。

なお当日の詳細は以下の通りです。

・日 時:2010年3月20日(土) 午後6時~
・場 所:上田東急イン(上田駅前。上田駅から徒歩1分)
・会 費:5000円
・定 員:50名

チケット発売場所は「上田利酒師五人衆」の各店舗です。

・地酒屋宮島酒店 電話0268-72-4039
・原商店     電話0268-22-1941
・サカエヤ    電話0268-44-2314
・田玉酒店    電話0268-22-1805   

軽井沢「Ogosso」

2010.02.19

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久しぶりにおすすめスポット紹介です。

軽井沢「Ogosso(オゴッソ)」。
昼は看板の親子丼を筆頭に各種ランチを、夜は軍鶏(しゃも)料理はじめこだわりの一品を提供する、美味しさに満ちたスタイリッシュな居酒屋です。
場所は軽井沢駅から国道18号線を上田方面に向かって車で5分ほど、軽井沢警察署と軽井沢高校の並びです。

店名の「Ogosso」、最初はイタリア語か何かだと思ってカッコいい名前だなあと感心していたのですが、聞いてみたら膝ポンもので、信州弁で「ご馳走」を意味する「おごっそう」から名付けたとの事でした(でも素敵なネーミングですよね)。

店名もユニークですが、それ以上にユニークキャラ全開なのがこのお店のオーナー。
とある日のランチにお伺いした私を待ち構えていたのは、オーナー自らの「大爆笑これでもか!」攻撃でした。

まず店内の写真を撮ろうとするとオーナーが身を乗り出してきてポーズ!
おかげで当ブログ「おおすめスポット紹介」始まって以来の、人物写真掲載と相成りました。
そして「こいつにビールでも飲ませてやって下さい」とテーブルに出てきたのが2枚目の写真。
目玉の親父が入ったお椀、目玉の親父専用の生ビール、そしてお椀に注ぐお湯代わりの生ビール、もちろんどちらのジョッキもダミーです(私は最初にこの生ビールを掛けられるフリをされ、大慌てする始末)。
もう笑いで涙が止まりません。
その後もイタズラ用のマスタードを掛けられたり、次から次へとギャグのオンパレードで、「いつもこんな事ばっかしてんですよ」と語るオーナーの瞳は、確かに遊び心でキラリと光り輝いておりました。

とはいってもこの「Ogosso」、料理の味は天下一品。
かくいう私もこのお店を知るきっかけとなったのは、お得意先の酒販店のご主人に教えて頂いたから。
「軽井沢でおいしいランチを食べられるお店」を尋ねた時に間髪を入れず帰ってきたのがここでした。

その日はちょうど昼時だったこともあってこちらに直行、運ばれてきた名物「きたろう軍鶏(しゃも)の親子丼ぶり」を食べて、親子丼はもちろんの事、鶏スープや漬物に至るまで、そのおいしさを堪能したのでした。
加えて七味が京都祇園の原了郭「黒七味」である事にも感動。
これ本当においしいんですよね。
このお店のこだわりが垣間見えて瞬間でした。

さて、そんなおいしさと驚きとに満ち溢れている軽井沢「Ogosso」、この1月から3月末日まで店名を「冬おごっそう」と変えて、コンセプトも一新して営業中。
そのチラシにもオーナーの遊び心が溢れているので、その全文を紹介します。

「ほんの少し残念なお知らせです。
春から秋にかけて、地元信州の美味しい旬野菜等をご提供してきた当店は来春までの間、閉店する事にしました。
代わりにとても嬉しいお知らせです。
年明けから春までの期間「冬おごっそう」がオープン致します。
日本の海で獲れた美味しい旬の魚たちを安く贅沢に食せるお店です。
ぜひご堪能下さい。
2010年1月開店、3月末日閉店の特別店。冬おごっそう(意・冬のごちそう)」

広島軍団登場

2010.02.13

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食の月刊誌「danchu」3月号の日本酒特集を開いて思わず身が引き締まりました。
いつも大変お世話になっている広島の蔵元が写真入りで特集されているのです。
その名も「魂志会」。

私が面識があるのはこのうちの4名。
「天宝一」村上さん(右下)、「富久長」今田さん(下中)、「宝剣」土井さん(上中)、「加茂金秀」金光さん(右上)です。

どの方も経営者でありながら杜氏あるいは製造責任者として自ら陣頭指揮を取られ、その酒造りに対する溢れんばかりの情熱は、私にとっていつも大いなる刺激と勇気とを頂いています。

特集の写真もさることながら、文章がこれまた楽しい。
例えば「宝剣」の土井さんが若かりし頃、かなりやんちゃな事はお伺いしていたのですが、ここまでとは(笑)。
そしてその土井さんが酒造りに苦しむ中で、兄貴分と慕う村上さんと出会うくだりのカッコよさ、思わず身震いしてしまいました(ちなみに村上さんは昨年の12月5日の当ブログにも登場しています)。
更には女性杜氏として常に奮闘する今田さん、自らが目指す酒のために日々改革を行い続ける若きエース金光さん、どの方々も素晴らしい人たちで、そして醸すお酒は個性と魅力とに満ち溢れています。

「danchu」のこの記事を読んで、私もまた沸々と闘志が湧いてきました。
頑張るぞ!

またまた感動の1本

2010.02.06

また素晴らしいお酒に出会いました。

私が公私に渡ってお世話になっている須坂市(長野市の北に位置する街です)のM酒店のMさんから「よかったら後学のために」と頂戴した「郷乃誉(さとのほまれ)生酛純米大吟醸」(茨城県・須藤本家)の10年古酒。
10年古酒といっても、これは蔵元が寝かせたのではなく、Mさんが探究心のため自ら10年熟成させたもの。

Mさんは以前からメイン商材のひとつとして「郷乃誉」に惚れ込み取り扱われていて、私も折に触れいろいろな種類の「郷乃誉」を購入してはそのおいしさに唸っていました。
今から何年か前には、奈良の遺跡から炭化して発見された紀元前の古代米を遺伝子レベルで再現して仕込んだお酒「郷乃誉・山川草木」が発売され、2万円という価格に驚きながらも好奇心が抑えられずに友人数名と共同購入し、感銘を受けた思い出があります。

そして今回分けて頂いた「郷乃誉・生酛純米大吟醸」(Mさん熟成10年古酒)、これが10年経ったとは思えない透明感と柔らかさで、まさに「郷乃誉」のスタイルそのもの。
生酛ならではのしっかりとした酸や甘みもあるので、「軽い」のではなくキレある「旨口」で、まさに「深く柔らかい」味わいのお酒でした。
すいすい喉を通るのであっという間に飲み干してしまうところをすんでの所で踏みとどまって、あと数口分を次回のために残すのが精一杯でした。

ちなみにこの「郷乃誉」、どのお酒も使用米から始まって精米歩合・日本酒度・酸度など、成分が一切記されていません。
つまり、数字ではなく、あくまでも味わいで判断してほしいという蔵元の気持ちの現れかと察するのですが、これって確かにひとつの大切な姿勢かと思います。
今はとかく成分表示に惑わされて、私も含めてともすれば頭でっかちになってお酒を飲む場面も多いのですが、そうでなくてまず味わいはどうなんだ?そんな基本に立ち返って考えさせられた、そういう意味からも学ばされた1本でした。

さて話は変わりますが、「和田龍 純米しぼりたて生原酒」、おかげ様で今年度分の弊社の在庫は終了致しました。
お買い上げ頂いた皆様には改めて心より御礼申し上げます。
また2度3度とリピートしてご購入頂いたお客様や酒販店様には、その都度たくさんの勇気と元気を頂戴しました。
これを励みとして、これからも良質のお酒をご提供できるよう頑張りたいと思います。
本当にありがとうございます。

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