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「Restaurant Bar Libiamo」

2011.12.17

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写真上:入口のドアの看板
写真下:シックな店内をカウンターから望む。


先日所要で長野市へ出掛けた際、このブログにも頻繁に登場しているレストランバー「Libiamo(リビアーモ)」へ立ち寄って参りました。

開店10周年を迎えるに当たり、飛翔のためにあえて茨(いばら)の道を選び、上田市から長野駅前に移転を決意したオーナーソムリエの坂田氏。
以前ほど頻繁には通えなくなりしまたが、やはり彼のテイスト香るこのお店が時々恋しくなります。

この日も早い時間に伺ったにも関わらず熟年の女性2人連れが先客としてカウンターに座り、その後も続々と訪れる客の波を見つめながら、10ヶ月の間に着々とこのお店が長野の地に根付いていることを実感しました。

ちなみにお酒の味も料理の味も以前と変わらず絶品です。
生ビール一杯からして、ビールメーカーが感動して足繁く通ってくるほどです。
料理も、最初に出されるアミューズ(突き出し)をはじめ、すべてのメニューに彼の創意工夫と経験とが盛り込まれています。

さて、この店に興味を持つ方からよくされる質問は「高いの?」
もちろんそれなりのものを頼めばそれなりに高いです。
プレミアムなワインも多種ありますし。

でもここは決して敷居が高いお店ではありません。
現に私は上田にあった頃は、その日の締めでウイスキーやカクテルを一杯だけ、そんな使い方をちょくちょくしていました。
その時の予算をざっくばらんに言えば、オーナーの坂田氏は快く、そして親身に相談に乗ってくれて、あなたに最も合うチョイスをしてくれるはずです。

ちなみにこの日は、最後に出されたお皿の片隅にさり気なく乗っていたピクルスに感動。
追加してピクルスだけひと皿頼んだら、色とりどりの野菜がふんだんに、そして見た目鮮やかに盛り付けられて出てきました。
ひとつひとつに舌鼓を打っていると、坂田氏が「これで500円は安いでしょ?」
はい、本当にその通りです。

このレストランバーはお酒や料理だけでなく、お店の空気や坂田氏との会話もご馳走のうちです。

Restaurant Bar Libiamo

長野市南千歳1-3-3 アレックスビル2F
TEL 026-474-3151
営業時間 17:30~24:00

「悦」

2011.12.10

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8月31日の当ブログにも掲載の、私の友人で第1回団鬼六賞優秀賞を受賞した女性官能小説家、深志美由紀(みゆき・みゆき)がこの冬立て続けに作品を発表しています。

季刊誌「悦」(写真)にて「はつ恋」。
月刊誌「特選小説」にて「憧れの庭」。

どちらも女性の視点からの官能が描かれていて、男性作家とはひと味違った繊細かつ鮮烈な文章表現が存分に楽しめます。
小説を書くことを渇望し続けその場を手に入れた深志美由紀、これからもどんどん成長していくことと思います。
皆さん、応援をよろしくお願いします。

さて、「官能的」という意味ではお酒も同じです。
毎年恒例の新酒「純米しぼりたて生原酒」が12月下旬発売予定です。
フレッシュで力強く甘美な味わいは、飲む人の五感を酔わせてくれること請け合いです。
今もその日を待ちわびて、お酒がタンクの中ですくすくと育っています。
発売までもうしばらくお待ち下さい。

天寶一

2011.12.03

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日頃から酒造りへの溢れんばかりの熱い思いや教えを頂いている広島県の蔵元、株式会社天寶一(てんぽういち)の村上社長から出来立ての新酒が届きました。

「天寶一 八反錦純米生原酒 おりがらみ生酒」
村上さん、今年の第1号の搾りです。

「こちらは今年も渾身の酒が出来たけぇ、和田も頑張れ!」
そんなメッセージがこの1本に込められているのをひしと感じます。

早速その夜開封してじっくりと味わいました。
力強く、甘と酸のバランスがしっかり取れた、村上さん入魂の素晴らしいお酒です。

村上さん、また春になったらお目にかかりましょう!

中上健次 「奇蹟」

2011.11.25

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写真は敬愛する中上健次の小説「奇蹟」の冒頭です。

上は直筆原稿のコピー。
下は同じ箇所が活字になったものです。

この2枚はフォトフレームに入って、私の書架の机の上に飾ってあります。

中上健次は自らの小説を「喫茶店文学」と呼び、喫茶店の片隅で集計用紙に万年筆でびっしりと書き込んでいく、まさにこの原稿通りの執筆スタイルを終生貫き通しました。
そしてこの「奇蹟」は、そんな中上の中期の傑作とされています。

机に座ってこの2枚を眺めるたびに、今は亡き中上健次の小説の息吹が蘇ってくるような気がして、私自身の心の中にも活力が沸いて来るのです。

日本酒の可能性

2011.11.19

毎日全国のいろいろな日本酒を飲んでいると、新しい傾向のお酒が席巻している事に気が付かされます。

そのひとつが低精米酒。
要するに、原料となるお米をわざと削らないお酒の事です。

「普通酒」と呼ばれるレギュラークラスのお酒は、おおむね精米歩合70~65%(=玄米を70~65%の大きさに削ること)のお米を使用しています。
そして精米歩合60%以下のお酒は「吟醸酒」、精米歩合50%以下のお酒は「大吟醸酒」を名乗っていい事になっています。

ちなみに我々が日頃食べている飯米は、大体精米歩合92%くらいです。

参考までに、なぜお米を削ったほうがいいかというと、玄米の表層部にあるタンパク質や脂質・灰分といった物質が、お酒の健全な生育、そして味わいや香りを損なわせてしまうからです。

さてそんな中、最近とみに見かけるようになったのが件の低精米酒です。
中でも、具体的には「精米歩合80%」をドーンと前面に押し出したお酒が目を引きます。

先日東京へ出張した際にも、お世話になっている日本酒専門の酒場で低精米をウリにしたお酒を何本も飲んだのですが、そのレベルの高さにびっくり。
思わず「旨いっ!」と叫んでしまいました。

もうひとつ、最近目にするのは酸度の極めて高いお酒です。
私自身、「酸」は日本酒の味わいを決定付ける最も大切な要素と思っており、現に弊社はそれなりに酸のしっかりしたお酒を出していますが、それでも酸度3.0前後というお酒を目にするとまずは驚きます。
それでいて、飲んでみるときちんと美味しいんですよね。

昨日も秋田県のとある蔵の、特殊な造りによって「酸」の際立ったお酒を口にして、ああ、こういうのもアリなんだと、日本酒の持つ可能性の無限さに思いを新たにした次第です。

世界に冠たる日本酒ワールド、これからもっともっと面白くなりますよ。

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