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「パリのワイン食堂」

2012.06.14

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写真:マールとフロマージュ(エポワスとコンテ)


東京へ出張した日の夜、親しい仲間と馴染みの日本酒専門店でたらふく飲んで食べたあと、ホテルに戻ろうと思ってふと思い出しました。
数日前、地元上田のお得意先の社員の方と話していた時、その方のお嬢様が東京のビストロに勤めているので、よかったら行ってみて下さいとお店の名刺を渡されたのでした。

時刻はまだ午後10時過ぎ。
思い立つやいなやホテルへ戻る向きをくるっと変えて、そのお店に向かいました。

場所は東銀座。
旧歌舞伎座の真裏に位置する「パリのワイン食堂」がそのお店です。
もう深夜も近いというのに、カジュアルでシャレた店内はたくさんのお客様で賑わっています。
ひとりで飲んでいる客は皆無、でもそこはひとりで焼肉もフレンチも平気な私のこと、躊躇なく店内に足を踏み入れ、入口に一番近いテーブルに腰を落ち着けました。

女性スタッフが持ってきてくれたメニューを見て、食事、ワイン、それぞれの種類の豊富さと安さとにまずは驚きました。
最初のお店でお腹はすでにいっぱいなので、白ワインの「ムルソー」をグラスで、そして大好物の「ホワイトアスパラ」を頼み、近くにいたフランス人(!)男性スタッフにそのお嬢様の苗字を伝えて、席まで来てもらえるよう頼みました。

しばらくして私のテーブルに来た彼女が、知らないオジサンを見てキョトンとしていたのは無理はありません。
すぐに私は、上田でお父様に仕事でお世話になっている事、お父様とは仕事以外にもいろいろお話しさせて頂いている事、そしてお父様からここを紹介されて今日訪ねた事を伝えました。
すぐに彼女に笑顔が戻りしばし歓談、お父様の話題も交えて話に花が咲きました。

そして締めの一杯はマールで。
造り手はブルゴーニュの名門、ジョルジュ・リニエを選びました(たしか一杯800円。安いですよね)。
そこにフロマージュを運んできてくれた彼女と再び会話が弾み、最後は彼女に見送られてお店をあとにしました。

翌日早速お父様に電話をしたところ、早々に私がお店を訪問したことを驚きとともに喜んで下さり、思い切って行ってよかったと改めてしみじみと感じ入ったのでした。

「バリのワイン食堂」、カップルで、ファミリーで、仲間同士で、あるいは滅多にいないとは思いますが私のようにたったひとりで、お勧めの一軒がまた増えました。

「和田龍新酒を味わう会」2012

2012.06.07

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写真上:神田将(かんだ・ゆき)さん
写真中:三遊亭鬼丸師匠
写真下:開宴


今年で26回目を迎えた毎年恒例の「和田龍新酒を味わう会」を上田市内のホテルで開催致しました。
ありがたいことに今年も約100名のお客様にご出席頂き、例年多くの皆様のご参加に感謝の思いでいっぱいです。

パーティは2部構成。
まずはコンサートタイムです。
今年のゲストは昨年に引き続き、通算4回目のご登場となるエレクトーンの第一人者、神田将(かんだ・ゆき)さん、皆様の熱烈なアンコールに応えての登場です。

http://www.yksonic.com/

昨年、中国湖南省張家界での国際音楽祭で「最優秀音楽演奏賞」を受賞し、今まさに脂が乗り切っている神田さんがこの日演奏された曲は以下の5曲。

・組曲「惑星」より「火星」ホルスト
・ニューシネマパラダイス
・歌劇「サムソンとデリラ」より「バッカナール」サン・サーンス
・さくら(「最優秀音楽演奏賞」受賞曲)
・歌劇「運命の力」より「序曲」ヴェルディ

いつもながらどの曲も「ひとりオーケストラ」の名に相応しい圧倒的な迫力と感動を持って我々の胸に迫り、鳴り止まぬ拍手の中コンサートは終了致しました。

そしていよいよ乾杯です。
この春に搾ったばかりの新酒が次々と運び込まれる中、乾杯のご発声はこのブログにもたびたび登場する「夢ハウスあずさ号」の鈴木浩駅長。
つい最近も「なにこれ珍百景」に登場したり、「王様のブランチ」では浅草キッドが「この20年で最も感動した場所」に挙げた、今や全国区のお店です。

http://www.yumehouse.co.jp/

そしてこの日はもうひとり、嬉しいゲストがご来場されました。
上田市出身の若手落語家、三遊亭鬼丸師匠。
「今日行くから」と突然電話が入ったのがお昼前のこと。
そして師匠は、埼玉でのラジオの帯番組を終えた足で新幹線に飛び乗って駆け付けて下さったのでした。

鬼丸師匠には乾杯のすぐあとにご挨拶を頂いたのですが、そこは落語家。
笑いに溢れたスピーチとともに小噺を2席ご披露頂き、場内は爆笑の嵐に包まれました。

途中恒例のくじ引きタイムを挟んで(この日の特賞は「和田龍大吟醸 12年熟成酒」)、あっという間の2時間半、最後は恒例の一本締めで今年の「新酒を味わう会」は幕を閉じました。

残ったお酒はお客様がすへでお持ち帰りになり、空きビンだけが残るテーブルを眺めながら、今年も無事この日を迎えられた喜びを改めてしばし噛み締めました。
ご来場頂いた皆様、本当にありがとうございました。

「テルニエ・ロマエ」

2012.06.04

昨日、入っていた予定が急遽キャンセルになり久々に空いた日曜日の夕方、たまには映画でも観ようかと近くのシネコンに足を運びました。
何の映画でも良かったのですが、たまたま時間がぴったりだった「テルニエ・ロマエ」を選びました。

観終わってひとこと。
面白かった!
いやはや、予想外の面白さでした。

事前の知識として知っていたのは、公衆浴場がテーマで、主人公が古代ローマと現代日本を行ったり来たりする映画、そのくらいでした。
しかも公開初日の早朝のワイドショーでは、ローマ人のようなホリの深い顔の俳優たちが熱演、とか繰り返していて、見た目だけでキャストを選んだ映画なんて観る気がしないとさえ思っていました。

ところがところが、期待していなかっただけにその反動の大きさといったら。
とにかく笑い、時にホロリとし、そして何より観終った時に幸せな気分に浸っていた、そんな素敵な映画でした。

いつも大好きな快楽亭ブラック師匠のブログを読んでいたらこの映画に触れていて、「あっしが愛して止まない北温泉と河津の大滝温泉でロケをしているのだ」と書かれていたので早速アクセスしてみると、おお、映画そのままの浴場が載っていて、そのレトロ感も相まって思わずすぐにでも飛んで行きたくなってしまいました。

ちなみに私は「映画は映画館で」派です。
その一番の理由は、千数百円という入場料を払って、すなわち対価として自分の懐を痛めて初めて、その映画と対等に向かい合える気がするからです。
そういった意味では、映画評論家が無料の試写で映画を観て評論を書くという行為も個人的にはあまり認めたくありません。
頭が固すぎますかね。

いずれにしても「テルニエ・ロマエ」、映画館に足を運んで良かったなぁとしみじみ思えるハッピーな映画でした。

ミントの季節

2012.05.28

この季節になるとバーで頼むのは「モヒート」です。
でも今年はどのお店で伺っても「まだミントがない」とのことで、ずっとお預け状態で待つこと数週間。
ようやく今年初めての「モヒート」に、上田のバー「Dejavu(デジャブ)」で出会えました。

「モヒート」はミントの葉をすり潰して入れるラムベースのカクテルです。
マスターに伺うと、市販のミントは苦味が出るから自宅で栽培したミントを使われるとのこと。
そしてミントは、スペアミントよりペパーミントの方が味も香りも映えるとも。
ちなみにこの日はスタンダードのレシピでお願いしたのですが、もう少しダークなラムを少し加えるとまたグッと味わいが変わるとおっしゃっていました。
次回はぜひそちらも試してみます。

「モヒート」はミントの季節の到来を感じさせてくれる旬のカクテルです。

九州へ

2012.05.21

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写真上から
・五町田酒造(東一)
・富久千代酒造(鍋島)
・三和酒類(いいちこ)
・湯布院 玉の湯


長野県酒造組合青年部にあたる「若葉会」の研修旅行へ2泊3日で行って参りました。

今年の行き先は佐賀と大分。
私は今年も、万年旅行幹事も兼ねての参加です。
でも九州という遠方にも関わらず多くの蔵元が参加して下さったことで、私のテンションも俄然上がります。

早朝羽田を出発し、福岡経由で佐賀に到着して最初の見学先は、嬉野市にある「東一(あずまいち)」の五町田酒造です。
田園風景の中にバスが到着すると、遠方に見える建物から社長自らが走ってお出迎え下さり、その社長のご案内で早速蔵を見学です。

蔵の中は、製造数量の多さに反比例して、設備も在庫も極めて繊細かつ丁寧な管理がされていました。
毎年社員が総出で柿シブを塗り替えるという壁や柱の輝きや、より一層素晴らしい酒を醸すために手を加えられたあちらこちらの蔵独自の工夫には、蔵元だけでなく社員一丸となった情熱が垣間見える思いでした。

次に向かったのはすぐ隣の鹿島市にある、今や「鍋島」で全国区となった富久千代酒造です。

まず驚いたのは、酒蔵がある浜町の町並みの美しさ。
昔ながらの趣きを残した素晴らしい景観と建物、その小さな町の中に蔵元が6軒もあると聞いてまたまた驚きです。

富久千代酒造でも社長自らが蔵の中をご案内頂きました。
なちみに私は「鍋島」の、柔らかく膨らみのある味わいが大好きです。
年々生産量を増やしても瞬く間に完売してしまう「鍋島」がここから誕生するのかと思うと、原料処理から貯蔵に至るまで、すべての設備を見逃すまいと思わず力が入りました。

そして夜は佐賀市内で、富久千代酒造の飯森社長はじめ佐賀県酒造組合青年部(「佐醸会」)の皆さんも参加されての懇親会。
佐賀の蔵元の志の高さに大いに刺激を受け、そして大いに酔っ払ったひとときでした。

ちなみにそのあと、ひとりでふらりと訪問した繁華街の一角にある「バー山崎」。
店の空気、客層、そしてゆっくりと堪能した3杯のモルトウイスキー、どれも素敵で、マスターとの会話を楽しみながら佐賀の夜を堪能致しました。

翌朝は佐賀から一気に大分県宇佐市に移動。
目指すは「いいちこ」の三和酒類です。

えっ、何でわざわざ「いいちこ」へ?と思われるかもしれませんが、そもそも三和酒類の出発は日本酒醸造であった事と、もうひとつ、この日は事前にアポを取って、こちらもご多忙の中社長自らがご対応頂けることになっているのです。
酒類業界の最前線を走る「いいちこ」の社長のお話を聞けるのは間違いなく意義ある事と、佐賀から大分まで車を走らせた次第です。

さてその三和酒類、到着するやいなや社長と製造部長のおふたりがお出迎え下さり、その足で広大な製造場を端から橋までご案内頂きました。
その後は会議室に場所を移し、経営理念や今日に至るまでのご苦労等、我々の矢継ぎ早の質疑応答にも丁重にご回答下さいました。

さて、その晩は、湯布院の中でも最も有名な旅館のひとつ「玉の湯」に宿泊致しました。
とはいっても単なる物見遊山で泊まったわけではなく、せっかくの機会なのでその業界の最高峰を経験しようという事がひとつと、そしてこちらの宿でも、今や時の人となっている女性社長と懇談できる時間を頂けた事が大きな理由です。

その晩はみんなで至福の空間、温泉、そして料理を満喫。
翌朝、図書室を貸切にして頂いて、桑野和泉社長と歓談させて頂きました。
湯布院を愛し、そして湯布院と共生する中でオンリーワンの旅館を確立していった社長の思いは、異業種の壁を越えて私の胸を強く打ち続けました。

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