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友人の隣宅

2014.04.28

神奈川県に住む45年来の親友が来訪しました。

45年来・・・すなわち幼稚園の時の同級生で、在園中に彼が引っ越してからも今日までずっと付き合いが続いているのです。

今回も午後一番で彼が自宅を訪ねてきてくれてから、母や妻も交えて夕方まで四方山話で花が咲き、夜は上田の繁華街に彼と私と私の妻の3人で飲みに繰り出しました。

盃を傾けながら楽しい会話が弾む中、彼の口から何気なく飛び出したひとこと、「そういえば俺の自宅の隣は村上春樹邸だったんだよね」。

そのひとことにピクリと反応。
そして好奇心がむくむくと顔をもたげます。
ちなみに彼の自宅は神奈川県でも郊外に位置する閑静な場所です。

聞けば、彼の隣宅は村上春樹が建てて住んでいた家で、今も外観はそのままで別の方が住んでいるのだとか。
家の裏が竹林という話は、村上春樹のエッセイで読んだ気がします。

村上春樹。

高校時代、彼のデビュー作で群像新人文学賞受賞作でもある「風の歌を聴け」を初めて読んだ時の感想は「なんじゃ、こりゃ?」というものでした。

ポップというよりは軽過ぎる文体、しかもイラストまで入って、何でこんな作品が賞を取れるのだろうという思いとともに、私には合わないとそっぽを向いてしまいました。

しかし3部作と言われる2作目の「1973年のピンボール」、3作目の「羊をめぐる冒険」を読み進めるうちに、彼の作品はまるで麻薬のようにじわじわと身体の中に入り込み、いつの間にかこの3部作を手放せずにいる自分に気が付きました。

村上春樹中毒が決定的になったのは「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」。
読み出したら止まらないとはまさしくこの時の事で、最後の1ページを閉じた瞬間はあまりの感動とショックで茫然自失。
決して誇張ではなくその後1日以上、心はこの作品に占領されて上の空状態で、他の事に手が付きませんでした。
何でこんな凄いストーリーを思い付くのだろう、何度そう反芻したか数え切れません。

この「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」、保存用としてハードカバー、そして持ち歩き用として文庫本の2セット所有しているのですが、ハードカバーは箱入りで、しかも昔の岩波文庫同様にパラフィン紙が付いていて、このパラフィン紙がまた本の存在感と愛おしさを増しています。

余談ですが、中上健次の「地の果て至上の時」のハードカバーも箱入り・パラフィン紙付きで、取り出したあとはパラフィン紙が痛まないように箱に戻すのが大変でもあり、楽しい作業でもあります。

閑話休題。
その晩は、そのあとも食い入るように友人の村上邸の話題に聞き入り、その頃の村上春樹の作品、そして当時の村上春樹本人、さらには彼のエッセイに頻繁に登場する奥様の存在にまで思いを馳せた楽しい酒席でのひとときでした。

オールナイト上映

2014.04.22

仕事が一段落して時間が空いた日の夜、たまには映画でも観ようかと近くのシネコンのラインナップを見て唖然。
観たい映画がひとつもない。

何でもいいからと無理やり観たい映画を探すのですが、本当に1本もないのです。

こうなったら意地になって「ドラえもん」か「仮面ライダー」でも観てやるかとさえ思ったのですが(それはそれで興味はある)、う~んと唸って、結局その日は夜の街に出掛けてしまいました。

馴染みの酒場のカウンターで燗酒を傾けながら思い出したのが、東京で住んでいた頃のオールナイトの映画の思い出。
あの頃は終電を逃すと、歌舞伎町周辺の映画館へよく潜り込んだものでした。

そして思い返すと、眠い目をこすりながら観たオールナイト上映の映画って、今でも鮮烈に心に残っている1本が多いのですね。

新宿ピカデリーで観た「キリングフィールド」。
カンボジア内戦でクメール・ルージュ(当時、字幕では「赤色クメール」と訳されていた事をよく覚えています)が支配する中、アメリカの新聞記者とクメール・ルージュに捕らえられた現地通訳との離別と再会とを描いた作品ですが、あまりの衝撃で眠気が吹っ飛び、ラストの「IMAGIN」が流れる中で号泣している自分がいました。

当時、連日オールナイト上映していた新宿グランドオデヲンで観た原田知世の「愛情物語」と薬師丸ひろ子の「メインテーマ」の2本立て。
世代がかぶっていたせいか、あるいは酒で酔っていた事もあってか、2本の青春映画は思いのほか私の心の核を突き、薬師丸ひろ子が歌うテーマ音楽は映像と共に今でも耳の奥に残っています。

でも、オールナイト上映でこれだけは語らない訳にはいかない1本が、蒲田にっかつで観た某にっかつロマンポルノ(タイトルはあまりに恥ずかしくて書けないのでご勘弁を)です。

当時20代そこそこで青春真っ盛りだった私は、もちろんヨコシマな理由でにっかつ映画館の入口をくぐったのですが、その作品のあまりの面白さにヨコシマな気持ちはいつの間にか消え失せて、スクリーンにぐいぐいと引きずり込まれる映画のパワーに心の中で快哉を叫んでおりました。

その監督こそ滝田洋二郎。

そう、にっかつロマンポルノから「もうコミック雑誌なんかいらない」で一般映画デビュー。
その後「眠らない街 新宿鮫」「お受験」「陰陽師」そしてあの「おくりびと」まで、数々の傑作を生み出した滝田監督だったのです。

ちなみに私が滝田作品で大好きな1本が「僕らはみんな生きている」。

当時「ビッグコミックスピリッツ」で私も愛読していた山本直樹の人気マンガを映画化したものですが、新宿ピカデリーの座席では、まさしく報復絶倒、あまりのおかしさに涙がちょちょ切れる約2時間でした。
そしてその面白さはあの日観た蒲田にっかつでの思いを彷彿させるものでもありました。
真田広之、岸辺一徳、嶋田久作、ベンガルというキャスト(ね、それだけでも観たくなるでしょ?)の妙も併せて、それからもレンタルビデオ等で繰り返し観ては腹を抱える毎回です。

話は戻って、オールナイト上映の映画館。

朝5時頃、最終回の上映も終わり、眠い目を擦りながら映画館を出ると既に夜が空けています。
打って変わって閑散とした繁華街、白々と射し込む太陽の光、そんな光景に包まれると、これから始まろうとしている1日に自分だけが取り残されたような虚無感に襲われて、それがまた若い頃のひとつの思い出として、今も肌と脳裏に染み込んでいます。

完売御礼

2014.04.16

おかげ様で本年度分の「和田龍登水 山田錦」は、弊社の在庫は完売致しました。

引き続き、当HPに記載のお取扱い酒販店様にてお買い求め下さい。

ご購入、そしてお召し上がり頂いた皆様には心より御礼申し上げます。
本当にありがとうございます。

フランクミュラー

2014.04.12

フランクミュラー。
スイスの高級時計メーカーです。

でも今日は時計の話ではありません。
日本酒の話です。

実はこのフランクミュラー、このたび日本酒を出しました。
とはいっても販売している訳ではありません。

毎年フランクミュラーの日本の上顧客にのみ配られるプレゼント品に、このたび日本酒が選ばれたのです。

しかも今回が8回目という事で、その日本酒がまた凄い。
題して「究極の精米8%」!
精米歩合8%のお酒なんて初めてです。

そしてこのたび、私が日頃からお世話になっている大のフランクミュラーの愛好家の方がこのお酒を入手し、ご一緒する機会に恵まれました。

この日本酒、宮城県の蔵元が造っています。

お酒に付いていた説明書から抜粋します。
「特注にて製作した1mmの網目をもって約300時間、徹底的に原料処理を行ないました。」
そしてこの説明書の一番下には、精米歩合8%のお米が3粒、貼り付けられています。

ちなみにこのお酒は1,500本限定だそうです。
さすがフランクミュラー。
このお酒に価格を付けるとすれば一体いくらになるのでしょう?

そしてお酒そのものの味わいは・・・とても美味しかったです。
鼻腔をくすぐるクリアでフルーティな芳香。
軽快な旨みが口中を流れ、透明感あふれる味わい。

それにしても精米歩合8%。
日本酒の可能性をまたひとつ垣間見た思いがした濃密な時間でした。

こちらも発売開始

2014.04.10

「和田龍登水 美山錦」、週明けより発売を開始致します。
いつも通り、「和田龍登水ブランド」のページに掲載してあるお取り扱い酒販店様にてお買い求め下さい。

昨年よりいっそう進化した味わいに仕上がっています。
ぜひご賞味下さい。

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