2014.09.05
長野県酒造組合青年部に当たる「若葉会」総会が開催され、その中で日本酒ジャーナリストの山同(さんどう)敦子さんの講演会がありました。
山同さんは日本酒に関わる多くの著書を執筆され、また食の雑誌「Dancyu」でも長年日本酒の特集記事に携わられるなど、お酒の分野で幅広いご活躍をされています。
また、長野県独自の「原産地呼称管理制度」では、日本酒と焼酎の官能審査委員を務められるなど、長野県とは大変結び付きが強い方です。
講演会に先立って、山同さんから各蔵にアンケートが送られてきたのですが、これが悩む設問ばかり。
ピックアップしてみます。
・長野の日本酒イメージを色で表すと?
・長野の日本酒の特徴を手短かに表現すると?
・他府県の日本酒に、これだけは負けないという長野のセールスポイントは?逆にウイークポイントは?
・ライバルとして意識する県とその理由
・目標とする県とその理由
・長野県の日本酒の課題と展望を自由に記述してください。
・原料米について考えること。
・長野県の中で、そして全国で、一番意識する蔵とその理由。
・日本酒業界の現在・未来について自由に記述してください。
etc・・・
思わず真剣に取り組んでしまい、回答を書き終えた時はゆうに1時間を越えておりました。
そして昨日。
山同さんが作成したアンケート結果とそれに対するご自身の分析とを元に、講演が始まりました。
まず、長野県の日本酒のイメージカラー。
山々や清冽な水をイメージした「緑」や「水色」が過半数を占めました。
私が書いた「旨みがたっぷり乗って輝いている黄金色」は2名だけ。
続いて「長野県人ってどんな性格?」では、
・理屈っぽくて議論好きだが、意見はまとまらず、行動に移さない。
・職人気質で、地元愛に溢れ、生真面目に仕事をするが、内弁慶で商売っ気がない。
との事で、当たっているだけに苦笑です。
山同さんのエピソードが面白かった。
曰く、他の県の蔵元は、訪問すると必ずその晩や翌日に酒宴を設営してくれるのだが、長野県はそれが一切ない。
私は嫌われているのかと悩みましたが、アンケートを見て、それが控え目で照れ性の県民性から来ることが分かりホッとしました(笑)。
その他にも「県内のライバル蔵」「全国で感動・刺激を受けた蔵」が次々に列挙され、それぞれの蔵に対する山同さんの愛情に満ちた丁寧な説明が添えられます。
終わってみれば山同さんの、長野県の全蔵元への思い溢れるエールともいうべき講演会となっており、誰もが心地よく前向きな思いで席を立ったのでした。
さて、そのあとの懇親会に続いて、二次会もいよいよお開き。
お店の外で、それまで山同さんご本人にお近付きできなかった事もあり、この時初めて名刺交換。
遅れてのご挨拶を詫びる気持ちで「私ごときが名刺交換なぞおこがましくて」と言った途端、「それが内弁慶で長野県人だって言うのよ!」と豪快に笑う山同さん。
一本取られました。