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2年ぶりの再訪

2022.07.02

2年ぶりの東京出張で選んだホテルは、迷うことなくいつものTPホテルでした。

とはいっても2年ぶりだし、スタッフも変わっているだろうし、私の事なんか忘れているだろうし、リクエストの履歴も消えているだろうし、今日は謙虚に、初訪問のつもりで向かおう。

そんな寂しい気持ちは、ホテルの玄関に着いた瞬間に消え去りました。

タクシーを降り立ち、出迎えのベルの女性に名前を告げた瞬間、「お待ちしておりました」という溌剌(はつらつ)とした挨拶とともに私の名前はすぐに館内に伝えられ、流れるように案内されたフロントの前では、アシスタント・マネージャーの男性が笑顔とともに待っていてくれました。

チェックインの手続きをしながらこの2年間の近況等を語り合っていると、係の女性から用意された部屋はアップグレードされた高層階の広い一室でした。

このあと夜にかけて親しい仲間との会食が控えており、翌日も早々のチェックアウトのため、せっかく用意して頂いた部屋を十分に堪能できないことに後ろ髪を引かれる思いで一杯でした(後ろ髪、ほとんどありませんけど)。

それでも深夜に戻ってきて、高層階から窓外の夜景を眺めていると、久々にこのホテルに戻ってきた事を実感出来ました。

チェックアウトの際は、昨日のアシスタント・マネージャーばかりでなく、旧知の宿泊部リーダーの男性までが駆け付けて下さり、「和田様が泊まられているとの事でしたのでぜひご挨拶をと」とあたたかなお見送りを受けながらホテルをあとにしました。

都内では外資系をはじめとして新しいホテルが次々にオープンしていますが、私が戻ってくるのはやはりクラシックなこのホテルと、そのホスピタリティに心打たれながら改めて深く頷いたのでした。

和装の美学

2022.06.06

将棋の棋聖戦が始まりました。

タイトル保持者、藤井聡太棋聖に、盟友である永瀬拓矢王座が挑戦する五番勝負の第1戦は、二度の千日手の激闘の末、永瀬王座が勝利しました。

その永瀬王座、私はちょっとだけ気になることがあります。
それは永瀬王座が、将棋のタイトル戦の正装ともいえる和服を身に付けないことです。

基本的にいつもスーツのみ。
通常の対局では問題ないのでしょうが、タイトル戦という晴れの舞台で、将棋の美しさ、貴賓さをアピールする絶好の機会に、和服を着用しない理由が何かあるのでしょうか。

以前は永瀬先生もタイトル戦で和服を着ていました。
ただし対局の前半だけで、後半はやはりスーツに着替えての対局でした。

何かのインタビューで、永瀬先生ご本人がこの件に触れていたことがあります。
曰く、タイトル戦でのスーツ着用を対戦相手に断っていた時もあったが、毎回その事に気持ちと時間を割くのもいかがなものかと思い、最近はこの件にあえて触れなくなった、といった趣旨だったと思います。

個人的には将棋のタイトル戦の品格を保つためにも、永瀬王座にはぜひ和服を着て頂きたいと思っています。
永瀬先生とその将棋には、それだけの魅力が溢れていると思っていますので。

それとも和服を着用しない特別な理由が何かあるのであれば、このような勝手を申し上げた失礼をお許しください。

以前もうひとり、確信的にタイトル戦にスーツ着用で臨んだ棋士がいました。

島朗九段。

当時新設されたばかりのタイトル戦の最高峰、第1期竜王戦で、米長邦雄九段を相手に、島先生は全局スーツ姿で通し、見事4連勝で竜王位に就きました。

ただこの時は、島先生は将棋界きってのファッション通として知れ渡っており、ブランド品の高級スーツを対局ごとに変えて着用したのも、自身の美学を貫き通すための戦略でした。
そのため、このスーツ作戦(?)は内外ともに好意的に認知され、米長先生は将棋も服装も普段とは違った島先生の感覚に翻弄(ほんろう)されたそうです。

スーツ姿でタイトル戦を戦った棋士がもうひとりいました。
加藤一二三先生。

名人戦の中原誠名人との最終局。
詰みを発見した瞬間に「うひょーっ」と奇声を発したという逸話とともに、念願の名人位を奪取した時の加藤先生のスーツ姿は、今も多くの将棋ファンの目に焼き付いています。
愛すべき加藤先生は将棋界の常識を逸脱し過ぎていて、何だかもう、すべてが許されてしまうんですよね。

乗り鉄の旅

2022.05.14

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1枚目 妙高高原駅

2枚目 私が乗った車両。妙高高原駅にて。反対ホームの車両は妙高高原駅を起点とする「えちごときめき鉄道」の直江津行き。

3枚目 山あいの牟礼(むれ)駅

4枚目 長野駅のてんぷらそば 


ゴールデンウイークの後半、半日時間が空いた私は、せっかくのフリーのひとときを何に使おうか考えた挙句、そうだ、大好きな電車に乗りに行こう、そう決めて愛読書の時刻表をめくり始めました。

たった半日、遠くへは行けない。
でもあまり混み合っているところにも行きたくない。
気軽にローカルな鉄道旅を堪能できるコースはどこ?

そうして選んだのは、上田駅から「しなの鉄道」の終点の妙高高原駅まで行って帰ってくる、片道約2時間のちっぽけな旅でした。

途中、長野駅で乗り換えて、妙高高原駅に着いたらすぐに折り返す同じ車両に乗って、また長野駅で乗り換えて上田に戻ってくる、ただただそれだけの電車旅でした。

でも、それがいいんだよなあ。

本を1冊持って、ボックス席の窓側に座って、電車の揺れに身を任せる快感といったら。

特に長野駅以北は、電車は悠然と自然の中を走り、時には川の清流の畔(ほとり)に沿い、時には山の谷間を走り抜け、そして思い出す頃に小さな駅にゆっくりと滑り込む。
視線は窓外に釘付けです。

そして改札の外に出たのは、妙高高原駅で帰路に着くまでの30分だけ。

でもゴールデンウイークの喧騒を置き去りにしたような、行き交う人も車もなく、ガランとした静寂の駅前ロータリーにたたずむ時間が、これまた快感だったのでした。

それと行きの長野駅で食べた立ち食いそば、美味かったなあ。

携帯紛失!

2022.04.16

数日前、携帯電話を無くしました。

仕事が一段落した夕方、車のスタッドレス交換でディーラーへ赴きました。
支払いを済ませた際に携帯のメールをチェックしたまでは確かに手元にあったのです。

そのまま会社へ戻ってタイヤを倉庫へしまい、事務所でもう少し仕事をして、気分転換に近所のスターバックスに入ってコーヒーを飲もうとしたところで、胸ポケットに携帯が無いことに気が付きました。

その時はそれでも「会社に忘れたのだろう」くらいの気軽な気持ちで、お店の女性に「ちょっと忘れ物を取りに行ってくるから10分だけコーヒーそのままにしておいて」と事務所へ戻ったのが午後7時過ぎ。

しかしどこを探しても携帯はありませんでした。

事務所、車の中、タイヤを片付けた倉庫・・・何度も何度も探しました。
が、ありません。

ディーラーに電話しても「ありません」。
コーヒーを片付けに行ったスタバをもう一度訪れて、スタッフの方々に見守られながら探しましたが、やはりありません。

途方に暮れていた私に妻から電話が入ります。
「今の携帯を契約した時に『ケータイお探しサービス』に入っているはずだよ」
そう言って、パソコンにURLを送ってきてくれました。

藁にもすがる気持ちでそこに書かれた番号に会社の固定電話からダイヤルすると、電話に出た女性が私の番号をチェックして、「確かに『ケータイお探しサービス』に加入されています」との事。
いや~、そんなこと、全然忘れていました。

ほっとしたのも束の間でした。
そこからが長かった。
続いて要求された四桁の「ネットワーク暗証番号」。
しかし携帯を見ないと分かりません。

思い付く四桁の番号を入力するものの、一度目は失敗。
しかし!
もしかしてと頭に浮かんだ番号をプッシュボタンで入力して「和田様、暗証番号が合いました」という声を聞いた時の嬉しさといったら・・・電話の向こうの彼女がステージ上で輝く森高千里に思えました。

が、まだまだ難関は続きます。
「次にお使いの携帯の正確な機種名をお知らせください」
「え~、Xperiaの・・・分かりません」
「・・・」
まだまだ探してもらえそうにはありません。

「分かりました。それではネットワーク暗証番号も合っていましたので、もうひとつだけお伺いします」
今度は何だ?
「お客様が今契約しているプランを次の中からお答えください。
①『パケ放題』
②『なんちゃらかんちゃらなんちゃらかんちゃら(やたら長いプラン名)』
③『なんちゃらかんちゃらなんちゃらかんちゃら(同じく長いプラン名)』
さあ、どれでしょう?」
「うーん。①の『パケ放題』!!!」
「正解です。それではこれからお客様の携帯をお探し致します」
「・・・・・・・」

兎にも角にも難関突破ということで、電話の向こうに流れる音楽を聴きながら待つこと数分。

「お客様。携帯の位置が判明しました。申し上げます。お客様の携帯は『長野県上田市中央西1丁目14番14号』の半径50メートル以内にございます」
・・・って、この会社の住所じゃん。

電話の向こうの森高千里に丁重にお礼を述べて、さあ、会社の中にあると分かれば百人力。
先ほど以上に気合を入れて隅々まで探したところ・・・ありました、ありました!

何と、事務所隣の茶の間の古時計の下に積まれた座布団の下から出てきました。
記憶が蘇りました。
ディーラーから帰ってきたあと、古時計のネジを回そうとして、携帯を座布団の束の上に置いて、それがいつの間にか一番下に落ちてしまっていたのでした。
どうりで携帯を鳴らし続けていても聞こえないはずです。

時刻は午後10時。
紛失していたら一睡も出来なかったであろう事を思うと、安堵感でしばし放心状態となったのでした。

それにしてもSNSで発信した「紛失しました。ただ今電話に出られません」と「見つかりました。ありがとうございました」の2回の投稿に対して、驚くほど多くの皆様から頂いたコメントやリアクション、本当にありがとうございました。
大いに励みになりました。

そして翌日お礼に訪れたスターバックス。
顔を見るなり「携帯電話はありましたか?」
そんな彼女の笑顔に、私も満面の笑みでお礼を述べたのでした。

床屋さんのこと

2022.03.05

20歳後半から若ハゲが目立つようになり、30歳を過ぎて思い切って坊主頭にしてからずっと丸刈りです。
でもたぶん他の男性より散髪代は掛かっていると思います。
なぜなら2週間に一度、床屋さんに行くからです。
坊主頭は、髪の毛が伸びてくるとかえって中途半端で気持ちが悪いのです。

だったら自分でバリカンを購入して刈ったほうが安上がりじゃないかとよく言われますが、違うんですね。
そこはやっぱり床屋さんの技術と心地良さには勝てないんですよ。

私は物心付いた時から今日まで、会社から歩いて10秒の床屋さんに通い続けていますが、先代も今のご主人も技術はピカイチ。
亡き先代はお弟子さんが何人も独立してお店を構えていますし、ご子息である今のご主人になってからは、相変わらずの人気っぷりから完全予約制になっています。
そして私はといえば、散髪を終えて帰る時に必ず2週間後の予約を入れる毎回です。

18歳から26歳まで東京に約8年住みましたが、盆暮れに帰省するまで我慢してこの床屋さんに行っておりました。
髪の毛が伸び過ぎて、数回だけ東京の近所の床屋さんへ行きましたが、やっぱり何か違うのですね。

東京にいた時に一度だけ美容院なるものに行ったことがあります。
入ってすぐに、あまりにオシャレな空間を見て後悔したのですが、何より驚いたのは洗髪の際に椅子がうしろに倒れたことでした。
えっ、えっ?
洗髪って前に倒れるんじゃないの?
何が起きたのか分からず、呆然と天井を見つめる自分がいました。

さて、今日も仕事が一段落したあと、いつもの床屋さんに行って参ります。
坊主頭とはいってもバリカンではなく、剃刀でしっかりと剃ってもらい、頭だけでなく気持ちもリフレッシュしてきたいと思います。

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