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「花鳥籠」

2011.08.31

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私の友人の女性がこのたび小説で賞を取り、その作品がめでたく出版されました。
第1回団鬼六賞優秀賞受賞作、深志美由紀(みゆき・みゆき)著「花鳥籠」(悦の森文庫)。
「団鬼六」の名前でお分かりの通り、これは官能小説に与えられる賞です。
この作品も、普通の主婦がネットを通じて知り合った男性と破滅的な恋愛に溺れていくさまを、匂い立つような濃密な筆致でぐいぐい描き込んでいます。

ちなみに団鬼六、SM小説家としてのみ認知されてる方も多いかと思いますが、そんな方は一度、氏の晩年の傑作「真剣師小池重明」(幻冬社アウトロー文庫)をお読みください。
実在した賭け将棋の真剣師小池重明の破天荒な生涯を描いたこの作品は、団鬼六の描く世界の凄さと小説の深みとを存分に感じて頂ける事と思います。

そんな団鬼六を冠した賞の第1号を彼女が受賞したことを知った時は驚きと感動とでいっぱいでした。
「花鳥籠」、ご一読頂ければ嬉しいです(買いづらいという方はネットでどうぞ)。

映画の話

2011.08.12

皆様、お盆休みはいかがお過ごしですか?
弊社は13日(土)まで営業です。
それまでフルスロットルで頑張ります。

今日はまた映画の話をいくつか。

子供たちと一緒に「ハリーポッターと死の秘宝 PART2」を観てきました。
とはいっても、私はこのシリーズは途中から観ていないので、冒頭からストーリーはチンプンカンプン。
あとでトンチンカンな質問を子供たちに浴びせて大笑いされたりもしました。

このシリーズで興味深かったのは何といってもスネイプ先生を演じたアラン・リックマン。
そう、「ダイ・ハード」で犯人のボス役を演じたあの人です。

「ダイ・ハード」を初めて観た時はあまりの面白さに狂喜乱舞したものですが、「ハリーポッター」の1作目を鑑賞中はよもやスネイブ先生があの犯人と同一人物だったとは思いも寄らず、観終わってから知ってひたすら感激。
今回も彼がするたびにスクリーンに釘付けになっていました。

で、結局スネイブ先生はいい人だったの?悪者だったの?と聞いて、またしても子供たちに笑われながら詳しい解説をしてもらうハメとなりました。

そういえば初代ダンブルドア校長のリチャード・ハリスも大好きな俳優でした。
でも2作目を取り終えて亡くなってしまい、とてもショックだったのを思い出します。

続いても映画の話題。

先日早朝にテレビを観ていたら、「NARUTO」の最新作にちなんで、作者の好きな刑務所映画ベストスリーを特集していました。
そこで勝手ながら、僕の好きな刑務所映画ベストスリーを挙げさせて頂きます。

・第3位 アルカトラズからの脱出

数あるクリント・イーストウッド主演作品の中でも、個人的に大好きな1本(監督は「ダーティハリー」のドン・シーゲル)。
脱出不可能といわれたアルカトラズ刑務所から脱走を企てる、実話をもとにした作品ですが、終始一貫したサスペンスタッチの緊張感溢れる映像とストーリー展開は何度観ても飽きません。

・第2位 パピヨン

小学生の時に観て心をわしづかみにされた作品です。
スティーブ・マックイーン、ダスティン・ホフマンという両巨頭の身を削るような演技に、観るたびに釘付けになった思い出が蘇ります。
スティーブ・マックイーンの叫びとともに流れる、ジェリー・ゴールドスミスの甘美なテーマソングが心に焼き付いて離れません。
ちなみにこのジェリー・ゴールドスミス、僕が大好きな映画音楽作曲家で、この人のサントラLPは今でもすべて大切に保管してあります。
この作品はつい最近「午前10時の映画祭」でリバイバル上映されましたが、観に行けなかったことを今でもとても後悔しています。

・第1位 ミッドナイト・エクスプレス

やはりこの1本でしょう。
中学生の時、何の予備知識も持たずに観に行ったこの作品、映画が終わった瞬間はあまりの衝撃でしばし席を立つ事ができませんでした。
しかもこれが実話とは。
ラストシーンで、実在の本人の写真がスクリーンに大映しになった瞬間は、すでに涙でぐしょぐしょのほおに新たな涙がとめどもなく流れてきたのを今でも忘れません。
「この刑務所を出るにはミッドナイトエクスプレスに乗るしかない。即ちそれは脱走すること」。
興奮と感動と衝撃とに包まれた、個人的には掛け値なしの傑作です。
ジョルジオ・モロダーのメインテーマを聴いただけで、あの感動がまた蘇ってきます。

レナード・ニモイの思い出

2011.07.21

ピーター・フォークが亡くなりました。
私も小学生の頃から「刑事コロンボ」の大ファンで、しばらく前にはDVDも全話揃えてしまいました。

「刑事コロンボ」といえば、初期の作品「構想の死角」ではスティーブン・スピルバーグが監督するなど、スタッフやキャストにさり気なく有名人が名前を連ねることで有名です。
そんな意味で私にとっての「刑事コロンボ」の思い出の一作は、何といっても「溶ける糸」です。
それは犯人役の外科医に、あのレナード・ニモイが扮しているからです。

レナード・ニモイ、そう、「スタートレック」で耳のとがったバルカン人、ミスター・スポックを演じている俳優です。

ちなみに私は「スタートレック」も大好きで、「サウンド・オブ・ミュージック」のロバート・ワイズ監督による映画版「スタートレック」の第1作は、そのヒューマニズム溢れるラストシーンに、当時高校生だった私は、映画館の暗闇で涙が溢れて止まらなかった事を覚えています。

さてそのレナード・ニモイが、「刑事コロンボ」では「スタートレック」とは打って変わって、シリアスな外科医を演じました。
私はその一挙手一投足まで見逃すまいと、当時ビデオにまで撮って何度も見返しました。
完全犯罪を仕組んだはずのレナード・ニモイが、コロンボに徐々に追い詰められていき、最後はコロンボに屈するまでの数々の演技や表情は、「スタートレック」とはひと味もふた味も違ったレナード・ニモイの魅力が存分に発揮されていて、大いに興奮したものです。

そして大学生の時にもうひとつ忘れられない出来事がありました。
当時東京に住んでいた私は、その日たまたま新宿の紀伊国屋書店に出向いたのですが、何やら凄まじく混雑している一角があります。
好奇心いっぱいで覗いてみると、何とそこにはレナード・ニモイ本人がテーブルに座っているではありませんか!

それは映画版「スタートレックⅡ・カーンの逆襲」の宣伝のため来日したレナード・ニモイのサイン会の現場だったのです。

あまりの感動と衝撃とに呆然としていると、何と、書店のスタッフがあと数名だけサインを受け付けると叫んでいます。
殺到する希望者の群れに私も加わり、そこでジャンケン大会が繰り広げられ、日頃ジャンケンに弱い私がこれまた何と、勝ってしまったのです。

そしてレナード・ニモイ本人の前に立った時の興奮は今でもはっきりと覚えています。
「Nice to meet,you!」のひと言とともにサインしてもらった「スタートレック」の単行本は今も私の書庫に大切にしまわれています。

今回ピーター・フォークの訃報に触れて、そんな思い出が蘇ってきました。
コロンボが好物のチリを食べているシーンに憧れて、銀座で初めてチリを食べたのも学生時代の懐かしいワンシーンです。

サービス業の真髄

2011.07.14

社員旅行で知多半島まで行って参りました。

その際宿泊したのが、私が日頃から敬愛する旅行代理店の社長から自信を持ってお勧め頂いた「活魚の美舟」。
知多半島の突端、南知多町の海岸沿いに位置する、その名の通り「活魚料理」を提供する旅館です。

まず感動したのは、その絶好のロケーション。
道路を挟んで目の前に広がる伊勢湾の向こうには、紀伊半島や渥美半島の伊良湖岬、さらには幾つもの離島が浮かび、海なし県の長野県民には何よりの光景です。

温泉につかったあとはいよいよ宴会ですが、こちらの料理も素晴らしいのひと言。
まだ身がピチピチと動く鯛の活き造りをはじめとした海鮮料理の数々は質も量もたっぷりで、社員の皆には生け簀の好きな魚を追加で頼んでいいよと言っていたにも関わらず、コース料理だけで大満腹・大満足の晩餐でした。

しかし、今回この「活魚の美舟」で心打たれた出来事は他にありました。

実はこの旅館が素晴らしかったからこそ、あえて一点だけ気になる点があって、それを後日指摘した時のことです。
それは普通の旅館でしたら言及する必要もないような、本当に些細な一点でした(ここではそれが何だったかはあえて触れません)。
でも、余計なお世話とも言えるこの申し入れを、この旅館はしっかりと受け入れて下さる予感がありました。

それは我々のチェックインとチェックアウトの対応をして下さった女性の専務さんが、ホスピタリティに溢れた素晴らしい方だったからです。

チェックインの時に初めて会話を交わした瞬間から、この専務さんはお客様の喜びを自らの喜びとする、そんなおもてなしの思いに溢れたお人柄がこちらにもひしと伝わって参りました。
チェックアウトの時、フロントのスタッフに「専務さんにくれぐれもお礼を申し上げて下さい」と伝えた直後、バックヤードから飛び出してきて下さった専務さんの明るい笑顔は、今回の宿泊の一番のお土産になりました。

だからこそ今回の一件も、私はその専務さんに宛てて発信致しました。
そうしたら思った通り、専務さんからすぐに返信のメールがありました。
それは私からの申し入れを真摯に受け入れて下さった、暖かさと誠実さとに満ちた内容のメールでした。
あとで前述の旅行代理店の社長に伺ったところ、専務さんはパソコンに不慣れな中で、一所懸命返信を打って下さったとの事でした。

今回の一件で、いつかまたぜひ「活魚の美舟」に再訪したい、そして再び専務さんにお目に掛かりたい、そんな思いに駆られています。
そしてサービス業とは、文字通り「サービス」という心と心の触れ合いが何よりも大切な事を実感した出来事でした。

活魚の美舟 http://www.mifune.yad.jp/

気になる言葉遣い

2011.06.30

最近仕事やプライベートで、とても気になる言葉遣いがあります。
それは「はい」ではなく「うん」と受け答えされる事です。

例えば買い物や商談の場で、こちらからの質問に対して、あるいはこちらの言葉に相手が相槌を打つ時に、「はい」ではなく「うん、うん」などと答えられると、一気に気持ちが冷めていくのが分かります。

私は基本的に、買う側も売る側も立場はイーブンというスタンスなので、自分が客側の時こそ、売る側である相手には丁寧に接していこうと思っているのですが、「うん」という受け答えはそんな思いを台無しにしますね。

電話でこちらが丁寧な口調で話している時に「うん、うん」と言われると、別の人に変わってくれと即座に思いますし、直接話している時にそのような言葉遣いをされると、それ以上話す意欲を一気に削がれます。

先日も仕事の電話で、こちらからの問い掛けに終始一貫して「うん」「うん」と答え続けた女性に対して、「です、ます」調で話していた私も、この人にはこちらの真心は通じないと瞬時に察して、あえて丁寧な言葉遣いを止めました。

普段から付き合いがあって気心が知れた人には、もしそのような言葉遣いをされた場合は、僭越な言い方ですがその方の今後のためもあえて忠告致しますが、その場限りの場合は不愉快な思いだけが心に残ります。

余談ですが、今私が愛用している車を買ったディーラーの営業マンが、当時は新人でしたがなかなか優秀なセールスで、彼のおかげで気持ちよく納車まで運びました。
ただひとつだけ気になる事があったので、最後に彼にあえて忠告しました。
「あなたのためを思って言うので、気を悪くしないで聞いて下さい。お客様は見ているので、爪は短く切ったほうがいいですよ」
彼は今でもその時のことを懐かしく話してくれます。

言葉のキャッチボール、そして気持ちのキャッチボールは、お互いが相手に敬意を持った上で、それがきれいに通じ合った時は、いつも気持ちがいいものです。

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