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ワイルド7

2011.12.29

発売したばかりの「純米しぼりたて生原酒」、おかげ様で大変ご好評を頂いております。
あとくちにまだ若干固さが残るかもしれませんが、これもまた新酒の醍醐味です。
この固さは日が経つにつれて目に見えるように柔らかくなっていきますので、そんな変化もお楽しみ頂ければと思います。
お正月、おせち料理は総じて強めの味付けですので、この「生原酒」のフレッシュ感、力強さとピッタリ合うこと請け合いです。

さて話は変わって先日の夜、無理やり時間を作って映画を観てきました。
「ワイルド7」。
まさか今になってこの作品が映画で観られるとは思わなかった!
初めてコマーシャルを見た時は驚きと感動とでしばし画面に釘付けになったほどでした。

この「ワイルド7」、原作は私が小中学生時代に「少年キング」で連載していた漫画で、私の歴代の漫画ランキングでベスト3に入る、まさに大・大・大好きな一作なのです。
当時はテレビドラマ化されて、その主題歌は今でも空で口ずさめます。

世の中の凶悪犯罪に立ち向かうために警察が極秘裏に組織した「ワイルド7」の7名。
そんな彼らも実は過去様々な犯罪に手を染めた極悪犯で、通常の警察では対応しきれない様々な事件の犯人を、「目には目を」とばかりに銃とバイクを駆って「処刑」していく、そんなアクション作品です。

いや~、それにしてもカッコよかった!
漫画の映画化は往々にして失敗作となることが多いのですが、この作品はお見事でした。
ファンの期待を裏切らない展開とツボを押さえた痛快さ。
オープニングでトレーラーから7台のバイクが飛び出してくるシーンからして背筋に電流が走りました。
そしてバイクと銃がスクリーン狭しと飛び交う圧巻のクライマックスまで、まさに手に汗握りながら「ワイルド7」ワールドを心ゆくまで堪能致しました。

主人公のワイルド7リーダー飛葉大陸(ひば・だいろく)を演じる瑛太、彼の演技は初めて観ましたが、しっかり飛葉ちゃんにハマっていましたし、それ以上にカッコよかったのがワイルド7を指揮する草波勝役の中井貴一。
私は正直、彼の演技はあまり好きではなかったのですが、この1本で見方を変えました。
それくらい、クールで一匹狼の草波のイメージにピッタリとハマっていました。
余談ですが、昨年公開された北野武監督「アウトレイジ」で、三浦友和ってこんなに素晴らしい役者だったんだと痛感させられた、あの時の感覚に通じるものがありました。

それにしても日曜の夜で観客4人は少なすぎるぞ。

「悦」

2011.12.10

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8月31日の当ブログにも掲載の、私の友人で第1回団鬼六賞優秀賞を受賞した女性官能小説家、深志美由紀(みゆき・みゆき)がこの冬立て続けに作品を発表しています。

季刊誌「悦」(写真)にて「はつ恋」。
月刊誌「特選小説」にて「憧れの庭」。

どちらも女性の視点からの官能が描かれていて、男性作家とはひと味違った繊細かつ鮮烈な文章表現が存分に楽しめます。
小説を書くことを渇望し続けその場を手に入れた深志美由紀、これからもどんどん成長していくことと思います。
皆さん、応援をよろしくお願いします。

さて、「官能的」という意味ではお酒も同じです。
毎年恒例の新酒「純米しぼりたて生原酒」が12月下旬発売予定です。
フレッシュで力強く甘美な味わいは、飲む人の五感を酔わせてくれること請け合いです。
今もその日を待ちわびて、お酒がタンクの中ですくすくと育っています。
発売までもうしばらくお待ち下さい。

中上健次 「奇蹟」

2011.11.25

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写真は敬愛する中上健次の小説「奇蹟」の冒頭です。

上は直筆原稿のコピー。
下は同じ箇所が活字になったものです。

この2枚はフォトフレームに入って、私の書架の机の上に飾ってあります。

中上健次は自らの小説を「喫茶店文学」と呼び、喫茶店の片隅で集計用紙に万年筆でびっしりと書き込んでいく、まさにこの原稿通りの執筆スタイルを終生貫き通しました。
そしてこの「奇蹟」は、そんな中上の中期の傑作とされています。

机に座ってこの2枚を眺めるたびに、今は亡き中上健次の小説の息吹が蘇ってくるような気がして、私自身の心の中にも活力が沸いて来るのです。

プロ将棋の魅力

2011.11.11

将棋が大好きです。

将棋を指すのも好きですが、それ以上にプロが対局した将棋を観るのが大好きです。

ネットの発達でありがたいことに、最近はタイトル戦や順位戦(棋士の序列を決める、棋士の生命線とも言っていい棋戦。その年のトップ棋士が名人に挑戦できる)がリアルタイムで観戦できるようにもなりました。

私がプロの対局を好きなのは、棋譜の向こうにプロ棋士の人間性や魅力が垣間見えるからに他なりません。
つまり、プロの将棋に惚れる以上にプロ棋士に惚れているのです。

今をときめく羽生喜治が若かりし頃、「将棋は人間性を反映しない」と言い切ったことがありますが、それは違う、というより、そうあって欲しくないという思いでいっぱいでした(今の羽生将棋はまさしく羽生先生の生きざまを存分に反映していると思っていますが)。

例えば大好きな加藤一二三。
大食漢で対局日は昼夜とも食事が同じメニュー、常に股下までの長いネクタイ、好調を意識すると止まらぬ咳払いなど様々なエピソードを持ち、愚直なまでに一本気な加藤は、当時の中原名人にどれだけ負け続けても同じ戦法を貫き通し、最後は念願の名人位をもぎ取りました。

例えば米長邦雄。
米長は南芳一とのタイトル戦の際、「横歩も取れない男に負けてはご先祖様に申し訳ない」と言い放ち、挑発に乗って横歩を取った南を執念で押さえ込みました。
また米長の「自分にとっては消化試合であっても相手が重要な対局の時こそ全力で相手を負かさなければならない」という米長イズムは、今や将棋界の常識となっています。

余談ですが、以前上田市民会館で米長先生が講演会を開いた時、妻と一緒に楽屋にアポなしで訪問した際に頂いた「化粧よりほほえみ」と書かれた色紙は今でも大切な宝物です。

最近で記憶に新しいところでは、アマチュアからプロ棋士に転進を遂げた瀬川晶司。
プロ棋士の登竜門である将励会を規定の25歳までに抜け出せず一度は挫折したものの、アマチュアとしてプロ棋士に勝ちまくっていた成績が評価され、前代未聞のプロ昇格試験でプロ棋士6人に合格ラインの3勝を挙げて見事プロ棋士の座を勝ち取った時の棋譜とニュースは、将棋界を超えて社会現象にまでなりました。

そして私の大好きな谷川浩司。
21歳で史上最年少の名人となったこの将棋界のプリンスは、50歳を目前にとした今もなお凛としたオーラを発し続け、その清楚な立ち振る舞いと輝きは彼の将棋にもそのまま反映されて、多くのファンを魅了しています。
ここのところしばらく停滞しておりますが、ぜひまたタイトル戦に登場してファンの心を鷲づかみにしてほしいものです。

そうそう、思い出しました。
結婚前、まだ将棋の「し」の字も知らない妻に何とかプロ棋士の美しさを見せたいと思い、玉砕覚悟で千駄ヶ谷にある日本将棋連盟に観戦希望の手紙をしたためたところ、何とOKの返事が来てびっくり。
指定の日時に訪れた将棋連盟の特別対局室で、たった5分ではありますが王将線の決勝リーグ、「米長邦雄ー森けい二」を観戦できたことは大切な思い出です。

最後に。
「名人」と並ぶ将棋界の最高タイトル「竜王」。
この「竜王」になると賞金はいくらもらえるかご存知ですか?
答えは何と4200万円。
びっくりでしょう?
この「竜王」を弱冠27歳の渡辺明が7連覇中で、今まさに8連覇を賭けて元名人の丸山忠久と7番勝負の真っ最中です。

神田将リサイタル2011

2011.10.22

このブログでもお馴染みのエレクトーン奏者、神田将(ゆき)さんの毎年恒例のリサイタルが今年も開催されました。

今回の会場は東京築地の朝日新聞本社内にある浜離宮朝日ホール。
入場すると正面のステージでは、いつものSTAGEAプロフェッショナルモデルが奏者の登場を静かに待っていました。

この1ヶ月間だけを見ても、中国張家界での国際音楽祭(最優秀音楽演奏賞受賞)、仙台クラシックフェスティバル(4公演完売)、シンガポールでのサロンコンサート、その間を縫っての福島の小学校を回ってのステージと、息つく暇もなく疾走してきた神田さんのひとつの集大成がこのリサイタルです。

アルマーニのダークスーツを身にまとって、大きな拍手とともにステージに現れた神田さんがこの日演奏したのは全10曲。

1.交響曲第6番「悲愴」第4楽章 チャイコフスキー
2.アヴェ・マリア カッチーニ
3.さくら
4.Remembrance 久保葵
5.交響詩「フィンランディア」 シベリウス
6.オペラ座の怪人 アンドリュー・ロイド=ウエッバー
7.種族B 電子オルガンの為の 松本淳一
8.アランフェス協奏曲 第2楽章 ロドリーゴ
9.舞踏詩「ラ・ヴァルス」 ラヴェル

アンコール ラデツキー行進曲

1と9は今回のリサイタル用に新たに登場した大曲2曲。その壮大さにただただ心打たれました。
2・5・6・8は神田さんの魅力を余すことなく発揮し、聴くたびに新たな感動を呼ぶ十八番。
3は上記の中国張家界音楽祭での最優秀音楽演奏賞受賞曲。
4・7は電子オルガンのために作曲された大曲(どちらも演奏終了後に作曲者が登壇して紹介されました)。

この10曲のために神田さんがどれだけのエネルギーと情熱とを傾けたか、それは張り詰めた糸のように緊張感溢れたステージから、余すことなく我々聴衆に伝わって参りました。
気が付くとあっという間の2時間が経ち、場内が明るくなると同時に立ち上がった私は、そこで初めて、終始息を詰めていたがために酸欠となり立ちくらみを覚える自分に気が付いたのでした。

いつも言っていることですが、現代エレクトーンの素晴らしさはどれだけ言葉で説明するよりもたった一度そのステージを観て頂ければ、その感動と衝撃とを即座にご理解頂けるはずです。
そのエレクトーン界の頂点に立つ神田将さん。
そんな彼の演奏を、まだ耳にしていない方にもぜひ一度聴いて頂きたいという強い思いに改めて駆られたリサイタルのひとときでした。

神田将ホームページ http://www.yksonic.com/
神田将ブログ    http://blog.yksonic.com/

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