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将棋界の一番長い日

2015.02.28

今年もいよいよ「将棋界の一番長い日」が訪れます。

プロ将棋界は名人を筆頭に、A級・B級1組・B級2組・C級1組・C級2組・フリークラスと、完全なピラミッド社会になっています。

そして1年かけて各クラスごとに10局前後を戦い、成績上位者は昇級し、下位者は降級します。

現在、頂点に君臨する名人は羽生喜治。
そして最上位のA級に所属する棋士はわずか10名。
この11名がトップ棋士と呼ばれます。

そのトップクラスのA級の最終局が一斉に行なわれる日が、通称「将棋界の一番長い日」です。

トータルでトップの成績を修めた者は4月から始まる名人戦7番勝負で羽生名人に挑みます。
下位の2名はその瞬間にB級1組へ降格します。

まさに名誉と地位とを賭けた戦いです。
加えていえば、降級すると月給や対局量も激減します。

対局は午前10時に始まり、終局は大抵深夜、時には翌日朝に及びます。

持ち時間は1人6時間。
一手指すのに1時間や2時間は当たり前。

現時点で名人挑戦の可能性があるのは4名。
降級はすでに1名は決まり、そして残る可能性は3名です。

この「将棋界の一番長い日」が朝9時30分から終局まで完全生放送されます。

そこには昇級・降級を巡ってさまざまな人間ドラマが繰り広げられます。

深夜、壮絶ともいえる投了の瞬間は、そこに全力を尽くした人間の美しさと、勝者と敗者との過酷な現実とが映し出され、観る者をただただ圧倒します。

さあ、明日は眠れないぞ。

アッコちゃん

2015.02.06

伊勢丹の公式PV「IESTAN-TAN-TAN」が素敵です。

「伊勢丹従業員500人が踊る」とのことですが、楽しくて、レビューにもある通りまさに「デパートに行きたくなる」思い。

最初は音声なしで映像だけで見ていたら途中でいきなり大好きな矢野顕子が出てきて「何で?!」って思いましたけど、音声入りで聴いたら納得できました。
そう、BGM担当は矢野顕子。
しかも最後はメイキングまであるし。
感動しちゃいました。

で、矢野顕子。

個人的に一番好きなアルバムは「ただいま。」と「愛がなくちゃね。」。

その頃行った渋谷公会堂のライブはドラム高橋ユキヒロ、キーボード坂本龍一、ベース細野晴臣、ギター大村憲司、つまり当時のYMOのツアーそのまんまで興奮したり。

有楽町朝日ホールでのライブではピアノが2台置かれていて、それを見ただけでもう分かるんですけど、案の定途中から坂本龍一が加わっての連弾になったり。

軽井沢大賀ホールで娘と行ったライブでは、客席が半分も埋まっていない静けさとは裏腹に、アッコちゃんが「さっき決めた」セットリストの数々の名曲をいつものように即興で弾きまくる姿に、感動で涙が出てきたり。

弾けないくせに楽譜まで買ってしまいました。

で、最初に書いた「ISETAN-TAN-TAN」、よかったらネットでチェックしてみてください。

落語の愉楽

2015.01.24

たった今、事務所で仕事をしていると、旧知の落語家三遊亭鬼丸が顔を出しました。
明日、故郷上田市で開かれる初めての独演会を前に、わざわざ挨拶に来てくれたのでした。
ちなみにチケットは完売。
もちろん私も行く予定です。

落語が好きです。

初めての寄席体験は学生時代。
サークルの仲間たちと何とはなしに足を運んだ新宿末広亭で、寄席の魅力と、そしてトリを努めた今は亡き古今亭志ん朝の高座にぶっ飛んだのでした。

東京で仕事の合間に時間が空くと、束の間の休息を兼ねて上野の鈴本演芸場に足を運ぶことがあります。
寄席は好きな時間に入って出られるのがまず嬉しい。
そして出演者によって当たりはずれが大きいのも寄席の魅力です。
誰とはいいませんが、親子2代の大御所の名前に惹かれて入ったら大はずれだった事もあります。
ちなみに色物では、林家正楽の紙切りや、あしたひろし順子の漫才なんかは個人的に当たりです。

東京の社員旅行で、当社の「新酒を味わう会」に2年続けてゲストでお越し頂いた金原亭馬生を聴きに鈴本演芸場に入ったら、偶然楽屋から出てきた師匠にバッタリ。
全員分の手ぬぐいを頂戴したのはラッキーでした。

最近では、あとは上田に帰るだけという夜の東京で、贔屓にしている立川談慶のホームページを調べたら、すぐそばの上野広小路亭で師匠がトリを努めていることが分かって駆けつけ、十八番の「井戸の茶碗」を堪能させて頂いてから最終の新幹線に飛び乗りました。

3月には上田で完成したばかりの新しい市民会館「サントミューゼ」で、「立川志の輔・談春・談慶兄弟会」という、凄まじいといえば凄まじい落語会があります。
よくぞこの顔ぶれが集まったものです。
上田出身談慶師匠のお人柄でしょうか。

フィッシュ アンド チップス

2014.12.12

元外交官にして文筆家の佐藤優が滅法面白いです。

その圧倒的な筆力と、同志社大学神学部大学院卒という経歴からも来るインテリジェンス溢れる文章は、鈴木宗男事件で自ら逮捕された顛末を描いたデビュー作「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」から今日まで、一貫して変わることはありません。

そんな佐藤優の最近文庫化された「紳士協定-私のイギリス物語―」、こちらも一気読みの面白さでした。

著者が外務省に入省して2年目に英語とロシア語の研修で訪れたイギリスで、ホームステイ先の少年との交流を描いたドキュメンタリーです。

いつも通り知的好奇心に溢れる内容に加えて、この作品のもうひとつの魅力は随所に登場するロシア料理やイギリス料理の描写です。
レストランやホームステイ先での食事の事細かな描写は、まさに行間から匂いや味が飛び出してくるようで、空腹の時は要注意です(笑)。

現に私はこの作品を読んだあと、イギリスの名物「フィッシュ アンド チップス」がどうしても食べたくなって、この料理を出すお店に飛び込んでしまったほどです。

カラリと揚がった魚の白身とポテトのフライ。
これをいつもならタルタルソースで食すのですが、この日は作品に書かれた通りに、別添えのモルトビネガーをたっぷりとかけて、熱々をガブリ。
タマりません。
結局この日は「フィッシュ アンド チップス」ひと皿で満足してお店を出てしまいました。

次なる目標は、やはり作中に登場するイギリス名物「キドニー(腎臓)パイ」。
内臓料理好きの私としてはぜひチャレンジしたい料理です。
ただし普通だったらアンモニア抜きをするキドニーも、イギリスではそんな手間暇はかけずに調理するので筆者はアンモニア臭くて食べられないと嘆いていました。
どなたか、これを食べられるお店、知りませんか?

ハンディカメラの正体

2014.12.05

上田駅から郊外の別所温泉駅まで、田園地帯を縫ってコトコトと30分ほどかけて走る上田電鉄別所線というローカル線があります。

今から10年以上前の事。

その日私は、当時はまだ小さかったふたりの子どもを連れて散歩がてら別所線に乗り、何となく気分で、途中の下之郷というやや大きめの駅に降り立ちました。

何をするともなく子どもたちとホームのベンチでたたずんでいると、片手に収まる小さなビデオカメラを持った若い男女が近付いてきて、おもむろに質問してきました。

「地元の方ですか?」
「何をしているのですか?」
「この辺でおすすめの場所ってありますか?」
「こちらの名物の食べ物はなんですか?」

延々と質問は続きます。
観光客かと思い、ひとつひとつ丁寧に答える私。

ひとしきり質問を終えると、若い男女は「ありがとうございます」と言ってその場を立ち去ろうとします。
「観光ですか?」と聞く私に、質問をした女性がひとこと。
「所ジョージの『ダーツの旅』です」。

放映の日、ビデオをセットして画面に食いつく私と家族。
しかし無常にも私や子どもたちは1秒も映ることなく、私のあとでインタビューされた、やたら面白いオバちゃんのみがクローズアップされていました。

あんな小さなビデオカメラじゃ、まさかテレビのロケとは思わないもんなぁ。
分かってたらもっと面白い回答を捻り出したのに。
後悔してもあとの祭り。

先日テレビをつけたら「ダーツの旅 総集編」を放映していて、ふとそんな出来事を懐かしく思い出したひとときでした。

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