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「3-4X10月」

2019.10.25

深夜にブルーレイで北野武監督「3-4X10月」(「さんたいよんえっくすじゅうがつ」)を久々に観直しました。

傑作です。

監督デビュー作「その男凶暴につき」に続いて北野武がメガホンを取ったこの作品は、客が入らず興行的には惨敗でした。

しかし続く「ソナチネ」も含めて、北野監督の初期3作が個人的には大好きでたまりません。

いわゆる北野ブルーといわれる映像美。
観客をあえて無視して独走し続けるストーリー展開。
北野作品ならではの静寂さと間。

例えば柳ユーレイとダンカンとたけしと愛人が沖縄の海岸で野球に興じるシーンや、続く「ソナチネ」でやはり沖縄の海岸でたけしはじめ部下たちが相撲をはじめ余興で時間を潰すシーンは、あえて「退屈」で「冗長」な場面を挟み込むことで、逆説的に映画全体に比類なき緊迫感を生んでいるという意味で、極めて重要です。

また、この映画ではBGMの音楽が一切流れません。
エンドロールも、登場人物たちが何事もなかったかのように草野球を楽しむ歓声とボールの音だけをBGMとして淡々と流れていく、その「動」を喚起させる「静」こそが、この作品全体のイメージを象徴しているといえるでしょう。
一転して次の「ソナチネ」では、多くの北野作品を手掛けることになる久石譲を初めて起用したことも、北野武のその異才ぶりを痛感させられます。

たけしが自分の愛人を押しのけて部下の渡嘉敷勝男と強引に関係を持とうとするシーンなどは、意外性に驚きながらも、この意外性は逆にビートたけし本来のリアリズムであり、このシーンだけかえって安心感を覚えてしまうことからも、「3-4X10月」ひいては北野ワールドの、あまりに強烈で劇薬的な魅力に気付かされるのです。

「サオリーナ」

2019.10.07

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法人会全国大会三重大会へ行ってきました。

この大会は、年に一度全国から中小企業経営者が集まり、来賓として国税庁長官・県知事・市長も出席するフォーマルな大会です。

今年の会場は、三重県の県庁所在地、津市産業スポーツセンター内にある「サオリーナ」。

ん?
サオリーナって何?

近鉄の津駅を降りて、シャトルバスに揺られること約15分。
見渡す限り平坦な広大な敷地の中に、ひときわ大きなアリーナが見えてきました。
これが津市産業スポーツセンター内に建つ、屋内総合スポーツ施設「サオリーナ」でした。

バスを降りてすぐに名前の意味が分かりました。
「サオリーナ」って、地元出身の吉田沙保里から名付けられたんですね。

記念写真スポットを大会スタッフに聞いたところ、建物の一番奥まで進むようにとの事。
すると目の前に現れたのが、吉田沙保里の等身大(?)フィギュアでした(写真)。

津市にとって吉田沙保里はヒーローなんですね。

大会は、講演会あり、法人会からの税制改正要望の詳しい説明ありと、有意義なものでした。

ちなみに、なかなか来ることがない三重県ですが、1年前に蔵元見学で「作(ざく)」を醸す清水清三郎商店さんと、「酒屋八兵衛」を醸す元坂酒造さんを訪問したことを鮮明に思い出しました。

大後悔

2019.08.17

今年大いに後悔している事。

それは「クラフトワーク」のライブに行けなかった事。

行けなかったというよりは、ライブ翌日、ライブに行った親友から聞くまで、そもそも「クラフトワーク」が来日していることさえ知りませんでした。
何という体たらく。

しかも会場が渋谷のオーチャードホール。
オールスタンディングではなくて椅子席の会場でライブをやるなんて、そんなの「クラフトワーク」じゃない!というのは、私のただの負け惜しみです。
オーチャードホール自体も縦に長くて見づらく聴きづらく、個人的にはあまり好きな会場じゃない、これも負け惜しみです。

でも本当に行きたかった。

YMOの先駆け、テクノの元祖というのは、もはや当たり前の話。

そしてリーダーのラルフ・ヒュッターも今や70歳越え。
でも4人のメンバーが横一列に並んで、各々が1台のシンセサイザーに向かって、微動だにせず黙々と弾くスタイルは今も健在です。
ラルフ・ヒュッター、直立不動で2時間立ち続けで疲れないか?

ちなみに以前ライブで、ひとりのメンバーが曲に合わせて思わず足踏みしてしまったところ、客席からブーイングが起きたという逸話もあります。

日本語の歌詞で歌う名曲「電卓」を、ラルフ・ヒュッターのボーカルに合わせ大声で叫ぶ興奮を、再度味わいたかった。

僕は音楽家。
電卓片手に。

足したり。
引いたり。

このボタン押せば音楽奏でる♪

「クラフトワーク」、今でも私のカーオーディオでは必須アイテムです。

「OKURA」2様

2019.08.03

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写真は「OKURA」のコーヒーカップとソーサーです。

写真下の2組のソーサー。
実は模様が微妙に違っているのが分かりますか?

先日、大好きな旧軽井沢通りの一番奥に位置する「茜屋珈琲店」にお伺いした時のこと。

このお店は、カウンター奥にずらりと並んだブランド物のコーヒーカップから店主の大谷さんがその都度選んでくれた1組に、一杯一杯ていねいにコーヒーを注いでくれます。

そしてこの日、2杯目のコーヒーを頼んだ時に出てきたのが、写真下の右側のカップとソーサーでした。

ソーサーの裏側を見てもブランド名が描かれていないので、大谷さんに聞いてみたところ。
「OKURAです。見てください。珍しいでしょう。ソーサーの塗りが斑(まだら)になっていて、市販されなかった一品です。だから裏側も(ブランド・ロゴが打たれず)無地になっています」

そして棚からもう一組、同じカップとソーサーを持ってきて
「これが正規品です。ソーサーがきれいに塗られていますよね。裏にOKURAのロゴも入っています。でも私はこちらの(塗りむらがある)ほうが好きなんです」

こんな会話ができるのもこのお店の居心地の良さのひとつです。

店内は夏の真っ盛りということもあって大賑わいの忙しさ。
そんな空気を読んで今日は静かにコーヒーを味わってお店を出ようと思っていたのですが、ついつい店主と話が弾んで、意思の弱さを実感したカウンターの片隅でのひとときでした。

炎のコバケン

2019.07.15

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写真は上田駅前のポスター


小林研一郎が上田市民会館「サントミューゼ」でコンサートを開くという事で、大ファンである私と妻はふたりで駆け付けました。

小林研一郎指揮
群馬交響楽団

チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
チャイコフスキー 交響曲第4番

東京在住だった妻が、大学時代から結婚して上田に嫁ぐまで、小林先生が指導する合唱団に所属しており、その際は東京のみならずハンガリーのブダペストやウィーンでの演奏旅行にも帯同させて頂きました。

当時から「炎のコバケン」の愛称に相応しい、小林先生のダイナミックかつパワフルな指揮に私もすぐに魅了され、妻が出演するコンサートだけでなく、小林先生が出演する演奏会には何度も足を運んだものでした。

そしてこの日のチャイコフスキー。
圧巻でした!

特に交響曲4番。

これこそがライブの神髄と言わんばかりの、壮大なスケールに包まれ続けた、感動の50分でした。
正直、普段CDで聴いている名盤と言われる4番が完全に吹き飛ぶほどの見事な演奏で、クライマックスの4楽章では涙すら溢れてきました。

そして小林先生の、時には全身を振り乱し、時には演奏に陶然として身体を委ねる、その全身全霊を込めたタクトは健在でした。

鳴り止まぬカーテンコールに、小林先生が肉声で客席へ語り掛け、アンコールとして、管楽器・弦楽器・打楽器のすべてがフォルテシモで鳴り響く感動のフィナーレの1分半を再度演奏したのも、これまた小林先生ならではと、身体に電流が走るような感動に包まれたのでした。

演奏終了後、係の方にお許しを得て、バックヤードで久々の小林先生との対面を果たした妻が渡したのは、「炎のコバケン」をイメージした真っ赤な花束でした。

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