東京に続き出展した、長野の酒蔵が一同に会する「YOMOYAMYA NAGANO 大阪」が、ウェスティンホテル大阪で無事お開きとなりました。
猛暑の真夏の夕方、ホテルをあとにして、私は全身汗だくになりながら、その足で梅田駅から阪急電車に飛び乗り、京都に向かいました。
終点の河原町駅で下車して向かったのは、祇園の真っ只中にある「THE BAR Straight(ザ・バー・ストレート)」でした。
もう20年以上のお付き合いとなるこのクラシック・バー。
実は40歳になる直前、毎年京都で開催される大きなイベントに参加した折に、偶然見つけたのがこのお店でした。
店内の落ち着いた雰囲気とバーテンダーの山根さんの魅力にすっかり虜になった私は、40歳になるまで、1年に1度京都を訪れるたびにこのバーを訪問し続けました。
しかしそのイベントに参加しなくなった事を境にすっかり関西から、そしてこのお店からも足が遠のき、次にお店にお伺いしたのは確か10年後だったと思います。
恐る恐るドアを開けて、カウンターの中にいる山根さんと目が合った瞬間、「私を覚えていますか?」と言った私に返ってきた言葉は、いつもと変わらぬ「いらっしゃい、和田さん」でした。
私が感激したのは言うまでもありません。
そして今回、さらに10年を経て、今回も気持ちを落ち着かせてゆっくりと開けたドアの向かうにいたのは、変わらぬ山根さんでした。
「長野の和田ですが、覚えていらっしゃいますか?」
「おっ、いらっしゃい」
たったこれだけのやり取りで、10年の歳月の経過がまるで無かったかのような親近感に身体が包まれます。
カウンターの一番端に座って、この素敵なひとときに合わせて山根さんと一緒に選んだ、スコッチウイスキー「マッカラン」の逸品「ザ・マッカラン」をゆっくり味わいながら、この素敵な空間と山根さんとの会話に身を委ねます。
どれだけの時間が経ったのでしょう。
締めに頼んだ「ギムレット」を堪能し、エレベーターまでお見送りしてくれた山根さんと再会を名残惜しみながら、私は大阪へ帰る駅へ向かいました。
次にお伺いするのはいつになるか分かりませんが、このお店は、そして店主の山根さんは、またきっとあたたかく私を迎え入れてくれるはずです。