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おいしさの値段

2010.01.22

またひとつ、素晴らしい日本酒に出会えました。
「獺祭(だっさい)純米大吟醸45」(720ml/1,890円)。
価格まで記したのは、極めてコストパフォーマンスにも優れているからと思ったからです。

「獺祭」は今回が初めてではなく今までにも何本も飲んではいるのですが、今回の「純米大吟醸」をひと口飲んだ瞬間、改めてこのお酒の持つおいしさや魅力に圧倒された思いでした。

含んだ瞬間にまず感じるサラリとした舌触り、次に口の中で転がすと口いっぱいに広がる滑らかで上品な味わい、さらには強すぎず弱すぎずきれいに膨らむフルーティな含み香、それらが渾然となって口の中で踊り、そして飲み込むとスッと消え去ります。
そしてこれが1,890円!
見事なコストパフォーマンスです。

私が日頃からお世話になっている「獺祭」取扱い酒販店さんや飲食店さんから、蔵元の旭酒造株式会社の方針や酒造りの方向性は常々伺っていてその素晴らしさには心打たれていたのですが、今回その思いを新たに致しました。

ちなみに私も自社のお酒に関しての「コストパフォーマンス」、すなわちその味わいに対してお客様が妥当もしくは安いと感じて頂ける価格の設定にはいつも頭を悩ませております。

片やそのお酒の製造原価、片や自分が味わいから弾き出した販売価格、そのギャップに悩む事がしばしばで、必然的に利益を圧縮せざるを得ない結果となります(笑)。
もちろん製造原価分をしっかり価格に転嫁すれば済む話かもしれませんが、このスペックでこの味わいのお酒をこの値段で売りたいという自分のボーダーラインはどうしても譲るわけにはいかず、そのたびに葛藤する毎回です。

でもありきたりの言葉ですが、そうした苦労も、お客様の「おいしい」というひと言、あるいは「このおいしさでこの値段?安いね」のひと言ですべて吹っ飛びます。
これからもそのようなお酒を出荷できるよう頑張ります。

ちなみに予備知識として。
原価の中には酒税も含まれます。
酒税は製造場からお酒が出荷された時点で課税され、製造者が納税義務を負います。
税額は清酒・ビール・ウイスキーなど酒類によって異なります。
清酒の場合はアルコール度数に関係なく1キロリットル当たり120,000円と決まっており、換算すると一升瓶(1.8L詰)で216円、四合瓶(720ml詰)で86.4円、それぞれ酒税が掛かっています。
参考までにどうぞ。

さて、もうひとつお知らせです。
「和田龍純米にごり酒」が1.8L、720mlとも在庫わずかになりました。
3月もしくは4月には新酒に切り替わる予定ですが、それまでに一時品切れも予想されます。
取扱店様等、ご不明な点はお問い合わせ下さい。
これからもご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

お知らせ

2010.01.16

12月下旬に発売を開始した今期の「和田龍純米しぼりたて生原酒」ですが、おかげ様で大変好評を頂き、当社の在庫は1.8L・720mlとも残り僅少となりました。
取扱い酒販店様、あるいはご注文等お問い合わせは、当HPトップページ右下のアドレスからメールにて、あるいはお電話にてご一報下さい(日曜・祝日休)。
お買い求め頂きました皆様にはここで改めまして深く御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

正月雑感

2010.01.03

あけましておめでとうございます。
今日は思いつくままに頭に浮かんだ事を書き連ねます。

年末も押し迫って、折ある毎にお越し頂く埼玉県のお客様Nさんがお見えになりました。
「しぼりたて生原酒」の発売を知って、信州で年越しをされるに当たり、わざわざお買い求めにお寄り頂いたのです。
ここ数年は年内に発売が間に合わず、Nさんにもご迷惑を掛けていたのですが、今年は何とか間に合ってホッとしております。
Nさんと談笑する事しばし、たくさんのお酒を積み込んで目的地に向かわれるお車を見送りながら、このようなお客様おひとりおひとりに支えられながら商売をさせて頂いている事に感謝の思いを新たにした一瞬でした。
今年もまた、弊社そして私を支えて下さる皆様の思いに応えるべく、いつも感謝の気持ちを忘れずに精一杯努力していきたいと思います。

さて迎えた新年、初詣を済ませたあと所要のため慌しく1泊で東京へ行って参りました。
夜半に着いた東京駅、その足でエキナカのショッピング街「グランスタ」に立ち寄りました。
ここは数え切れないほどの弁当・惣菜・スウィーツのお店で賑わっていて、見ていて飽きる事がありません。
ふと思い立ち、その中で出店している酒販業界では有名な「はせがわ酒店」に立ち寄り、今宵の寝酒を買い求める事にしました。

棚に並んでいたお酒を見比べながら選んだ1本は「醸し人九平次<rue Gauche>純米吟醸720ml」1,575円でした。
この愛知の酒「醸し人九平次」、もともと私は大好きな銘柄で、これまでもほぼすべての種類を飲み干しています。
今回この1本を選んだのは、①これまでに飲んだことのない「九平次」だった事、②「山田錦/精米歩合50%/1,500円(税別)」という魅力的なスペックがどういう味わいなのか試したかった事、③「アルコール分13度」に興味が惹かれた事、以上の3点でした。

さて、その晩早速開けたその1本、ひと口飲んだだけでその素晴らしさに感銘を受けました。
まず舌に感じるサワサワとしたガス感、そして「九平次」のスタイルに共通する力強さと繊細さとが兼ね備わったインパクトある味わい、甘さと酸とのバランスが見事なんですね。
そしてスッと切れるフィニッシュの心地良さ。
正直なところ、13度という低アルコールの日本酒でこれだけ素晴らしいものを飲んだのは初めてで、衝撃を受けました。
その証拠に、1時間もしないうちに四合瓶1本がカラになっておりました。
改めて日本酒の奥深さを勉強させて頂いた次第です。

続いては他愛もない話ですが。
翌日、JR山手線の原宿駅に降り立ちました。
いつものように新宿駅に向かって右側のドアで降りようとしていると・・・何と開いたのは反対側のドア。
驚きながらもすぐに合点がいきました。
明治神宮の初詣客に対応するために、正月だけ上下線のホームを分けて混雑を緩和させていたのですね。
そういえば原宿駅を通るたびに、使われていない野ざらしのホームが目に入りましたっけ。
こういう時のためにあのホームは存在していたのですね。
ただそれだけの事でしたが、何だかちょっぴり得をした気分になりました。

そして上田に帰る新幹線、東京駅に到着する新幹線からドッと帰省客が降りてくるのに反して、東京発の新幹線はガラガラ。
今回も自由席に乗ったのにも関わらず、最後まで私が座った車両は半分ほどの座席が埋まっただけでした。

それにしてもいつも感心するのは、東京駅の東北・上越・長野新幹線ホームの清掃スタッフ。
今到着した新幹線が出発するまでのわずか数分の間に、目にも留まらぬ速さで車内を清掃していくのです。

まず倒れている座席のリクライニングを元に戻すと、それを合図に機械操作で全ての座席が逆方向を向きます。
その間にもスタッフは車内に残されたゴミ屑を素早く広い、背もたれのテーブルをひとつひとつ開けては吹き上げ、床にモップを掛け、その間わずか8分程度。
ちなみに彼らの存在のおかげで、東北・上越・長野新幹線は4面のホームしかない中で、現在の過密ダイヤの編成が可能になったそうです。

さて、そしてここからです。
スタッフが車内の清掃を終えると、全員が外に出たあとに一列に並んで、ホームで待っている乗客に深々とお辞儀をするのです。
このサービスを実践しようと考えた方は素晴らしいですね。
たったひとつのお辞儀で、それまで待たされていたイライラが吹っ飛び、逆に「ご苦労様」というねぎらいの気持ちが自然と湧き上がってきて、気持ち良く乗車する事ができるのです。
長野新幹線が開通する前、やはり信越本線の横川駅で、「峠の釜めし」を売っていた売り子さんが特急「あさま」が発車すると列車に向かって深々と頭を下げていた光景と重なります。
気持ちのこもったお辞儀、これってやっぱりサービスの基本ですね。

「純米しぼりたて生原酒」発売

2009.12.27

今年もこの季節の風物詩、「和田龍純米しぼりたて生原酒」の発売を開始致しました。
仕込み第1号のもろみを搾ってすぐに、一切手を加える事なくそのまま瓶詰めした、まさに季節感溢れるフレッシュなお酒です。

グラスに注いでまず香りを嗅ぐと、レモンやライムを思わせる爽快感溢れる香りが鼻腔を突き、陶然となります。
続いてひと口含むと、甘み・酸味・旨み・苦味、それぞれの味わいがまさに絶妙なバランスで折り重なって口いっぱいに広がります。
どの味わいひとつ欠けていても、この調和の取れたバランスは成り立ちません。
そして、そのトロリと芳醇なひと口をゴクリと飲み干すと、不思議な事にそれまで舌に踊っていた味わいがきれいに洗い流され、口の中にはあと味の良さだけが心地良く残っています。
そしてついもう一杯、次のひと口に進んでしまうのです。

香り高く、そして芳醇さと軽やかさとを兼ね備えた上品な1本、それが今年の「和田龍純米しぼりたて生原酒」です。

ちなみに今年は例年以上にオリも多く絡めてあります。
ですのでお酒そのものも、透明というよりはオリの白さが感じられますが、これもまた今年の「しぼりたて生原酒」のおいしさの要素のひとつと思って頂ければと存じます。

加えて、もちろん炭素濾過(ろか)もしていません。
まさしく搾ったそのままの状態の旬を感じさせる1本、ぜひ味わってみて下さい。

ちなみに今の時期でしたらぜひ鍋料理と合わせてみて下さい。
肉・魚、どちらの鍋でも、具材やお出汁の力強さと相まって、「しぼりたて生原酒」があっという間に進むこと請け合いです。


和田龍しぼりたて生原酒
・1.8L :2,520円(税込)
・720ml:1,260円(税込)

信州の雪

2009.12.19

昨夜から今朝にかけて、上田の地にもこの冬初めて雪らしい雪が降りました。
早朝まずカーテンを開けて真っ白に光る庭を見て早速着替え、雪かきを始めました。
会社の入口、駐車場、周辺の道路等、念入りに雪をかいているとかなりの重労働になり体も火照ってきます。
今日の雪は紙雪で水を含まない軽い雪だったので、思ったよりも短時間で終えることが出来ました。

個人的には雪かきが大好きです。
ただひたすらに肉体を酷使する快感といいますか、小説家の中上健次ではありませんが、単純肉体労働に没頭する喜びみたいなものをいつも感じながら体を動かしています。
ですから大雪になればなる程、さあ雪かきをやるぞ!という闘志に火が付くのです。

ちなみにひと口に信州といいますが、長野県の東信地区にあたる上田地域は比較的降雪量が少ない事で知られています。
上田からたった40kmしか離れていない長野市はかなりの雪が降りますが、大雪の長野市から上田市に戻るとそこは雪ひとつない快晴、なんて事もざらです。
経験でいくと、どうやら途中の戸倉上山田温泉がその境目のようです。
ここを抜けると雪がピタッと止み、道路もきれいに乾いていて、その豹変振りに驚かされる事がたびたびです。

さて、雪が降り本格的な寒さが訪れると、お酒の仕込みもより一層はかどる季節となります。
それは日本酒製造の特徴のひとつに「低温発酵」が挙げられるからです。

もろみ中の酵母が最も活性を示すのは25℃前後です。
ただ、日本酒をこの温度で仕込んだ場合、日本酒は「糖化」(麹菌が米中の「デンプン」を「ブドウ糖」に分解する)と「発酵」(酵母がその「ブドウ糖」を「アルコール」に変える)が同じタンクで同時に進行する「並行複発酵」ですから、品温が高いと酵母の元気が良過ぎて糖化と発酵のバランスが保てず、著しく酒質に影響してしまいます。
ですから日本酒製造では、仕込みの温度を10℃前後の低温に保ち、常に糖化と発酵のバランスを見ながらゆっくりともろみを育てる必要があるのです。

ただし今はサーマルタンクの発達や蔵そのものの全館温度管理化が進んで、昔ほど外気による仕込みへの影響は出なくなっています。
しかし逆に言えばそのような設備が進んでいるという事実そのものが、仕込みにおける温度管理の大切さを示していると言えるでしょう。

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