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和田龍純米酒

2009.11.01

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弊社の特別純米酒「上田獅子」が、装いも新たに「和田龍純米酒」として生まれ変わります。

長年ご愛顧頂いている「上田獅子」という銘柄、もちろんこちらにも多大な愛着があるのですが、私の中で「原点回帰」と申しますか、創業以来続いている「和田龍」という名前をもっともっと大切にしたいという思いが募りまして、新しい造りを前にレギュラーの純米酒の銘柄を変更することに踏み切りました。
ホームページ内の商品紹介も順次更新して参ります。

ちなみに写真の新しいラベルですが、今回の変更に先駆けて、ひと足早く新発売の「ひやおろし」で使わせて頂きました。
おかげ様でこのラベル、皆様からの評判も上々で、手作りで苦労して作成した甲斐があったと胸を撫で下ろしております。

ラベルの真ん中にある朱色のデザインは、日頃から弊社のラベルの文字を書いて頂いている書家の先生が「龍」をイメージして作って下さったデザインです。
「和田龍大吟醸」をはじめ、これまで他のお酒にも使わせて頂いているこのお気に入りのデザインを今回もど真ん中にインパクトあるように使用致しました。
上部左側に龍の顔があり、くるりと丸まる形で下に尻尾があります。

また「純米酒」の文字は母によるもの、紙の色・大きさをはじめ文字のバランスやレイアウトは妻によるものと、まさに経費を掛けない(笑)文字通りの手作りです。

なお、長年親しんで頂いている「上田獅子」の銘柄も、混乱を来たさぬよう、これからも併用して発売して参ります(お酒の中身は「和田龍純米酒」と同じものです)。
それでは心機一転、これからも宜しくお願い申し上げます。


<和田龍純米酒>

・使用米:長野県産美山錦
・精米歩合:59%
・酵 母:きょうかい14号
・アルコール分:15度
・日本酒度:+3
・酸 度:1.8

なお、新酒が発売される来年の春からは上記の内容は変わる可能性があります。

昨晩の酒

2009.10.24

昨日は親しい方と上田の街に繰り出して一杯。
その方と飲む時は、酒の種類が豊富というのがお店の選択基準なので、昨夜も上田駅から数分の、日本酒と焼酎がずらりと居並ぶ一軒に足を運びました。

いくつかの酒肴を頼んで、出だしからもちろん日本酒。
グラス一杯売りのところを、いろいろな種類が飲みたいからとわがままを言って大徳利で出してもらい、あとはお互いのグラスに差しつ差されつ。
今日のテーマは「純米吟醸を飲み比べる」です。

まずは、ふたりとも大好きな愛知県名古屋市のM酒造、当主の名前を銘柄にした「K」からスタート。
いつもの通り旨みがたっぷりと詰まった味わいは、酸もそれなりに強いのだけれど、何よりもバランスがしっかりと取れていてキレよく、旨口ながらすいすいと杯が進みます。
やはり素晴らしい出来栄えです。

次に頼んだのは福井県で全国区をひた走るK酒造の、蔵元そのままの銘柄「K」。
私が日頃から大好きな銘柄です。
何よりも、どのお酒を飲んでもしっかりとその蔵と分かる香りと味わいを醸し出している事にいつも感動します。
その中でもこの「純米吟醸」は、私が特に好きな一品。
私のベロメーターによる勝手な推測では、この「純米吟醸」、数年前まではねっとりと舌を覆う、どちらかというと重厚な味わいだったのを一変、味わいのベクトルはそのままで、軽快かつふわりと柔らかな口当たりに変更されたのではないでしょうか?
いずれにしても「K」ならではのおいしさはいつも健在、この日も堪能させて頂きました。

続いては長野県のお酒という事で、今ぐんぐんと勢いを伸ばしている奥信濃の蔵元T酒造店の、金紋錦で仕込んだ純米吟醸「M」。
しばらく前にこの蔵元の同じ金紋錦仕込み「ひやおろし」を飲んで、とろりとした旨みが口いっぱいに広がるその味わいに感動した覚えがありますが、このお酒も同様でした。
口に含んだ瞬間から深く芳醇な旨みがしっかりと感じられ、喉に消え去るフィニッシュでは余韻が心地よく残ります。
そのあと味を心地よく感じながら、ついもう一杯飲み進めてしまうのです。

そして同じ長野県は中信に位置する、明治を代表する文豪の作品名を銘柄にしたO酒造店の「Y」。
私は以前からここの蔵元の姿勢やお酒がとても好きで、今回もそんな思いを抱きながら頼んだ一杯でした。
飲んでみて感じるのは、やはりバランスの素晴らしさ。
甘みや旨みや酸がきれいに絡んで、しかもふわりと柔らかく、最後はスッと口中から消え去るあと味の素晴らしさ。
これまた飲み飽きしない(というのは私の目指すところでもあります)逸品でありました。

最後に頼んだのは、山廃仕込みで有名な石川県S酒造の銘酒「T」。
生酛仕込みや山廃仕込みのお酒というのは、最初は抵抗があるかもしれませんが、一度ハマるとそのままぞっこんになる不思議な魅力を持っています。
このお酒もそれに違わず、複雑かつ濃厚な味わいにシャープな酸がきれいに調和して、ダイナミックな日本酒の醍醐味を堪能できる、秀逸なお酒でした。

いつもでしたらまだまだ追加で頼みたいところですが、この日は飲み始めた時間が遅かったこともあって残念ながらタイムアップ。
文字通りほろ酔いでお店をあとにし、その晩の酒宴はお開きとなったのでした。

ちなみにその後、一度は帰途に着いたものの、そういえばここしばらく馴染みのバー「リビアーモ」(2008/2/25に登場)に行ってなかった事をふと思い出し、急遽Uターン。
久々のカウンターに腰を落ち着けて、まず頼んだローランドウイスキー「オーヘントッシャン12年」をストレートで。
あっという間にグラスが空になるのと同時に、締めの一杯で大好きな「マッカラン12年」をやはりストレートで注文。

ちびちびとグラスを舐めていると、オーナー兼バーテンダーの坂田さんが「実はここのところ2時間掛けてうどんを打っているのだけれど、よかったら食べません?」
迷う事なくお願いして待つことしばし、つゆに浸かった冷たいうどんが目の前に出されて、ひと口食べた瞬間、これがうまいのなんの!
きちんと麺に腰があるのはもちろんとして、こんなにしっかりと粉の味わいが口中に感じられるうどんを食べたのは久方ぶりでした。
噛めば噛むほど小麦粉の旨みが増してきて、本当においしい。
聞いたら塩はゲラントを使用しているとの事、彼らしいこだわりです。
加えて、つゆのおいしい事といったら。
しかも食べ進む途中でサプライズが。
彼がほんのわずかな泡盛をつゆに流し込んだその瞬間に味わいが一変、深みと旨みがいっそう増したつゆに感激しながらうどんを一気にかき込んでおりました。

もともと食事には定評があるこのお店ですが、まさかこんなにおいしいうどんまで食べられるとは。
和食と日本酒に始まり、最後もバーでうどんという思わぬ「和」の邂逅で締めを飾った嬉しい一夜でした。

長野の酒メッセ2009

2009.10.18

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去る10月15日(木)、ホテルメトロポリタン長野にて、今年15回目を迎える「長野の酒メッセ2009」が開催されました。
この「長野の酒メッセ」は、信州の地酒の素晴らしさを広く知ってもらおうと、県内の蔵元の若手で作る「若葉会」が主催し、今年は71の蔵元が参加致しました。

午後2時から始まったイベントは、一度入場すれば各蔵のブースで出されるお酒が飲み放題という事で早い時間から活況を呈し、特に夕方からは仕事帰りのお客様も加わって立錐の余地もない程の混雑となり、そのまま午後8時の終了時間まで、場内は溢れんばかりの熱気が続きました。

私はといえば、毎年若葉会の役員ということもあり昨年までは設営等でなかなか自分のブースに立つことが出来なかったのですが、今年は役員の仕事がかなり軽減されたことも手伝って、参加して以来初めて、最初から最後までずっとブースに張り付くことが出来ました。

当社のブースでは5種類のお酒をご用意したのですが、日頃からお世話になっている酒販店さんや飲食店さんをはじめとして、この日初めて「和田龍」の名前を知る方に至るまで、6時間に渡って次から次へとお客様が立ち寄られ、その都度説明を加えながらお酒をお召し上がり頂いた結果、用意した10数本のお酒は1本を残してすべて空になりました。
これだけお酒が無くなったのは初めてのことです。
おかげ様で終了後は、枯れ果てた声までもが心地よく感じられました。

最終報告でこの日の入場者は約2000名超と過去最高を記録。
この熱気が、ぜひこれからの長野の地酒の売り上げにも反映することを願って止みません。

写真上:オープン直前の会場
写真下:午後6時過ぎの会場

御礼

2009.10.10

9月9日の「ひやおろし」解禁日に発売を開始した「和田龍純米酒ひやおろし」、おかげ様を持ちまして当社在庫分はすべて終了致しました。
引き続き上田市・千曲市・長野市の酒販店様で発売しております。店名等お知りになりたい方は、お電話・メールで弊社までお問い合わせ下さい(日祝休)。
ご購入頂いた皆様には改めまして心より御礼申し上げます。
これをひとつの励みとして、これからまたステップアップを目指して参りますので、よろしくお願い致します。

「ひやおろし」最盛期

2009.09.12

前々回の当欄でも書いた「ひやおろし」、今最盛期を迎えています。
かくいう私もせっかくの秋の味覚だからと、9月になってから10本以上の「ひやおろし」を楽しんでいます。

ここでおさらいです。
「ひやおろし」とは、冬の厳寒期に仕込んだお酒をひと夏越して貯蔵し、秋口になってしっかり円熟したところで出荷する、いわばこの季節の日本酒の風物詩です。
9月の声を聞いて、各蔵から一斉に発売されます。

この「ひやおろし」、実は酒税法上の厳密な規定がありません。
裏返せばどんなお酒でも「ひやおろし」を名乗れるという事になります。
そんな中で、「ひやおろし」のあくまでも一般的な定義として、
①冬に仕込んでひと夏越したお酒であること。
②出荷時には「火入れ」を行なわない、いわゆる「生詰め」であること。
以上2点が挙げられます。

「火入れ」に関して少し説明します。
「火入れ」とはお酒を65℃前後に加熱する事で、これによって殺菌と酒質の安定化が図れます。
通常の日本酒は、搾った直後と瓶詰めする前の2度「火入れ」を行ないます。
対して、「火入れ」を一度も行なわないのが「生酒」です。
「生酒」は搾った時のフレッシュな状態が保たれる代わりに冷蔵貯蔵の必要性が生じます。

そして一度だけ「火入れ」を行なうのが「生詰酒」と「生貯蔵酒」ですが、このふたつは「火入れ」の時期によって呼び方が違います。
即ち、搾った直後のみ「火入れ」を行ない、瓶詰め前は「火入れ」をしないものが「生詰酒」で、「ひやおろし」はこちらのタイプです。
逆に、搾った直後は「火入れ」を行なわず「生酒」の状態で貯蔵し、瓶詰め直前に初めて「火入れ」をするのが「生貯蔵酒」です。

「生詰酒」は搾った直後に「火入れ」を行なうことで熟成に重点を置くのに対し、「生貯蔵酒」は出荷直前に「火入れ」を行なう事で「生酒」のフレッシュさを保ったまま常温流通を可能にする目的があります。

話を戻します。
そんな訳で「ひやおろし」は定義自体が緩いので、逆に蔵元それぞれの考え方で出荷されるお酒の状態も変わってきます。
例えば、お酒そのものは純米酒かアル添した吟醸酒か。
アルコール分に関していえば「原酒」のままか、割り水して通常のお酒と同じ15度前後にしてあるか。
貯蔵方法は常温か冷蔵か、冷蔵だったら何度の冷蔵庫に寝かせるか。
ちなみに弊社は、美山錦59%の純米酒を「原酒」のまま、搾った直後から4℃の冷蔵庫で貯蔵し(温度が低過ぎると熟成があまり進まないので)、直前に冷蔵庫から出して販売しています。

冒頭に既に10種類ほどの「ひやおろし」を楽しんだと書きましたが、本当に味わいは千差万別です。
舌の上に乗せた瞬間にふわりと柔らかさを感じる、言い換えればきれいに熟成が進んでいる「ひやおろし」に出会うとしみじみと「美味しい!」と思います。

1本の「ひやおろし」を「冷や」「常温」「ぬる燗」と飲み方を変えると、これまたがらりと味わいも変わります。
それもまた秋の味覚「ひやおろし」の楽しみ方のひとつです。

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