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またまた感動の1本

2010.02.06

また素晴らしいお酒に出会いました。

私が公私に渡ってお世話になっている須坂市(長野市の北に位置する街です)のM酒店のMさんから「よかったら後学のために」と頂戴した「郷乃誉(さとのほまれ)生酛純米大吟醸」(茨城県・須藤本家)の10年古酒。
10年古酒といっても、これは蔵元が寝かせたのではなく、Mさんが探究心のため自ら10年熟成させたもの。

Mさんは以前からメイン商材のひとつとして「郷乃誉」に惚れ込み取り扱われていて、私も折に触れいろいろな種類の「郷乃誉」を購入してはそのおいしさに唸っていました。
今から何年か前には、奈良の遺跡から炭化して発見された紀元前の古代米を遺伝子レベルで再現して仕込んだお酒「郷乃誉・山川草木」が発売され、2万円という価格に驚きながらも好奇心が抑えられずに友人数名と共同購入し、感銘を受けた思い出があります。

そして今回分けて頂いた「郷乃誉・生酛純米大吟醸」(Mさん熟成10年古酒)、これが10年経ったとは思えない透明感と柔らかさで、まさに「郷乃誉」のスタイルそのもの。
生酛ならではのしっかりとした酸や甘みもあるので、「軽い」のではなくキレある「旨口」で、まさに「深く柔らかい」味わいのお酒でした。
すいすい喉を通るのであっという間に飲み干してしまうところをすんでの所で踏みとどまって、あと数口分を次回のために残すのが精一杯でした。

ちなみにこの「郷乃誉」、どのお酒も使用米から始まって精米歩合・日本酒度・酸度など、成分が一切記されていません。
つまり、数字ではなく、あくまでも味わいで判断してほしいという蔵元の気持ちの現れかと察するのですが、これって確かにひとつの大切な姿勢かと思います。
今はとかく成分表示に惑わされて、私も含めてともすれば頭でっかちになってお酒を飲む場面も多いのですが、そうでなくてまず味わいはどうなんだ?そんな基本に立ち返って考えさせられた、そういう意味からも学ばされた1本でした。

さて話は変わりますが、「和田龍 純米しぼりたて生原酒」、おかげ様で今年度分の弊社の在庫は終了致しました。
お買い上げ頂いた皆様には改めて心より御礼申し上げます。
また2度3度とリピートしてご購入頂いたお客様や酒販店様には、その都度たくさんの勇気と元気を頂戴しました。
これを励みとして、これからも良質のお酒をご提供できるよう頑張りたいと思います。
本当にありがとうございます。

テキスト新調

2010.01.30

ファイル 154-1.jpg

写真の3冊は私にとって酒造りにおける座右の書です。
左側から
・酒造講本
・清酒製造技術
・国税庁所定分析注解
どれも真新しく見えるのは、このたび改訂版に買い換えたからです。

この3冊を初めて手にしたのは、私が学校を卒業して入った国税庁醸造試験所(現在は独立行政法人「酒類総合研究所」)の季節講習でした。

あれから約20年、青い表紙の「酒造講本」は、5年前から通い始めた「南部杜氏協会夏季酒造講習会」のメインテキストになっていたのを機に新版に買い替えました。
また、赤い表紙の「清酒製造技術」はこのたび「改訂版」が発売されたのを知って注文し、ついでに「所定分析法注解」も、こちらはほとんどページをめくる機会はなくなっているのですがせっかくだからと新版を発注して、発売元の日本醸造協会から届いたのが先日のことです。

既にぼろぼろになった古い3冊に比べると、当たり前ですが新しい本は染みひとつついていなくて、インクの匂いが立ち昇ってくるようで新鮮な感動に駆られます。
もちろんテキストはあくまでもテキストであって、酒造りの世界は正解のない手探りで未知の世界です。
ただその中でも、常に学ぶ姿勢を忘れてはならない、そんな気持ちの現れのひとつとして、リニューアルされピカピカになったこれらのテキストを折に触れ紐解いていきたいと思います。

おいしさの値段

2010.01.22

またひとつ、素晴らしい日本酒に出会えました。
「獺祭(だっさい)純米大吟醸45」(720ml/1,890円)。
価格まで記したのは、極めてコストパフォーマンスにも優れているからと思ったからです。

「獺祭」は今回が初めてではなく今までにも何本も飲んではいるのですが、今回の「純米大吟醸」をひと口飲んだ瞬間、改めてこのお酒の持つおいしさや魅力に圧倒された思いでした。

含んだ瞬間にまず感じるサラリとした舌触り、次に口の中で転がすと口いっぱいに広がる滑らかで上品な味わい、さらには強すぎず弱すぎずきれいに膨らむフルーティな含み香、それらが渾然となって口の中で踊り、そして飲み込むとスッと消え去ります。
そしてこれが1,890円!
見事なコストパフォーマンスです。

私が日頃からお世話になっている「獺祭」取扱い酒販店さんや飲食店さんから、蔵元の旭酒造株式会社の方針や酒造りの方向性は常々伺っていてその素晴らしさには心打たれていたのですが、今回その思いを新たに致しました。

ちなみに私も自社のお酒に関しての「コストパフォーマンス」、すなわちその味わいに対してお客様が妥当もしくは安いと感じて頂ける価格の設定にはいつも頭を悩ませております。

片やそのお酒の製造原価、片や自分が味わいから弾き出した販売価格、そのギャップに悩む事がしばしばで、必然的に利益を圧縮せざるを得ない結果となります(笑)。
もちろん製造原価分をしっかり価格に転嫁すれば済む話かもしれませんが、このスペックでこの味わいのお酒をこの値段で売りたいという自分のボーダーラインはどうしても譲るわけにはいかず、そのたびに葛藤する毎回です。

でもありきたりの言葉ですが、そうした苦労も、お客様の「おいしい」というひと言、あるいは「このおいしさでこの値段?安いね」のひと言ですべて吹っ飛びます。
これからもそのようなお酒を出荷できるよう頑張ります。

ちなみに予備知識として。
原価の中には酒税も含まれます。
酒税は製造場からお酒が出荷された時点で課税され、製造者が納税義務を負います。
税額は清酒・ビール・ウイスキーなど酒類によって異なります。
清酒の場合はアルコール度数に関係なく1キロリットル当たり120,000円と決まっており、換算すると一升瓶(1.8L詰)で216円、四合瓶(720ml詰)で86.4円、それぞれ酒税が掛かっています。
参考までにどうぞ。

さて、もうひとつお知らせです。
「和田龍純米にごり酒」が1.8L、720mlとも在庫わずかになりました。
3月もしくは4月には新酒に切り替わる予定ですが、それまでに一時品切れも予想されます。
取扱店様等、ご不明な点はお問い合わせ下さい。
これからもご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

お知らせ

2010.01.16

12月下旬に発売を開始した今期の「和田龍純米しぼりたて生原酒」ですが、おかげ様で大変好評を頂き、当社の在庫は1.8L・720mlとも残り僅少となりました。
取扱い酒販店様、あるいはご注文等お問い合わせは、当HPトップページ右下のアドレスからメールにて、あるいはお電話にてご一報下さい(日曜・祝日休)。
お買い求め頂きました皆様にはここで改めまして深く御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

正月雑感

2010.01.03

あけましておめでとうございます。
今日は思いつくままに頭に浮かんだ事を書き連ねます。

年末も押し迫って、折ある毎にお越し頂く埼玉県のお客様Nさんがお見えになりました。
「しぼりたて生原酒」の発売を知って、信州で年越しをされるに当たり、わざわざお買い求めにお寄り頂いたのです。
ここ数年は年内に発売が間に合わず、Nさんにもご迷惑を掛けていたのですが、今年は何とか間に合ってホッとしております。
Nさんと談笑する事しばし、たくさんのお酒を積み込んで目的地に向かわれるお車を見送りながら、このようなお客様おひとりおひとりに支えられながら商売をさせて頂いている事に感謝の思いを新たにした一瞬でした。
今年もまた、弊社そして私を支えて下さる皆様の思いに応えるべく、いつも感謝の気持ちを忘れずに精一杯努力していきたいと思います。

さて迎えた新年、初詣を済ませたあと所要のため慌しく1泊で東京へ行って参りました。
夜半に着いた東京駅、その足でエキナカのショッピング街「グランスタ」に立ち寄りました。
ここは数え切れないほどの弁当・惣菜・スウィーツのお店で賑わっていて、見ていて飽きる事がありません。
ふと思い立ち、その中で出店している酒販業界では有名な「はせがわ酒店」に立ち寄り、今宵の寝酒を買い求める事にしました。

棚に並んでいたお酒を見比べながら選んだ1本は「醸し人九平次<rue Gauche>純米吟醸720ml」1,575円でした。
この愛知の酒「醸し人九平次」、もともと私は大好きな銘柄で、これまでもほぼすべての種類を飲み干しています。
今回この1本を選んだのは、①これまでに飲んだことのない「九平次」だった事、②「山田錦/精米歩合50%/1,500円(税別)」という魅力的なスペックがどういう味わいなのか試したかった事、③「アルコール分13度」に興味が惹かれた事、以上の3点でした。

さて、その晩早速開けたその1本、ひと口飲んだだけでその素晴らしさに感銘を受けました。
まず舌に感じるサワサワとしたガス感、そして「九平次」のスタイルに共通する力強さと繊細さとが兼ね備わったインパクトある味わい、甘さと酸とのバランスが見事なんですね。
そしてスッと切れるフィニッシュの心地良さ。
正直なところ、13度という低アルコールの日本酒でこれだけ素晴らしいものを飲んだのは初めてで、衝撃を受けました。
その証拠に、1時間もしないうちに四合瓶1本がカラになっておりました。
改めて日本酒の奥深さを勉強させて頂いた次第です。

続いては他愛もない話ですが。
翌日、JR山手線の原宿駅に降り立ちました。
いつものように新宿駅に向かって右側のドアで降りようとしていると・・・何と開いたのは反対側のドア。
驚きながらもすぐに合点がいきました。
明治神宮の初詣客に対応するために、正月だけ上下線のホームを分けて混雑を緩和させていたのですね。
そういえば原宿駅を通るたびに、使われていない野ざらしのホームが目に入りましたっけ。
こういう時のためにあのホームは存在していたのですね。
ただそれだけの事でしたが、何だかちょっぴり得をした気分になりました。

そして上田に帰る新幹線、東京駅に到着する新幹線からドッと帰省客が降りてくるのに反して、東京発の新幹線はガラガラ。
今回も自由席に乗ったのにも関わらず、最後まで私が座った車両は半分ほどの座席が埋まっただけでした。

それにしてもいつも感心するのは、東京駅の東北・上越・長野新幹線ホームの清掃スタッフ。
今到着した新幹線が出発するまでのわずか数分の間に、目にも留まらぬ速さで車内を清掃していくのです。

まず倒れている座席のリクライニングを元に戻すと、それを合図に機械操作で全ての座席が逆方向を向きます。
その間にもスタッフは車内に残されたゴミ屑を素早く広い、背もたれのテーブルをひとつひとつ開けては吹き上げ、床にモップを掛け、その間わずか8分程度。
ちなみに彼らの存在のおかげで、東北・上越・長野新幹線は4面のホームしかない中で、現在の過密ダイヤの編成が可能になったそうです。

さて、そしてここからです。
スタッフが車内の清掃を終えると、全員が外に出たあとに一列に並んで、ホームで待っている乗客に深々とお辞儀をするのです。
このサービスを実践しようと考えた方は素晴らしいですね。
たったひとつのお辞儀で、それまで待たされていたイライラが吹っ飛び、逆に「ご苦労様」というねぎらいの気持ちが自然と湧き上がってきて、気持ち良く乗車する事ができるのです。
長野新幹線が開通する前、やはり信越本線の横川駅で、「峠の釜めし」を売っていた売り子さんが特急「あさま」が発車すると列車に向かって深々と頭を下げていた光景と重なります。
気持ちのこもったお辞儀、これってやっぱりサービスの基本ですね。

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