記事一覧

和田龍 新酒を味わう会

2010.06.10

ファイル 171-1.jpgファイル 171-2.jpg

毎年恒例の「和田龍 新酒を味わう会」を、今年も上田市内の会場で開催致しました。

今年で23回目を迎えるこの「新酒を味わう会」、社長や私が商売の枠を越えてお世話になっている皆様をお招きし、この春出来上がったばかりの新酒を、おいしいお料理や素敵な音楽とともにお振る舞いする、春の一大イベントです。

この日お集まり頂いたお客様は約100名。
わざわざ足をお運び頂いた皆様にご挨拶しながら、たくさんのお客様に支えられている感謝の思いを改めて噛み締めます。

この日の司会は、昨年に引き続いて、上田市にほぼ隣接する千曲市で「生坂屋商店」を営む若林数矢さんにお願い致しました。
彼は私より年下ではありますが、日本酒をはじめとする様々なお酒に対する情熱、あるいは長野県のみならず全国の酒事情を牽引するそのリーダーシップ等々、その人間性から私が心から尊敬する人物のひとりです。
私からのたっての依頼を、彼は今年も快く引き受けてくれたのでした。

会はまず社長の挨拶があり、その後は恒例の音楽タイムです。
毎年、社長もしくは私がご縁のある演奏家をお招きし、乾杯前のひとときを素敵な音楽でお楽しみ頂きます。

今年お呼びしたのは、弊社の社長と親交がある上田市出身のヴァイオリニスト、中澤きみ子さん。
世界各国を飛び回ってご活躍で前日ウイーンから帰国されたばかりの中澤さんがピアノ伴奏と共にご披露された曲目は、ベートーヴェンソナタ第5番「春」より第1楽章、そしてサラサーテの難曲「チゴイネルワイゼン」。
そして鳴り止まぬ拍手の中アンコールとして山田耕作「からたちの花」、これらの曲がストラディヴァリウスの音色(ねいろ)とともに会場に鳴り響きました。

演奏のあとは私から本日お出しするお酒の説明です。
本日お出しするお酒は5種類。
中でも、5年目にして納得の出来栄えとなった「登水(とすい)」の「吟醸酒」と「純米酒」についてはひときわ熱く語らせて頂きました。

そしていよいよ乾杯です。
ご発声は、上田市の繁華街で今年10周年を迎える「レストランバーLibiamo(リビアーモ)」のオーナーソムリエである坂田英昭氏(以前このブログにも登場)。
彼は若干20歳半ばでこのお店を開業し、以来良質のお酒とそして手ずから作り上げる料理とで今もたくさんのお客さんを魅了させ続けています。
私も繁華街に繰り出すと、その日の締めの一杯で必ず立ち寄る大好きな一軒です。
そんな坂田氏の素敵なスピーチとともに「乾杯!」、いよいよ酒宴が始まりました。

私もそれぞれのテーブルごとに、おひとりおひとりにご挨拶に伺います。

今年嬉しかった事のひとつとして、それまでは基本的に関係者のみだったこの「新酒を味わう会」に、和田龍を愛して下さる一般のお客様が加わって下さったこと。
それもわざわざお仲間おふたりを連れ立って、埼玉からのお越しです。
そのお客様Nさんは、日頃からこのブログで新しいお酒の発売を告知するたびにわざわざご来店下さり、その都度酒談義に花が咲き、昨年初めてこの会にご参加下さったのでした。
この日も楽しい会話で盛り上がりながら、結局3次会までご参加頂きました。

また、一昨年・昨年と2年連続でエレクトーン演奏をして下さった神田将さん(http://www.yksonic.com/index.html)も、今回は一般のお客様としてわざわざお越し下さいました。
それまでの常識を覆す現代エレクトーンの衝撃の演奏から早一年、皆様にご来場をご紹介差し上げると、この日も「今日は演奏はしないの?」「CDの販売はないの?」といった声とともに神田さんのテーブルにはお客様の列が絶えず、改めて神田さんの演奏が皆様に与えた感動の大きさを思い知らされたのでした。

途中はこれまた恒例の「和田龍グッズ」の大抽選会。
この日の景品は、前回のブログにも掲載した「酒ようかん真田太平記」をはじめ「和田龍Tシャツ」「和田龍エプロン」そして本日演奏頂いた中澤きみ子さんのCD、これらの商品が歓声の声とともに当選したお客様に手渡されました。

そして楽しい宴もあっという間にお開きの時間となりました。
改めて弊社の社長が前に立ち、皆様へのお礼の言葉を述べさせて頂きながら、今年の「和田龍 新酒を味わう会」が今年も無事幕を閉じました。
そしていつもの事ながら、中身が残ったお酒のビンをお客様が1本残らずお持ち帰りになったのを見届けながら、たくさんの方に支えられているという感謝の思いを新たにするのでした。

酒ようかん

2010.05.29

ファイル 170-1.jpg

弊社のある信州上田市は、真田氏が築城した上田城を中心に広がる城下町です。
そして昨今の歴史ブーム・お城ブームの盛り上がりや、上田市が舞台の映画「サマーウォーズ」の公開に伴って、上田市を訪れる観光客や「歴女」の皆様の数もうなぎ上りに多くなっております。

そんな中、弊社の本醸造酒「真田太平記」を使用した「酒ようかん 真田太平記」がこのたび発売されました。

ただし、製造したのは弊社ではありません。
販売元は、やはり上田市に本社を置く関製菓株式会社さんです。
そしてこの「酒ようかん」が生まれるまでにはひとつの物語がありました。

今からさかのぼる事40年以上前、私が物心ついた時に、私の会社にすでにその番頭さんはいました。
その番頭さんKさんは何かに付け、年端も行かぬ私をいつもとても可愛がってくれました。

そしてKさんには3人のお子さんがいて、特に私より一歳下の長男N君とはいつも一緒に遊ぶ仲でした。
蔵の中で遊んだり、あるいはKさんにふたり一緒にどこかへ連れていってもらったり、今でも楽しい思い出がたくさん蘇ってきます。

それから時が経ち、私は東京や大阪での修行を終えて20歳代後半で実家に戻り、それからしばらくして、Kさんは退職しました。
その時の寂しさ、心の空虚さは今でも忘れません。

そして更に時を経て昨年、Kさんが亡くなったという訃報が私の元へ届きました。
呆然としながら通夜会場へと賭け付けると、そこには久々に会う、目を真っ赤に腫らしたN君がいました。
しばらく会っていなかったにも関わらず、そこには小さい頃から慣れ親しんだN君がそこに居て、気が付くと私は彼に擦り寄って互いに悲しみの仲で言葉を掛け合っていました。
何かあったらいつでも連絡してきてほしい、そう言い置いて私は斎場をあとにしました。

それから時を待たず、N君から電話がありました。
この前のお礼がいいたいと私の事務所に寄ったN君と私は、しばらくぶりに尽きぬ話に花を咲かせました。
お父さんの思い出、お互いの近況、そんな事を語り合いながら、彼が今、製菓会社の営業頭をやっている事を知らされました。
そんな中で出てきたのがこの「酒ようかん」のアイディアです。

自分が幼い頃から慣れ親しんだ和田龍酒造の酒を使って「酒ようかん」を完成させたい、そう語ってくれたN君は、それ以降も頻繁に事務所に顔を出しては、進捗状況を教えてくれました。
そしてこれもひとつの縁で、たまたまふたりが共通して知る印刷会社の社長が装丁デザインやPOPを手掛けてくれ、そしてこの春、ついにその「酒ようかん 真田太平記」は完成しました。

試作品を持ち込んでくれた彼の前で早速みんなで試食したこのようかんは、酒の香ばしさがしっかりと感じられ、決して甘すぎず、絶妙なバランスの味わいで、辛党の私が思わず「うまい!」と叫んでしまった、贔屓目抜きで本当においしいようかんでした。
ここまで頑張ってくれた彼の思いに感謝しながら、弊社の店先でも早速その日から、この酒ようかんを置き始めております。

そんな訳で、この「酒ようかん 真田太平記」は、今は亡きKさんとそしてご子息のN君との思いが結実した、和田龍酒造にとっても大切な一品なのです。

ちなみにそのN君が店長を勤める関連商品のHP「信州上田 真田軍団」が開設されました。
もしよろしれば立ち寄ってみてください。

http://www.sanadagundan.com/

真田太平記 酒ようかん 1個420円

長野の酒メッセin東京2010

2010.05.23

ファイル 169-1.jpg

写真:会場30分前の場内


去る5月19日、今年で7回目となる「長野の酒メッセ in 東京2010」がグランドプリンスホテル赤坂で開催されました。
長野県内から約60の蔵が出展し、各々のブースで自慢のお酒の数々がお客様に振る舞われました。

そして弊社は実は今年が初参加。
これまでにも東京のお客様からは、何で和田龍酒造は出展しないのかとお声掛け頂いていた事がたびたびだったのですが、今年出展に踏み切るきっかけとなったのは、ひとえに新酒の出来栄えが素晴らしかったから。
特に今年で発売から5年目を迎える「登水(とすい)」は、「吟醸酒」「純米酒」どちらも私が求める方向性として納得できるお酒が出来上がってきたので、ぜひ多くの皆様のご意見を聞いてみたいと、大海へ飛び込む思いで出展を決めたのでした。

そんな訳で、今回出品したのは「登水・吟醸酒」と「登水・純米酒」の、あえて2種類だけ。
少数精鋭のラインナップで皆様の忌憚のないご意見を頂くべく、緊張の思いで当日を迎えました。

午後1時会場。
最初は暇で手持無沙汰だった弊社のブースにも、しばらくするとちらほらとお客様がお見えになるようになり、少しでも自分の思いを伝えようと説明を繰り返しているうちにお客様の数はどんどん膨れ上がり、私と妻のふたりでは応対が間に合わないほどの慌しさとなりました。
でも忙しさにかまけてお客様のグラスにただお酒を注ぎ、飲んで頂いてさようなら、それでは何の意味もないと思い、すべての皆様と少しでもお話ししようと自分なりに精一杯お声掛けして、私の説明を聞いて頂きました。

嬉しかったことがたくさんあります。

まず、たくさんの方から名刺を頂いたこと。
正直申しまして、何せ初めての出展であまり自信がないものですから、お客様から望まれた時だけ名刺をお渡ししようと密かに思って会に臨んだのですが、蓋を開ければ多くの皆様が名刺交換をして下さり、その一枚一枚がこの日の私の大きな財産となりました。
今でもその名刺を眺めると、そのお客様と話した一瞬一瞬が鮮明に蘇って参ります。

ふたつめ。
我々のブースを2度3度と繰り返し訪れて下さったお客様がたくさんいらした事。
一度お話ししたお客様がしばらくしてまた戻って来られた時というのは、少しでも弊社のお酒を気に入って下さったかあるいは関心を持って下さった証拠と勝手にひとりごち、それをその都度心の励みにしておりました。
同じお客様と何度もお話ししているとだんだん気心も知れてきて、ついプライベートな話題にまで及んで花が咲くという楽しさも味わうことができました。

みっつめ。
知っている方は誰も見えないだろうという事前の予想に反して、驚くほど多くの顔見知りの皆様がお越し下さったこと。
中には、日頃東京でお世話になっている飲食店の常連のお客様で、私はよく存知上げている反面、先方は私のことは知らないだろうと思っていた皆様が名指しで次々に来られて、感激する場面もしばしばでした。
自分は多くの方々に支えられていると思った一瞬でもありました。

夕方から会は一層賑わいを増し、続々と来場されるお客様との会話で息を付く間もないほどの忙しさです。
でも楽しさが先行して、まったく疲れを感じないんですね。
そして午後8時、場内に「蛍の光」が流れてきて終了の時間が来たことを知りました。
本当に充実してあっという間の7時間でした。

この日最後のお客様となった、やはり今日何回も弊社のブースを訪ねて下さった若い女性を名残り惜しみながらお見送りして、私にとっての初めての「長野の酒メッセ in 東京」が無事お開きとなりました。

念のためかなり多めに持っていったお酒も、数えてみれば1本を残すだけ。
その空ビンを片付けながら、充実感に溢れた今日1日の余韻に浸ったのでした。

この日和田龍酒造のブースを訪れて下さった皆様、改めまして心より御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

酒蔵見学in山口

2010.05.17

ファイル 168-1.jpgファイル 168-2.jpg

写真上:八百新酒造株式会社
写真下:旭酒造株式会社(右にちょっと見える白い建物が新蔵)


先週末、長野県酒造組合の青年部にあたる「若葉会」の、年に一度の研修旅行に行って参りました。

今年の行き先は山口県。
研修の中心は当然酒蔵見学ということで、今回お伺いしたのは2蔵。
「雁木」の八百新酒造さんと「獺祭(だっさい)」の旭酒造さんです。

万年旅行幹事の私としては山口までの遠方でどれだけの参加者があるか心配だったのですが、どちらも魅力ある蔵元という事で大勢の蔵元が参加して下さり、心配は杞憂に終わりました。

そして迎えた旅行当日、前夜は広島市内で交流の花を咲かせた一行は翌早朝から山口県岩国市内入り。
まずは「雁木」の八百新酒造を訪問致しました。

出迎えて下さった社長さんが最初に蔵の方針や造りを丁寧に説明して下さいます。

「雁木」の特徴は、ひとことで言うと、全量山田錦を使用し、純米無濾過生原酒にこだわっているという事。

社長さんはそのあとの蔵見学の間も、我々からの尽きない質問にかなり謙遜されながら答えていらっしゃいましたが、その言葉とは裏腹に、造りや酒質への思いは揺るぎない自信に満ちているように感じられました。
「造り」では麹に付きっ切りになるとおっしゃる社長さんのお言葉通り、「雁木」の麹造りのこだわりの数々は、我々にとっても大いに勉強になりました。

最後に「雁木」の2種類を試飲させて頂き、生原酒とは思えない滑らかな舌触りに感動しながら八百新酒造さんをあとにしました。

午後の見学は、今や日本のみならず世界を席捲している「獺祭(だっさい)」の旭酒造です。
岩国の山奥に位置しながら「この20年間で500%の売り上げ増を達成」(旭酒造HPより)された旭酒造、その桜井社長さんはメディアや雑誌にも頻繁に登場する「時のひと」でもあります。

「獺祭」を人気たらしめた理由はいくつもあります。
・全量山田錦で、純米大吟醸のみの造り。
・時代に先駆けて「磨き二割三分」(つまり精米歩合23%・・・驚異の数字です)の発売。
・「遠心分離システム」によるしぼり。
 etc.
そんな数々のこだわりのもと出来上がったお酒は、私も日頃から、弊社の得意先でもある長野の特約の酒販店さんで購入して飲んでいます。

さて、午後1時の約束にも関わらず正午過ぎに早々到着してしまった我々一行、しかし待つ事しばし、蔵の奥から現れた桜井社長は嫌な顔ひとつせず、すぐに若き杜氏を伴い、見学を開始して下さったのでした。

蔵を回りながらまず驚いたのは社員の皆さんの若さ。
杜氏さんが35歳、皆さんの平均年齢が30代前半との事。

加えてこの旭酒造さんは年間を通しての四季醸造という事もあり、通常の酒蔵はこの時期仕込みは終えている中、どのセクションも造りの真っ只中で活気に満ち溢れていました。

途中、話題の遠心分離システムや完成したばかりの新蔵を惜しげもなく見せて頂き、蔵元の考え方やそれを実現していくスケールの大きさに感嘆しながらひと通りの見学を終え、最後に分析室で試飲をさせて頂きました。

出されたのは出来上がったばかりの精米歩合39%の純米大吟醸、その通常の搾りのものと遠心分離によるものの2種類。
ちなみに同じスペックでも、遠心分離によるお酒は値段が高く設定されています。

興味津々で両方を口に含み転がすと、うん、確かにはっきりと味わいの違いが分かります。
どちらも大変おいしいお酒ですが、遠心分離のお酒のほうが「艶(つや)」がより一層際立って感じられます。
なるほど、遠心分離による酒質はこのようになるものなのかと大いに勉強させて頂いた次第です。

最後は社長さんご夫妻やご子息さん、杜氏さんに見送られながら旭酒造をあとにしました。

そんな訳で今回見学させて頂いた2蔵、持ち帰ったたくさんの感動や知識を、ぜひ今後の自社の在り方に少しでも反映させていければと思いました。
帰宅したのは午前1時、山口の暖かさと打って変わって底冷えする信州の空気を感じながら、しかしこの2日間の「熱」が睡魔の訪れをしばし遅れさせていたのでした。

もひとつ、新酒誕生

2010.04.11

先々週発売を開始した新酒「登水(とすい)吟醸・直汲み生原酒」、おかげ様で好調な出足を頂いています。

何より嬉しいのは、一度納品させて頂いた酒販店様からすぐに二度目のご注文を頂くこと。
リピートを頂いた瞬間というのは、嬉しさでそれまでの苦労や疲れが吹き飛びます。
と同時にそれは、わざわざお取り扱い頂き売って下さる酒販店様と、買って下さったお客様に感謝する瞬間でもあります。

さてそんな中、「登水・純米酒」も先日いよいよ搾れました。
はっきり申しまして、大変いい出来と思います。
まず香りはさり気なく鼻腔をつく、ライチやライムを思わせる心地よい柑橘系。
そして口に含むと、バランスの取れた軽やかな旨みがフワリと膨らみ、アフターにきれいな酸が舌を洗い流して、キレも抜群です。
その軽快さは17度というアルコール度数を感じさせません。

そんな訳で、この「登水・純米酒」も初回限定で「直汲み生原酒」として発売致します。
週明け早々にビン詰めして、来週木曜日から発売開始の予定です。
ぜひお試し頂ければ幸いです。
もしご不明な点がございましたら遠慮なく当HPのトップページよりメールにてご一報頂ければと存じます。

ちなみに価格ですが、大変申し訳ございません、発売以来ずっと価格を据え置いて参りましたが諸物価の高騰には勝てず、「登水吟醸酒」同様、1.8Lで200円、720mlで100円、値上げさせて頂きます。


〇登水純米酒・直汲み生原酒(初回限定品)
・1.8L:2,700円(税込2,835円)
・720ml:1,400円(税込1,470円)

ページ移動