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第2回「日本酒ええじゃないか!」レポート

2011.05.23

昨年第1回が開催され大好評を博したイベント「日本酒ええじゃないか!」。
その第2回が昨夜、上田駅前のホテルで盛大に開かれました。

あらゆる面において型破りなこのイベント。

まず素晴らしいのは、主催者の「上田利き酒師5人衆」なる酒販店の若手5人が蔵元を召集するという、そのスタイルです。
昨年は「5人衆」の求めに応じて上田の4蔵が参加しましたが、今年はそこに佐久の7蔵が加わり、計11蔵のお酒がお客様に振る舞われました。

そして出品された各蔵のお酒が、これまた素晴らしい。
「5人衆」の心意気に答えて、それぞれの蔵元がここぞというお酒を持ち寄りました。
テーブルにずらりと並んだそのラインナップはまさに圧巻です。

ちなみに当蔵からは、「登水(とすい)・美山錦純米吟醸」より、搾った直後に一度だけ火入れをした「生詰め」を出品致しました。
一切火入れをしていない「生酒」も考えましたが、火入れ後2ヶ月が経ち、しっかりと味が乗り始めた火入れ酒のおいしさを味わって頂こうと思い、あえてこちらを選びました。

さらに特筆すべきは、日本酒イベントの枠を越えたアトラクションの数々です。

オープニングからして、「ミッション・インポッシブル」のテーマソングに乗って、アクション映画ばりの「5人衆&参加蔵元紹介」のPVでスタートします。

そして蔵元紹介があり、そのあとの乾杯がこれまたひと趣向。
乾杯のお酒は銘柄が明かされず、今日の出品酒のどのお酒なのかがクイズ形式になっているのです。
最後になって明かされた回答に大いに場内が沸く中、この日も正解されたお客様には記念品が手渡されました。

その他にも、上田出身のラップバンドのミニライブあり(老若男女問わず、ものすごい盛り上がりでした)。
「5人衆」けんちゃんによるマジックあり(これまた笑いと歓声に包まれた玄人はだしのショーでした)。
そして長野県人ならみんな知っている信州プロレスの人気レスラー、グレート無茶の飛び入りあり。
さらにはサザンをこよなく愛する「5人衆」くんちゃんから、まさに桑田を彷彿させる、渾身のサザン2曲の披露あり(会場内オールスタンディングで拍手の嵐でした)。

そんなこんなで、我々蔵元もホストという立場を越えてお客様と一体となって楽しみながら、あっという間の3時間が過ぎていったのでした。

お客様がお帰りになったあと、残ったお酒はすべてお客様がお持ち帰りになり空ビンだけが残った会場内を見渡しながら、このイベントの余熱と余韻とをしばし楽しみました。

「上田利き酒師5人衆」の皆さん、我々蔵元にもたくさんのパワーを与えて頂き、本当にありがとうございました。
ちなみに第3回「日本酒ええじゃないか!」は9月15日に開催が決まっています。

酒場の片隅で。

2011.05.15

先日、東京四谷の日本酒専門酒場を訪問した時のことです。

こちらのお店は、店長さんはじめスタッフの皆さんと昨年とある展示会で知り合いました。
それから折に触れ叱咤激励を頂き、時にはわざわざ信州上田までお越し下いて様々なアドバイスを頂戴し、仕事を越えたお付き合いをさせて頂いて参りました。
当然、酒質には一切妥協を許さないお店なので、今年の新酒に関しても合格のお言葉を頂いた時は、飛び上がるほどの嬉しさでした。

この日はそんなお店のカウンターの片隅で飲んでいると、隣に座ったご夫妻が、何と偶然にも当社のお酒を飲まれているのを発見しました。
こういう時はくすぐったい嬉しさに包まれる反面、ものすごく緊張もしますよね。
隣に当の蔵元がいるとも知らずにどんな会話が飛び出すのか、酔いも覚めんばかりに胸が高鳴ります。

そうこうしているうちに店長さんが私の正体を明かし、目を丸くするご夫妻とあっという間に意気投合。
気が付くと今知り合ったとは思えない間柄のように、楽しく語り合っている私たちがいました。

お互いに身分を明かし合い、お酒の話で盛り上がり、会話の輪が広がっていく、これぞ日本酒マジックです。

そのうちにご夫妻の奥様がさり気なくひとこと。
「私、お酒の匂いを嗅いただけで、どんな方がこのお酒を造ったのか、その姿が頭に思い浮かぶんです」
何とも魅惑的で素敵なお言葉です。
「すみません、私、自分のホームページでブログを書いてまして、今のその言葉を載せてもいいですか?」
お許しを頂いたので載せちゃいました。

そうこうしているうちに時間も経ち、ぼちぼちお暇しようとお会計を済ませて席を立ったところ、店長さんに呼び止められました。
「あちらにいるお客様が和田さんのお酒を飲んで感激して下さっているよ」
そう言って、若手数名で飲んでいるテーブルに案内されました。

店長さんにご紹介頂くと歓声があがり、双方驚きと感激の中でしばし会話に花が咲きます。
上田を舞台にした映画「サマーウォーズ」の名前も飛び出して、何とも嬉しい気分です。
せっかくだからと私は皆さんに名刺をお渡しして、「もし上田にお越しになる機会がありましたら、お酒は買わなくてもいいです、これもご縁ですからぜひご一報下さい」とお伝えしました。

そして今日パソコンを開くと、見知らぬアドレスからメールが届いています。
何と、その時会話を交わしたおひとりからのメールでした。
嬉しかったですね!
あのようなさり気ない出会いを大切にして下さったその方のお気持ちに感激しながら、すぐに返信を打ちました。

酒場の片隅で起きたさり気ない、けれど嬉しい出来事でした。

酒は人と人とを繋ぐ人生の名脇役。
今日も酒場のあちこちでたくさんの出会いがあります。

嬉しい来訪者

2011.04.22

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嬉しい来訪者がありました。

神奈川県横須賀市の酒販店「Sake芯」のご主人、松尾さんです。
昨年7月28日の当ブログでも「こんな酒屋もある」というタイトルで登場されています。

松尾さんは大の日本酒好きが高じて、脱サラして酒販店免許を取得され(本当に凄いことです!)昨年1月に「Sake芯」をオープンされました。

このお店で特筆すべきなのは、店舗そのものがないこと。
「Sake芯」を訪れると普通の自宅の2階に通されますが、その和室こそが「試飲室」兼「酒売り場」なのです。
お客様はこの和室でじっくりと松尾さんとの対話と利き酒を楽しみながら、納得の1本を選ぶことができます。
一般に例を見ないこのスタイルは、当時の業界の専門紙にも大きく取り上げられました。

松尾さんと私との出会いは昨年5月の東京での展示会でした。
その時はお取り引きまでは至らなかったのですが、来年もう一段上のお酒が完成するのを待っているというお言葉を胸に刻み込みながら、松尾さんとの交流が始まりました。

昨年の夏には初めて「Sake芯」を訪問。
その時頂いた激励のお言葉や試飲させて頂いた数々のお酒は今でも忘れずに私の心に残っています。
横須賀出身の今は亡きX-JAPANのhideの大ファンだと伝えると、わざわざhide musiumの跡地まで車で案内して頂きました。

そしてこの春、出来上がったばかりの「登水(とすい)」の新酒をお送りしたところ、しばらくして「素晴らしいです!」という一文から始まる嬉しいメールを頂きました。
追って文中、お取り引きを開始したいとの内容が盛り込まれていたのを目にした時、どれほど感激したことか。
本当に感謝の思いでいっぱいでした。
そのメールの中に、ぜひ上田へお伺いしたい旨も記されていました。

そして先日、満を辞してのご訪問。
当社をはじめとして、桜咲く上田城址公園やあちらこちらの信州の風景をご案内しながら松尾さんと交わした酒談義は、いつまでも私の心に残る事でしょう。
気がつくとあっという間に帰りの新幹線の時間、名残り惜しくお見送りをしながら、人とのご縁の大切さ、人に支えられる嬉しさを改めて実感したひとときでした。

松尾さん、本当にありがとうございました。
そしてこれからもよろしくお願い致します。

Sake芯ホームページ http://www.sake-sin.com/

「登水」新酒、発売開始

2011.03.30

いよいよ本年度の「登水(とすい)」新酒の発売を開始致します。
以前このブログでも少し触れましたが、今年の「登水」は装いを一新致します。

これまでの「登水・吟醸酒 (山田錦/精米歩合59%)」は、今年度より醸造アルコールの添加を廃止し、「登水・山田錦純米酒」となります。
また、これまでの「登水・純米酒 (美山錦/精米歩合49%)」は、スペックはそのままに、名称を「登水・純米吟醸酒」に変更致します。

双方が純米酒となった事により、山田錦と美山錦、ふたつのお米から来る味わいの違いを今まで以上にお楽しみ頂ける事と存じます。
「山田錦」はどっしりとした重厚な味わいに、片や「美山錦」は香り高く軽快な味わいに仕上がっています。

また、和食だけでなく洋食や中華、エスニックなど、多様化する食卓にも合わせて頂けるよう、あえて「酸」を少し多く出しました。
これにより、キレよく、肉や油や香辛料にもきれいにマッチすること請け合いです。

それでは今年度の「登水」、ぜひご賞味頂ければ嬉しいです。
今年もおいしいでいすよ!
なお、お取扱い酒販売店様、あるいは料飲店様をお知りになりたい方はメールにてお問い合わせ下さい。

登水・山田錦純米酒    1.8L 2,940円/720ml 1,470円

登水・美山錦純米吟醸酒 1.8L 2,993円/720ml 1,496円


※一切「火入れ」をしていない「生酒」、しぼった直後に1度だけ「火入れ」をした「生詰(なまづめ)」、両方ございます。

今だからこそ、元気に酒を飲もう!

2011.03.23

今回の震災では東北方面の酒蔵も甚大な被害を受けました。
受けた損害の大小こそあれ、ほとんどの蔵元がしばらくは出荷不能の状態です。
中には今だに連絡すら取れない蔵元もあります。

そんな中で被害を受けた蔵元のためにも、我々日本酒を愛する者が出来る事は何か。
ひとつは元気に酒を飲む事だと思います。

震災以降、経済が沈滞化傾向にあり、その流れは流通業界や飲食業界にも及び始めています。
まずはそんな流れを食い止めなければなりません。

確かに世の中は自粛ムードです。
でも被害を受けた蔵元が元気になって戻ってきた時に、もう一度その蔵元のおいしいお酒が飲める土壌を作っておくためにも、今こそ日本酒を愛する我々がお酒を飲みましょう!

今さら言うまでもありませんが、お酒は人の心を癒し、人と人とを繋ぎ、そして人の人生を豊かにする、人生の名脇役です。

そんな日本酒をこれまで以上盛り上げるために、そして東北の銘酒復活のために、今日も元気よく日本酒を酌み交わしましょう。

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