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当蔵もようやく。

2008.01.16

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先日の続き。

というわけで、当蔵も今年度の「純米しぼりたて生原酒」、季節限定で発売を開始しました。

精米歩合:70%
アルコール分:18.2
日本酒度:+4
酸  度:1.8
アミノ酸:1.4

純米酒特有のふくよかな柔らかさと、新酒ならではの荒々しいフレッシュさとが絶妙な調和を見せています。
ちなみに活性炭ろ過はしていません。
今の時期なら鍋料理に合わせると、具材が肉でも魚でも、出汁の力強さとあいまって、お酒がどんどん進むこと請け負います。
お値段は4合びんが1260円、一升瓶が2520円です。

「生」って?

2008.01.15

酒造りが真っ盛りのこの時期の旬のお酒として、各蔵からしぼりたての生酒が発売されています。
ではこの「生酒」とはどういうお酒なのでしょう?
その名の通り、「生酒」とは一切加熱処理していないお酒のことです。
「生酒」の香りは、青竹のような、あるいは沢の流れのような、みずみずしい独特のものなので、慣れればすぐに分かります。

では「生酒」ではないお酒とは?
通常のお酒は、60~65℃以上で2度加熱(=「火入れ」といいます)を行います。
一度目はお酒をしぼったあと、二度目は瓶詰めする時です。
「火入れ」をする理由は2つ、ひとつは殺菌のため、もうひとつはお酒の中に残っている酵素を破壊するためです。
ひとつめの殺菌については、「火落ち菌」という、繁殖すると白濁して品質を著しく劣化させる菌を除去させる目的です。アルコール耐性を持つ菌なので、加熱による除去が必要なのです。
また、ふたつめの酵素の破壊については、酵素が残存していると清酒中での化学反応を促進させるので、それを防ぐのが目的です。
「火入れ」をしたあとは速やかに急冷します。
お酒の温度が高ければ高いほど各種の化学反応の速度も早まるため、変質や過熟を避けるためにはすぐに温度を下げなければならないのです。

ちなみに、通常2回行なわれる「火入れ」、これが1回だけだと呼び方が変わってきます。
しぼったあと「火入れ」をして貯蔵し、びん詰め時には「火入れ」を行なわないものを「生詰め」と呼びます。
秋に発売される「ひやおろし」は、一般的にこの「生詰め」状態で出荷されます。
一方、しぼったあと「火入れ」せず貯蔵し、ビン詰め時だけ「火入れ」を行なうものを「生貯蔵酒」といいます。
「生貯蔵酒」にすることで、常温での保存・流通が可能になります。
「生酒」の風味を半分残し、貯蔵時の品質の安定度も半分以上アップするといったところでしょうか。

使用禁止

2008.01.10

お酒の味わいや香りをお客様に伝える時、様々な表現を使います。
さわやか、柔らか、キメ細かい、軽快、フレッシュ、厚みのある、とろりとした・・・等々。
あるいはフルーツをはじめとして、他の食べ物に例えることもあります。
その中で、自分としては絶対に使わないと決めている語句がひとつあります。
それは何かというと、「ワイン」という言葉です。
「ワインのような」とか「ワインを思わせる」といった表現がそうです。
理由は単純で、単に日本酒を扱う者の意地です。
ですので、酒器をお勧めする時も「ワイングラス」とは言いません。
「クリスタルグラス」とか「透明な器」とか、そこは表現が難しいのですが、でも意地で突っ張ります。
ちなみに、だからといってワインは飲まないという事は全くなくて、清酒に並んで大好きです。

お酒の定義

2008.01.08

「お酒」とは何でしょう?
酒税法上の規定では、酒類とは「アルコール分1度以上の飲料」とされています。
ですので、例えばアルコール分が1%未満のアルコールフリービールは、法律上は「お酒」ではありません。
でも、飲んだらその分だけ、たとえわずかでもしっかりアルコールは蓄積されますので、車を運転される方は気をつけて下さい。

では「清酒」とは何でしょう?
大切なのは次の2点です。
①米・米こうじ・水を原料として発酵させること。
②漉(こ)すこと。
特に2点目の「漉す」というのは大切で、これが「どぶろく」との大きな違いです。
「清酒」は漉すことが、そして「どぶろく」は漉さないことが定義付けされています。
ちなみに「にごり酒」は、粗い目でしっかりと漉されています。

お酒の色

2008.01.05

あけましておめでとうございます。
無理のない範囲で肩の力を抜いて始めたこの「雑記帳」ですが、思わぬ方面から「読んでるよ」コールを頂いたりして、緊張すると共に励みにもなっている今日この頃です。
これからも時間を見つけてアップしていきますので、よろしくお願い致します。

さて、今日の話題。
お酒を扱っていて、ここのところしみじみありがたいと思うのは、お酒には色がついていて当たり前という認識が広がってきたこと。
そう、お酒にはもともと色があるのです。
そして、お酒を熟成させればさせるほど、色も少しずつ増してきます。

一方で、お酒の製成過程には「活性炭ろ過」というものがあります。
これは、搾ったあと、炭素の粉末の表面に空いた大小さまざまな多数の孔(あな)に、お酒の着色物質や雑味・雑臭成分を吸着させて除去し、品質をきれいにし安定させる技術です。
ただし、ここで活性炭を使い過ぎると、お酒の良い香りや味わいまで失われてしまうどころか、お酒の個性そのものが奪われ平坦な酒質になってしまう、いわば「活性炭ろ過」は両刃のつるぎなのです。

ですので、最近はこの「活性炭ろ過」は極力抑える方向にあります。
そこには、搾った時の状態にできるだけ手を加えたくないという思いがあります。
ちなみに、最近よく見られる「無ろ過」というお酒は、この「活性炭ろ過」をしていない、という意味です。
正直言うと10年ほど前は、お酒に少しでも色があると、お客様から直接苦情が来たなんて経験もしました。
でも今は、お酒に色があるのは自然なこと、そう思って頂けるので、こちらとしても胸を張って出荷できます。
そしてそれは蔵元だけでなく、このような知識を少しずつお客様に伝えて頂いた酒販店さんのお力が大きいと感謝しています。

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