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「碁盤切り」

2024.06.08

上田市出身の落語家で私も大ファンの立川談慶師匠が初出演し、師匠自らお勧め頂いた映画「碁盤切り」を観て参りました。

古典落語「柳田格之進」をベースにした、草なぎ剛主演の時代劇です。

率直な感想は、予想を超えてはるかに素晴らしかった、このひとことに尽きます。

碁打ちの達人で浪人武士の主人公が敵打ちを遂げようとする、疾走感あふれるリアルな世界と、主人公を取り巻く、江戸の街のユーモアとペーソスにあふれた落語ならではの世界とを、並行してしっかりと描き切ったシナリオと演出には、思わず「上手いなあ」と唸ってしまいました。

そしてもうひとつ、この映画で感心したことがあります。
それは碁打ちが碁を打つ、その打ち方がとても自然だった事です。

私は大の将棋ファンで、プロ将棋を観戦する事も大好きです。
そんな私がこれまで観てきた将棋を舞台とした映画では、ほぼ例外なく、俳優の駒の指し方が「それってあり得ないだろ」というほど上手くなく、それだけで興覚めしてしまう毎回でした。

しかしこの「碁盤切り」では、誰もが皆、石の打ち方が綺麗かつ鮮烈で、それがまたこの映画のリアリティと格とを数段引き上げていた感がありました。

もうひとつ。
オープニングから登場する、立川談慶師匠演じる長屋の大家は、まさに落語の世界の「大家さん」そのもので、映画の流れをほんのりと一変させる、とても微笑ましくインパクトある存在でした。

談慶師匠、素敵な映画をご紹介頂き、ありがとうございました。