プロ棋士の藤井聡太四段が、14歳でプロデビューして以来、公式戦29連勝の新記録達成という偉業を成し遂げました。
本当に価値ある記録です。
プロデビューが賞金額1位を誇る竜王戦の大舞台で、しかも対戦相手が最年長棋士で今や大ブレーク中の加藤一二三九段だったという「運」も、彼の才能の一部なのではと感じてしまいます。
ちなみに私が敬愛するプロ棋士は?と問われたら、加藤一二三九段、谷川浩司九段を真っ先に挙げます。
対照的なおふたりですけど。
ところで、これだけ将棋界がいい意味で世間を騒がせたのは、今から12年前、瀬川晶司アマが特例としてプロ編入試験を受けた時以来かと思います。
あの時は、一度は奨励会員としてプロ棋士の道を断念した瀬川五段(現在)がアマチュアとしてプロ棋士に勝ちまくり、プロ編入の嘆願書が受理されて、編入試験が実施されたというものでした。
プロと6局対戦して3局勝てば合格、というこの試験のプロ側の対戦相手は、実に変化に富む顔ぶれでした。
1局目(肩書きは当時)。
プロ棋士の卵、奨励会三段で、現在は将棋界の頂点に君臨する佐藤天彦名人(瀬川●)。
奨励会員としてアマには負けられないという佐藤の意地が盤面にほとばしり出た1局でした。
2曲目。
将棋界きってのバラエティ芸人、神吉宏充六段(瀬川〇)。
サービス精神旺盛な神吉は対局中にいきなり大盤解説場に顔を出し、観客に現局面を説明するという大技をやってのけました。
3局目。
久保利明八段(瀬川●)。
しばらく前のテレビ対局で、八段がアマチュアに敗れるという大盤狂わせとなったふたりの対局が再度組まれ、これまた大きな話題となりました。
久保の意地が瀬川の技術を上回った1局でした。
ちなみに久保は現在「王将」のタイトル保持者です。
4局目。
中井広恵女流六段(瀬川〇)。
八段とのあと、まさか女流との対局を持ってこようとは・・・。
女流棋士のトップを相手に、瀬川の見事な差し回しが光った対局だったと記憶しています。
5局目。
高野秀行五段。
中原誠永世名人の代理として出場した弟子の高野五段を破り、この瞬間、瀬川はプロ棋士の仲間入りを果たしました。
高野投了の瞬間は、藤井聡太四段29連勝の時と同じくらいのフラッシュが焚かれ、各メディアが殺到した光景を今でも覚えています。
という訳で話は戻って藤井四段。
次の対局は竜王戦決勝トーナメントの2戦目。
この1局の対局料はさすがの竜王戦で、勝てば52万円。
このままどんどん勝ち進み、仮に渡辺明竜王を破ってタイトルを取った時の賞金は4,320万円。
まだまだ難敵ぞろいですが、地位と名誉とを賭けた戦いに期待は膨らみます。