カーオーディオで久々に坂本龍一のライブ・アルバム「Media Bahn Live」を繰り返し聴いています。
YMO「散開」直後の1986年、私が大学3年の時に渋谷公会堂まで観に行った、この坂本龍一のソロツアーは衝撃でした。
衝撃その1。
坂本が弾くメイン・シンセサイザーがYAMAHAのDX-7だったこと。
YMO時代は、PROPHET-5やPOLYMOOGをはじめとして、我々には手の届かない機種の数々を使いこなして、それがまた魅力でもあったのだけれど(当時は銀座や新宿の楽器店に行ってはPROPHET-5にヘッドフォンをして、なりきりYMOを弾いたものでした)、このツアーでは当時20数万円で発売された、我々にも十分手が届くDX-7を弾いている姿を見て、価格よりも機能性を優先する坂本に一層のリスペクトを覚えました。
衝撃その2。
MIDIピアノの登場。
ピアノソロで披露された、YAMAHAが開発した世界初のMIDIピアノ。
ピアノソロ2曲目「ゴリラがバナナをくれる日」でピアノとシンセサイザーを同期させた音を聴いた瞬間、その圧倒的な美しさに、まさに椅子に叩きつけられたようなショックを受けました。
衝撃その3。
YMOから一転して、コンピューター・マニュピュレーターを置かない、すべてが手弾きの演奏だったこと。
このアルバムを聴くとどう考えてもコンピューター音源によるものに思える音も、実はすべて手弾き。
これはパーカッションのDAVID VAN TIEGHEMとキーボードのROBBY KILGOREの存在が大きい。
特にDAVID VAN TIEGHEMのアグレッシブなパーカッションは何度聴いても背筋に電流が走りそうなほどカッコよく、この音を聴きたいがために今もこのアルバムとビデオの「Media Bahn Live」をリフレインすることもしばしばです。
衝撃その4。
YMOの名曲「BEHIND THE MASK」の新バージョンの素晴らしさ。
原曲とはまったく別バージョンで演奏され観客のド肝を抜いた「BEHIND THE MASK」。
実はこれ、マイケル・ジャクソンのアルバムに収録するためにマイケル自身が新たに作詞したバージョンで、残念ながらちょっとしたトラブルで未収録に終わっています。
でも華麗なロック調に変身を遂げたこの曲は、イントロが流れた瞬間まさに総立ちの素晴らしさです。
おまけの衝撃。
男性ボーカルのBERNARD FOWLERがのちにローリング・ストーンズのツアーメンバーになったこと。
1990年にローリング・ストーンズが念願の初来日を果たして以来すべての日本公演に行っていますが、バックには必ずBERNARD FOWLERの姿があります。
ストーンズで彼を見るたびに、坂本のこのツアーと次の「NEO GEO」ツアーで歌っていた当時の彼をダブらせて感動するのです。