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ハンディカメラの正体

2014.12.05

上田駅から郊外の別所温泉駅まで、田園地帯を縫ってコトコトと30分ほどかけて走る上田電鉄別所線というローカル線があります。

今から10年以上前の事。

その日私は、当時はまだ小さかったふたりの子どもを連れて散歩がてら別所線に乗り、何となく気分で、途中の下之郷というやや大きめの駅に降り立ちました。

何をするともなく子どもたちとホームのベンチでたたずんでいると、片手に収まる小さなビデオカメラを持った若い男女が近付いてきて、おもむろに質問してきました。

「地元の方ですか?」
「何をしているのですか?」
「この辺でおすすめの場所ってありますか?」
「こちらの名物の食べ物はなんですか?」

延々と質問は続きます。
観光客かと思い、ひとつひとつ丁寧に答える私。

ひとしきり質問を終えると、若い男女は「ありがとうございます」と言ってその場を立ち去ろうとします。
「観光ですか?」と聞く私に、質問をした女性がひとこと。
「所ジョージの『ダーツの旅』です」。

放映の日、ビデオをセットして画面に食いつく私と家族。
しかし無常にも私や子どもたちは1秒も映ることなく、私のあとでインタビューされた、やたら面白いオバちゃんのみがクローズアップされていました。

あんな小さなビデオカメラじゃ、まさかテレビのロケとは思わないもんなぁ。
分かってたらもっと面白い回答を捻り出したのに。
後悔してもあとの祭り。

先日テレビをつけたら「ダーツの旅 総集編」を放映していて、ふとそんな出来事を懐かしく思い出したひとときでした。