夏というと「熊野大学」を思い出します。
今まだ「熊野大学」は続いているのだろうかと検索してみたところ、ちゃんとホームページがあるのですね。
そして今年もしっかりと開講されていることを知って嬉しく思いました。
「熊野大学」ホームページから抜粋します。
「熊野大学」は和歌山県新宮市出身の芥川賞作家・故中上健次氏によって1990年に設立されました。
「試験もない、校舎もない、校則もない」「だれでもいつでも入学でき、卒業は死ぬとき」という、そこに集うひとりひとりの志(こころざし)によって成り立つという全く尊い学校なのです。
中上氏は、氏の構想した「熊野学」の拠点とすべく「熊野大学」を設立されたのですが、惜しくも1992年夏46歳の若さで他界され、その後は氏の遺志を受け継いだ有志が中心となって活動を続けて現在に至っています。
毎年恒例の夏期特別セミナーは、渡部直己氏や高澤秀次氏にコーディネートいただき、 柄谷行人氏や浅田彰氏をはじめとする著名な評論家、作家、文化人等を ゲストに招いて開催されています。
(以上、ホームページより)
学生時代、この「熊野大学」に参加するためにどれだけ真夏の紀伊半島の新宮へ行きたかったことか。
そしてその数年後、中上の逝去の知らせを受けて、どれだけ悲しかったことか。
しかし中上健次の遺志は30年以上経った今も熊野の地でしっかりと受け継がれていました。
ちなみに今年8月8日~10日に開講された「熊野大学」は、同じく新宮が生んだ文学者「佐藤春夫没後50周年記念事業」と銘打って、「文学と女性性 ~佐藤春夫と中上健次をめぐって~」 というテーマで開催されました。
講師も以下の通り、そうそうたる面々です。(ホームページより抜粋)
大林宣彦、辻本雄一、松浦理英子、斎藤環、藤野可織、村田沙耶香、和賀正樹、中上紀、黒田征太郎(特別参加)、中村達也(特別参加)
上田から鉄道を使って最短でも約7時間の紀伊半島、新宮市。
遠いです。
でも、いつかまた中上健次の息吹をじかに感じるために、この地を訪問できる日を心待ちにしている自分がいます。