日帰りで東京へ出張した夜、30年来の親友2人と飲みました。
私の帰りの新幹線を考慮してくれて、彼らが選んだ店が、東京駅直結の新丸の内ビル内にある「神田 新八」。
店名通り神田に本店がある居酒屋で、私は初訪問です。
品書きを見ると日本酒や焼酎にも相当なこだわりが感じられます。
銘柄を選ぶ際、スタッフの男性と話していて驚いたのは、このお店の「火入れ酒」のほとんどが24BYであるという事。
ちなみに「BY」とは「BREWERY YEAR」すなわち「酒造年度」の事で、その年の7月1日から翌年の6月31日を指します。
仕込みのある冬を中心としているわけですね。
つまり「24BY」とは、平成24年7月1日から平成25年6月30日の間に造られたお酒で、要は1年前のお酒です。
なぜ「火入れ酒」をあえて1年前の24BYで揃えているか、その理由を聞こうと思ったのですが、スタッフの方があまりに忙しそうで、つい聞きそびれてしまいました。
たぶん熟成や品質の安定を考慮に入れての事と思います。
また、ある銘柄の純米吟醸の熟成酒を「冷や」で頼んだのですが、ひと口飲んでこれは「ぬる燗」も合うと友人と意見が一致し、件のスタッフにお願いしたところ、我が意を得たりという顔で「まさにその通りなんです」と言って、同じお酒を絶妙な燗で持ってきてくれました。
旨い!
数年前、当社の「純米しぼりたて無濾過生原酒」を発売した直後、懇意にしている東京の地酒専門酒場の若旦那から「これはぬる燗もいけるよ」と言われ、「冷や」一辺倒でお勧めしていた私は目から鱗の思いだった事を思い出しました。
この「神田 新八」のスタッフも、お店のお酒に対するこだわりを決して押し付けるのではなく、会話の中でさり気なく提案してくれる事で、飲み手を身も心も気持ちよく酔わせてくれます。
そしてお造り、焼き物、出汁巻き・・・出てくる料理のおいしさといったら。
また1軒、素敵な店との出会いでした。
お店を出てから電車までのわずかな時間、友人の勧めで7階へ上がり、バーのカウンターでカクテルを買い求めて、それを持って屋外のテラスへ。
東京駅周辺の夜景をバックに、涼しくなった夏の夜風を浴びながら、束の間の時間を尽きぬ会話で過ごしたのでした。