2~3年前までは、いわゆる「スナック」には、自分からは足を運ばないものと思っていました。
人見知りをする私としては、スナックに入ってもママやお店の女性に気を遣わせてしまうばかりで、逆に私も疲れてしまうし、自分はスナックの客としては不向きだとずっと感じていました(もちろん仲間に誘われた時は、仲間との会話を楽しむために喜んで行きますけど)。
そんな中、私が折に触れ足を運ぶスナックが、上田市の繁華街に1軒できました。
スナックF。
このお店の存在を教えてくれたのは、いつも公私ともどもお世話になっている上田市の地酒専門店、宮島酒店の若き店主、宮島国彦さんです。
ちなみに宮島酒店さんは長野県内の地酒に特化して、宮島さんのご自身の舌に叶った商品だけを扱う、長野県のカリスマ的存在の酒販店です。
そんな宮島さんと初めてスナックFにご一緒させて頂いた日、真っ先に感動したのは、スナックでありながら日本酒の品揃えが豊富である事と、そしてそれ以上に、お店を切り盛りするNママが日本酒をこよなく愛して下さっている、その思いに対してでした。
もちろんウイスキーも置いてあります。
でもこのお店では、それと同格で日本酒の四合瓶がずらりと並んでいます。
日本酒のボトルキープはできません。
抜栓したお酒を次にいつ飲まれるか分からない状態で置いておくのが、Nママには耐えられないのです。
ですからこのお店では日本酒はボトルで売り切りです。
カウンターの真ん中には専用の酒燗器もあります。
希望があれば絶妙な温度で燗酒が供されます。
数年前に始まった、長野県内一斉に信州地酒で同時刻にカンパイしようという大イベント「カンパイFES」。
当日は多くの飲食店、ホテル・旅館に混じって、このお店はスナックという形態でありながら、たくさんのお客様を集めて毎年参加して下さっています。
スナックFに何度か通っているうちに、このお店は宮島さんを輪の中心として、多くの蔵元や酒販店の皆さんが足繁く通うお店という事が分かってきました。
味とサービスに厳しい、旅館を経営する私の親友が常連である事も判明しました。
そしてNママご自身が、明るくて快活なお人柄の内に、極めて繊細なお心遣いを持ち合わせている方である事が徐々に分かってきて、いつの間にかこのお店のカウンターは私にとって心地よい止まり木の1軒になっていました。
先日も、とある会議の懇親会と2次会が一段落し、せっかくだからとひとりでスナックFのドアを開けたところ、目の前に座っていたのは宮島さんと、もうひとり私も親しくさせて頂いている蔵元O君。
ふたりの世界のお邪魔をしてはいけないとは思いつつ、すぐさまふたりの隣の席に陣取り、楽しい会話の仲間入りをさせて頂きました。
スナック通の玉袋筋太郎が語るスナックとはまたひと味違った楽しみがこのお店にはあります。