高校時代は今でも印象に残る個性的な先生が数多くいましたが、政治経済のT先生もそのひとりです。
授業という枠での「政治経済」を越えて、いわゆるナマの「政治経済」の見方を教えてくれていたのだと、今となってはよく分かります。
ある時は政治経済関連の100冊の本が印刷された紙を配って、「この本をすべて買いなさい。100冊買えばもしかしたら1冊読むかもしれないが、買わなければ1冊すら読むことはない」、この教えは今でも私の心の拠りどころになっていて、買うか買わないか迷った本は片っ端から買うことにしています。
なので書架は本で溢れているのですが・・・。
そのT先生が定期試験で出した問題。
「新聞の読み方を書け。」
その時の試験は、何とたったこの1問、そしてたったこれだけの文章でした。
正解は、客観的に書かれていると思い込んでいる新聞にも実は各紙にイデオロギーがあり偏向性がある。
であるから、それをしっかりと踏まえた上で読む事こそ肝要である。
書き方はどうあれ、それに近い内容が書かれていれば合格点がもらえました。
それを、問題の意味を履き違えて、私のように必死に優等生のフリをして、「新聞は社説から読みます。そのあと経済面・社会面を読んで、チラッとスポーツ面にも目を通して、テレビ欄はあまり読みませんが時々参考にします」などという、バレバレの嘘を書いたりすると・・・。
今でも忘れません。
返ってきた答案用紙には100点満点中「9点」の数字が光っていました。
でもこの設問から学んだ教えも、その瞬間から脈々と自分の中で息づいてきた事が、社会に出てから理解できました。
余談ですが、大学生の時の中国語の試験で、これまたさっぱり問題が解けず、苦し紛れに「四面楚歌。援軍不来。我敗退也。」と書き込んで、あわよくばこのウイットに点数をくれるのではないかと期待していた答案に書き込まれていたのは、「ご愁傷さまです」という教授のたったひとことでした。