冬も本番となり、いよいよ仕込みの最盛期を迎えています。
当社の「純米しぼりたて生原酒」も年内の発売を目指して、もろみが順調に育っているところです。
そんな中、今日は日本酒ができる原理を簡単に説明したいと思います。
今人気の池上彰さんの「そこからですか?」(週刊文春)ではありませんが、初めての方にも理解できるようにお話し致します。
そもそも日本酒に限らず、お酒のアルコールはどうやってできるのでしょうか?
これは分かり易く言うと、「糖分(ブドウ糖)」を、微生物である「酵母」が食べて、「アルコール」と「炭酸ガス」というウンチに変える、そう考えて下さい。
これを「アルコール発酵」と呼びます。
<アルコール発酵とは>
糖分(ブドウ糖)→ アルコール/炭酸ガス
↑
酵母
さて、続けます。
日本酒の原料はお米です。
ではお米の中に、アルコール発酵に必要な「糖分」は存在しているでしょうか?
お米をかじっても甘味がない事からも分かるように、お米そのものには糖分はありません。
つまり、糖分がない状態のままではアルコール発酵は不可能という事になります。
それではどうやってお米から糖分を発生させるのでしょう?
ここで大切な役割を担うのが「麹菌」です。
お米の主要な成分として「デンプン」があります。
このデンプン、実はブドウ糖がいくつも鎖状に繋がった物質です。
すなわち、ブドウ糖がいくつも連なったデンプンの、その鎖を断ち切ってしまえば、一個一個のブドウ糖に分解されるのです。
この「デンプンをブドウ糖に分解する」のが、麹菌が生成する「糖化酵素」と呼ばれる物質です。
このように、お米の主成分であるデンプンをブドウ糖に分解する働きを「糖化」といいます。
<糖化とは>
米中のデンプン → 糖分(ブドウ糖)に分解
↑
麹菌が生成する糖化酵素「アミラーゼ」
以上でお分かりの通り、日本酒は「糖化 → アルコール発酵」という二段階を踏むことにより、原料のお米からアルコールの生成が可能になるのです。
もう少し掘り下げます。
日本酒の仕込み中、タンクには以下のものが投入されています。
・麹米
・掛米(ただ蒸しただけのお米)
・水
・酵母
同じタンクに麹米(=麹)と酵母が両方入っていますので、「糖化」と「アルコール発酵」が同時に進行します。
これを「並行複発酵」といい、日本酒製造の大きな特徴のひとつとなっています。
日本酒の「並行覆発酵」は、同じタンクの中でまず「糖化」が進むため、初期の頃は甘さが先行します。
「糖化」によりブドウ糖が多量に生成されると、今度は「アルコール発酵」がどんどん進行するので甘さが減少し、それに比例してアルコール度数が上がり始めます。
そして目指す甘辛度(=日本酒度)やアルコール度数、さらには酸度やアミノ酸度等、もろもろの要素を総合的に判断した上で、最終的に搾る時期を決めるのです。