今年から期間限定で発売を開始した「登水(とすい)・生酒」、「純米酒」「吟醸酒」2種類とも、おかげ様で大変好評を頂いております。
柔らかく優しい「純米酒」、香り高くなめらかな「吟醸酒」、どちらも目指す酒質となった事もあり、以前も書きましたが信頼する酒販店様数社のご提案を受けて、今年は加熱処理をしない「生酒」の状態での発売に踏み切りました。
そしてどうせなら、搾ったそのままの味わいをお楽しみ頂きたいという思いから、アルコール度数を調整しない「原酒」のままの状態を残しました。
正直なところ、特に「原酒」で出荷したことに対しては「強すぎる」というご批判も覚悟していたのですが、お召し上がり頂いたお客様からは「飲んでみて、原酒のまま出したい気持ちがよく分かった」という多数のお声を頂き、大変励みになっています。
昨年度の「登水」は搾るまで苦しみの連続でした。
酵母が言うことを聞いてくれなくて、清酒製造というのは言ってみれば微生物がいかに気持ちよく活動できる環境を整えるかという事に尽きるものですから、酵母が思い通りにいかないというのは大変な問題なのです。
昨年は酵母の変調で、予定した日数が経ってもアルコール度数が上がらずに、しかしお構いなしに「酸」や「アミノ酸」といった酒質を左右する大切な成分は徐々に増えていくものですから、搾る時期を含めてもろみ管理に大変苦労をしました。
そんな思いを経ているので、今年は納得の行く経過で思い通りの酒質の「登水(とすい)」が生まれた事がことさら嬉しく、ぜひ皆様に飲んで頂きたい思いでいっぱいです。
冷蔵保存が必要な「生酒」ではありますが、特に「純米酒」の方はその特徴である柔らかさを存分に楽しんで頂きたいので、お召し上がり頂く際はあえて冷蔵庫から出してしばらく置いて、少し温度が上がったものをお楽しみ頂きたいと思います。
まさしくお米を思わせるふっくらとした味わいが舌の上に広がって、「純米酒」ならではのおいしさをご堪能頂ける事と思います。
常温でもおいしいと思いますし、ぬる燗にしてもいけますよ。
「生酒」をお燗するなんて「えっ」と思われるかもしれませんが、そういったおいしい飲み方のご提案も積極的に行なっていきたいと思っています。