2008.12.20
前回、酒造好適米について触れたので、その延長で今回は精米について触れたいと思います。
「精米」とは、玄米の表層や、表層の先端にある胚芽に多く含まれる、清酒を製造する上で不必要な成分を取り除く作業です。
具体的にはタンパク質・脂肪・灰分・ビタミン類がそれに当たります。
ではそれぞれの成分が、どのような悪影響を与えるのか説明します。
まずタンパク質。
前回も説明した通り、米中のタンパク質は、麹菌が生成する酵素(酸性プロテアーゼ)によってアミノ酸に分解されます。
アミノ酸は、酵母の栄養分となるとともに(酵母によって清酒の香気成分である「高級アルコール」に変わる)、アミノ酸は清酒の大切な旨味成分にもなります。
しかし、このアミノ酸が多過ぎると、清酒の雑味となってしまったり着色の原因となります。
脂肪もまた然りで、必要以上に存在する事でお酒の香りや味を劣化させます。
続いて灰分ですが、「灰分」とは、有機物を完全に焼いたあとに残る不燃性の無機物のことを指します。
玄米中の灰分としては、主にカリウム・リン・マグネシウムの3種類が挙げられます。
これらの成分は、ビタミン類とともに、麹菌や酵母の増殖には必須の存在ではあるのですが、必要以上に多くなるとそれらの増殖を過剰に促進させてしまい、品温管理等で支障をきたし、やはりもろみの健全な育成を妨げてしまうのです。
ちなみに「精米歩合」とは、玄米の重量に対する、糠(ぬか)を削って残った米の重量の割合です。
米の「大きさ」ではなく「重さ」の比率なのでお間違いのないよう。