2008.11.15
お酒をビン詰めする前、「滓(おり)下げ」という作業を行うことがあります。
これはお酒に溶け込んでいるタンパク性の混濁成分を除去する作業です。
弊社も大仕込みのお酒で時間が立って熟成してきた場合に、酒質に応じて行う時があります。
火入れ(清酒を65℃前後に加熱して殺菌する作業)をして貯蔵したお酒は、その間に次第に透明感が悪くなり、時として薄く濁ってくる場合があります。
これは、お酒の中に溶け込んでいる糖化酵素(麹菌によって生成される。タンパク質の一種)が「火入れ」によって不溶性の物質に変性し、貯蔵中に濁りとなって出てくるからです。
この滓を沈殿させる作業を「滓下げ」といいます。
「滓下げ」の方法ですが、弊社の場合、柿シブとゼラチンといった「滓下げ剤」を使っています。
柿シブの持つタンニンはタンパク質を凝固させる力が強いので清酒中の滓を固め、そこにさらにタンパク性物質のゼラチンを投入することで、先程固まったタンパク質と一緒に絡めて、滓下げ剤自体を滓として沈殿させてしまうのです。
ただやはり、これは個々の考え方ですが、「滓下げ」は清酒中のタンパク質を除去するわけですから、酒質が多少なりとも変わることを考えれば、行わないことに越したことはありません。
最初に申し上げた通り、弊社の場合もあくまでも大きな仕込みでしかも熟成が進んだものに限定しており、吟醸クラスのものには行っておりません。
大切に醸したお酒をあくまでもその状態のままでお客様に提供する、そういう意味では「無濾過」に通じるところがあります。