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「箱男」

2024.11.02

監督の名前で必ず観る映画は多くありますが、石井岳龍(石井聰亙)もそのひとりです。

きっかけは、学生時代に新宿で観た「爆裂都市 BURST CITY」でした。

「これは暴動の映画ではない。映画の暴動だ」のキャッチコピーに惹かれて映画館に入った私は、瞬く間にこの映画の虜になりました。

それから何度映画館に通ったか、何度DVDで観たか、今はもう数え切れません。

そのあと確か池袋で観た、石井監督「爆裂都市」の前作「狂い咲きサンダーロード」。

北野武をはじめとしてその熱狂的ファンの存在で(かくいう私もそのひとりです)、日本映画の傑作として燦然とその名を残しています。

石井聰亙はその後、石井岳龍に改名します。

そしてメジャー公開された「パンク侍 切られて候」は、時代設定こそ違えど「爆裂都市」や「狂い咲きサンダーロード」を彷彿させる石井ワールドが炸裂し、興奮が冷めやりませんでした。

そしてこのたび公開された「箱男」です。

安部公房が書いた原作すらも、あまりに難解で読み解けなかった私にとって、結局のところ映画も極めて難解で、1度観た限りでは理解する事が出来ませんでした。

ただ、小説「箱男」が持つ、構成の「ねじれ」の魔力、超現実主義として描かれる物語の破壊力が、映画でも共通している事は十分に感じ取る事が出来ました。

観終わって「理解できなかった事」が、逆説的に「理解できた事」に繋がるのだと、自分勝手な解釈で誤魔化しています。

27年前、ドイツでのクランクイン前日に、資金調達が出来ずに撮影中止になった同作を、その悔しさを糧にして、同じ永瀬正敏主演でついに蘇らせた石井岳龍。

大好きな石井岳龍のその執念に応えるためにも、また映画館で、そしてBlu-rayで、この難解な「箱男」に対峙し直したいと思います。