写真上:ホール入口 (頼むとボランティア・スタッフの皆さんが笑顔で写真を撮ってくれます)
写真中:私が座った席から見たステージ (指揮者・コンサートマスター・ソプラノのソリストの迫力がダイレクトに伝わってきて圧巻でした)
写真下:2階後方から見たステージ (ステージ後方は後半の3曲目・4曲目でセットされた合唱団席です)
松本市で約一ヵ月に渡り開催される音楽の祭典「セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)」。
今年の目玉は何と言っても映画音楽の巨匠、あのジョン・ウイリアムズが指揮する「オーケストラコンサート Bプログラム」。
しかも1900人しかしか収容できないキッセイ文化ホールでたったの1公演のみ。
初めて知った時は驚きのあまり言葉も出ませんでした。
そして本公演は当然ながら抽選になりました。
で、外れました。
悲しみに暮れる私を救ってくれたのは、地元で旅館を経営する大親友でした。
何と、もうひとつの「オーケストラコンサート Aプログラム」の、しかもS席を2枚、プレゼントしてくれたのです。
狂喜乱舞したのは言うまでもありません。
ちなみに1992年から始まった「サイトウキネンフェスティバル松本」。
当時はチケットを取るために、長野県内に設けられた販売所に徹夜の列が出来ました。
私が過去一度だけ行ったのは、その栄えある第1回の、チケットが即日完売だったため急遽特別に公開された、小澤征爾が指揮したオペラ「エディプス王」の前日ゲネプロでした。
ゲネプロなので無料の応募制で、「当選」が記された返信はがきが届いた時は飛び上がって喜びました。
その日、2階最前列から観た小澤征爾のタクトと、ソプラノのジェシー・ノーマンの本番さながらのダイナミックな歌声は今も忘れません。
そして今回の「オーケストラ Aプログラム」。
こちらも魅力に溢れた多彩なプログラムでした。
・バーンスタイン:「ウエスト・サイド・ストーリー」より「シンフォニック・ダンス」
・ジョン・ウイリアムズ「チューバ協奏曲」
・プーランク「スターバトマーテル」
・ラヴェル「ダフニスとクロエ 第二組曲」
今回特筆すべきはすべての曲でコンサートマスター(ミストレス)が違っていたこと。
4曲目のラヴェル以外は初めてのコンマスがオケを仕切りました。
若い世代を育てるためとの事ですが、とはいってもそこはOMF。
初めてコンマスを努める3人ともが、普段は自身が所属するオーケストラのコンマスとして活躍しているので、実力は折り紙付きでした。
そして今回のコンサート、特に心を奪われたシーンが2回ありました。
ひとつめは「チューバ協奏曲」のカーテンコールにて。
超難解なチューバのソロを演奏し終えた奏者杉山康人と、指揮者のステファン・ドゥネーヴがふたりで指揮台に並び、楽譜の表紙に書かれた作曲者の名前を指差して「ジョン・ウィリアムズに拍手を!」と観客を促した場面。
客席が万雷の拍手に湧いた事は言うまでもありません。
もうひとつはメインの「ダフニスとクロエ」のカーテンコールにて。
こちらも鳴り止まぬ拍手の中、オーケストラの奏者同士が笑顔でお互いに抱き合い握手し合っていた場面。
OMFの一員として無事演奏が終了した事をお互いに称え合う姿は、我々観客の心をも新たな感動で揺り動かしたのでした。
そしてもうひとつ、特筆すべきはOMFの最大の特徴でもあるボランティア・スタッフの皆さん。
おひとりおひとりの暖かなおもてなしに心打たれる連続で、コンサートがより一層楽しい時間となりました。
今まで足を運んできたクラシック演奏会の中でも白眉とも言える、荘厳さと楽しさとに満ちた今回のコンサート。
招待してくれた大親友に心より感謝です。