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場内アナウンス

2022.10.15

先日、親しい友人がクラシック・コンサートに出演するという事で、日曜日の午後、とあるコンサートホールに足を運びました。

そのホールはオープンから95年が経過しており、約600席の館内は、歴史の重みを感じさせる重厚な風格に満ちていました。

来場されたお客様も、そんなホールに敬意を表してでしょう、気品のあるフォーマルなドレスコードの方が多く、開演前から「クラシックを楽しむ」という雰囲気に溢れていました。

開演のブザーが鳴り客席が静まり始めると、定番の注意事項のアナウンスが始まりました。
「携帯電話の電源はお切りください。マナーモードではなく、電源をオフにするようにお願い致します」

感動したのはその次のアナウンスです。

「帽子をかぶられている方は帽子をお取りください」

そうなんです。
帽子って、前の座席でかぶられていると、その分視界が遮られて、実はものすごく迷惑な事が多いんですよね。
私も実際、映画館で前の方が帽子着用のままで、「脱いでくれよ」と思ったことが何度もありました。

しかもそのホールは古いだけあって、客席がフラットで、段差がなありません。
だから、ただでさえ前の方の頭で舞台が隠れるんです。
そんな事にも配慮した「痒いところに手が届く」アナウンスに、思わず心打たれた一瞬でした。

コンサートは「フランス」をテーマに、オペラあり、ミュージカルあり、シャンソンありの、それはそれは素晴らしいものでした。
加えて、音響設備を最新にしたばかりという「音」そのものが実にきれいで、このホールがとれだけ大切に活かされているかを実感しました。
アンコールの「オー・シャンゼリゼ」では客席から自然と拍手が鳴り響き、音楽を心から堪能した2時間でした。