新型コロナによる規制が少しずつ解け、映画館での上映も再開され始めた中、「AKIRA」を22年ぶりにスクリーンで観るために、平日の最終回に近くのTOHOシネマズ上田まで足を運びました。
人気(ひとけ)の少ないガランとした静かなロビー。
チケットを買って館内に入ろうとすると、モギリ(古い?)の女性はフェイス・シールドにビニール手袋の完全装備。
差し出したチケットを受け取ることもせず一瞥だけすると、言葉もなく目の前のデジタル温度計で熱を測れと促します。
温度計がうまく作動しないでいると、ようやく小さな声で「少し後ろに下がってください」と促し、「36.2」の数字を確認すると黙って自分のブースに戻ります。
この状況下で接触を避けようとする気持ちはよく分かります。
とてもよく分かるのですが、感情の交流が途絶えた別世界に来たような違和感は拭えません。
これからどんどんこのような無機質なシーンが増えるのでしょうか。
そんな複雑な思いを抱きながら、座席に腰を落ち着けました。
ちなみに観客は私を含めて5人でした。
そしてそして、「AKIRA」は凄かった!
22年という時間を感じさせない圧倒的な映像美とストーリー展開。
そして「4K」によるビジュアルと音の驚くべき迫力。
まさに大友節全開の傑作でした。
それにしても1988年に公開されたこの映画。
2019年のネオ東京を舞台に、2020年に開催予定の東京オリンピックが開催不可能になるという、あまりに現在を予知し抜いた舞台設定にも鳥肌が立ちますよね。
私はDVDも持っていますが、「4K」版を映画館で観てよかったとつくづく思いました。
そして興奮した勢いで「ブルーレイ 4Kリマスターセット」まで注文してしまいました。
写真は2012年に開催された「大友克洋 GENGA展」(これも凄かった!)に展示されていた、映画に登場する「金田バイク」のレプリカです。