2020.04.11
先週に続いて本の話です。
旧知の友人でもある女流官能小説家、深志美由紀(みゆき・みゆき)。
彼女が新境地を開いて、このたびホラー小説を出版しました。
「連鎖怪談 怖い話を集めたら」
結論から言います。
めちゃくちゃ面白くて、そして怖い。
身びいきなしです。
いわゆる視覚的な怖さではなく、心の内をじわじわと抉(えぐ)り取っていく精神的な怖さで、読者のメンタルにぐいぐいと食い込んできます。
大きなストーリーの中で一話完結の連作集となっているので、読み進めるごとに怖さがぐんぐんと加速して、その怖さがクライマックスで炸裂します。
息をもつかせぬ面白さで、私も深夜に一気読みでした。
振り返れば彼女の初期作品「はつ恋」なんかも、実はホラー色が滲み出ていて、あれから約10年、今まさに彼女の隠された才能が見事に開花した、そんな事を感じさせる快作でした。
集英社文庫なので手軽にサクサクッと買えます。
もしよろしければご一読を。