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佐藤優の魅力

2018.12.22

東京地検特捜部によるカルロス・ゴーン氏の再逮捕が話題になっています。

そのニュースを見て、思わず書架から引っ張り出して再読したのが、佐藤優著「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」です。

佐藤優氏は外務省でロシア担当だった2000年、政治家の鈴木宗男氏との関係に絡む容疑で東京地検特捜部に逮捕されました。
その後、500日以上に渡る拘留と特捜部による取り調べの様子を詳細に記したのが本書です。

当時の日本とロシアを巡る政治情勢、それを取り巻く外務省(登場人物はすべて実名)の対応、そして拘置所での特捜部とのやり取りが圧倒的な筆致で描かれています。

これを読めば特捜部とは何かがよく分かります。
そしてこの本は、ノンフィクションの魅力・凄みを存分に体感できる一冊です。

佐藤優氏は、同志社大学神学部大学院を卒業し、チェコの神学を学びたいがために外務省に入ったという経歴の持ち主です。

結局、執行猶予付きの有罪判決を受けた佐藤氏は外務省を退職し、その後、執筆や講演活動に専念して現在に至ります。

彼の哲学的思考とインテリジェンスに裏付けされた数々の作品は知的好奇心に富み、どの本も一気読みの面白さです。
彼の新作が出版されたのを知ると、その都度購入してしまう毎回です。
ただ、佐藤氏的に言えば、ヘーゲルをなかなか読み解けない私はまだまだだと凹んだりもしますが(笑)。

ちなみに彼はロシア担当だっただけあって相当な酒豪で、ウオッカを何本飲んでも酔わないそうです。
その反面、執筆の際は甘味を食べまくったり、大の猫好きだったりと、楽しい人物像にも事欠きません。

それと「週刊新潮」のカラーページで、西原理恵子と共載している「まさる&りえこの週刊鳥頭ニュース」は必読です。