東京の定宿のホテルに泊まると後日メールでアンケートが送られてくるので、出来るだけ答えるようにしています。
特に文章で感想を書き込む欄には、素敵なサービスを受けた時はスタッフの名前も添えて、その時の場面を出来るだけ詳しく回答するようにしています。
ある時、親しいスタッフの方に「あのアンケートって役に立っているんですか?」と聞いたところ、お褒めの言葉があった時はすべてバックヤードで掲示されるとの事で「大いに励みになっています」と教えられました。
また逆に、ちょっと不愉快な思いをした際も、感情的にならずに極力客観的な文章で伝えるようにしています。
それは期待の裏返しである事を分かってもらえればと思っていると、次の訪問の際はしっかりと修正されているからさすがです。
ところで、大学生の息子が偶然同じ系列のホテルのメインダイニングでバイトをしています。
ある日息子から「この方、知ってる?」というメールが送られてきました。
そこには上司の名前と一緒に私の名刺の写真が添えてあり、「前のホテル(私の定宿のホテル)でお父さんに注意された時にもらった名刺だって」とのひとこと。
その瞬間、その時の様子がすぐに脳裏に蘇りました。
場所は朝食のバイキング・レストラン。
ただしいつもは席に座ると飲み物だけは希望を聞いて持ってきてくれ、それが朝の優雅なひとときに繋がるはずなのに、今回はそれがない。
近くにいるスタッフに聞いてみると「飲み物もすべてセルフサービスにさせて頂きました」との返事。
それだけのサービスがあるだけで快適さや格も随分と違うのにと残念がっている私のすぐ隣で、別のスタッフが座ったばかりの外国人の夫妻に「お飲み物はどうしますか?」と聞いているではありませんか。
百歩譲ってそれは外国人ゆえのサービスであったとしても、私はそういう、客を見て変える、むらのある接客が大嫌い。
しかもそれはたった今「廃止しました」と言われてがっかりしている私のすぐ横で広がっている光景だし。
すぐさま黒服のスタッフを呼び、経緯を説明して、「このレストランに楽しみに朝食を取りに来る客の気持ちを裏切らないサービスを心掛けてほしい」と伝えました。
その時に、言いっぱなしにならぬよう名刺を渡した彼が、別のホテルでバイト先の息子の上司になっていようとは。
名刺の写真を拡大してみると、私の名前の横に彼の手書きでその時の様子がひとこと走り書きされていました。
私は決して怒ったのではなく、より素敵な空間になるよう励ましたつもりだった気持ちがきちんと伝わっているのが分かって、今さらながらほっとした次第です。
それにしても縁ってすごい・・・。