福田和也が好きです。
慶応義塾大学環境情報科教授にして文芸評論家。
彼の膨大な知識を駆使しての評論や文学批評や対談は、読むたびに己の知的好奇心を喚起されます。
初めて氏と会ったのは今から12年前。
上田市で開催されたとある式典で講演をされた氏に、そのあとの懇親会の場で勇気を出して話し掛けたのがきっかけでした。
憧れの福田氏にお近づきになるにはどんな話題がいいのだろうと散々悩んだあげく「戦後生まれの作家では中上健次が大好きなんです」といきなり話し始めた私に、以外にも氏はすぐに耳を傾けてくれて、それから会話を交わした数分間の感激といったら。
しかも嬉しい誤算は続いて、何とそのあと、二次会を兼ねた食事のご相伴に預かったのです。
福田氏がとんかつ好きなのはよく知っていましたが、その時行ったのはやはり上田を代表するとんかつ専門店。
とんかつ、メンチカツ・・・次々にたいらげていくその健啖家ぶりは健在で、しかも翌日も同じお店に行ったというからビックリ。
そんな福田和也が「週刊SPA」で連載中の、坪内祐三との対談「これでいいのだ」をまとめた単行本「羊頭狗肉」。
「週刊SPA」は、このコーナーと佐藤優「インテリジェンス人生相談」そしてマンガ「新ナニワ金融道」を読むためだけに買っていると言っても過言ではありません。
そんな「羊頭狗肉」での福田和也の発言。
「とんかつには熱燗でしょう」
我が意を得たり!
同感です!
とんかつに熱燗?
が、これが合うんです。
熱さと熱さ、旨みと旨み、とんかつと熱燗とが絡み合って次のひと口へと誘(いざな)います。
個人的には、最初にビールを飲まずにいきなり熱燗のほうがもっといい。
しかもとんかつはソースでなく塩です。
日頃から料理にも一過言ある福田和也、このひとことでますます好きになりました。