元外交官にして文筆家の佐藤優が滅法面白いです。
その圧倒的な筆力と、同志社大学神学部大学院卒という経歴からも来るインテリジェンス溢れる文章は、鈴木宗男事件で自ら逮捕された顛末を描いたデビュー作「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」から今日まで、一貫して変わることはありません。
そんな佐藤優の最近文庫化された「紳士協定-私のイギリス物語―」、こちらも一気読みの面白さでした。
著者が外務省に入省して2年目に英語とロシア語の研修で訪れたイギリスで、ホームステイ先の少年との交流を描いたドキュメンタリーです。
いつも通り知的好奇心に溢れる内容に加えて、この作品のもうひとつの魅力は随所に登場するロシア料理やイギリス料理の描写です。
レストランやホームステイ先での食事の事細かな描写は、まさに行間から匂いや味が飛び出してくるようで、空腹の時は要注意です(笑)。
現に私はこの作品を読んだあと、イギリスの名物「フィッシュ アンド チップス」がどうしても食べたくなって、この料理を出すお店に飛び込んでしまったほどです。
カラリと揚がった魚の白身とポテトのフライ。
これをいつもならタルタルソースで食すのですが、この日は作品に書かれた通りに、別添えのモルトビネガーをたっぷりとかけて、熱々をガブリ。
タマりません。
結局この日は「フィッシュ アンド チップス」ひと皿で満足してお店を出てしまいました。
次なる目標は、やはり作中に登場するイギリス名物「キドニー(腎臓)パイ」。
内臓料理好きの私としてはぜひチャレンジしたい料理です。
ただし普通だったらアンモニア抜きをするキドニーも、イギリスではそんな手間暇はかけずに調理するので筆者はアンモニア臭くて食べられないと嘆いていました。
どなたか、これを食べられるお店、知りませんか?