親しい方から素敵なプレゼントを頂きました。
フランスはブルゴーニュ産のウォッシュチーズ「エポワス」。
熟成中に塩水やマールやブランデーで洗うウォッシュチーズ、はっきり言って臭い!です。
中にはくさやに匹敵するような「芳香」を発するものもあります。
これぞまさに発酵食品の醍醐味といった味わいです。
そんな個性あふれるウォッシュチーズ、中でもこの「エポワス」はその代表格で、私は大好物です。
この日も、冷蔵庫で保存していた「エポワス」を食事の数時間前に取り出して、しばらく常温で放置。
そうすると、表皮に包まれた中の部分が流れ出さんばかりにトロリと柔らかくなり、立ち昇る「香り」も一層強まります。
ほど良く熟成感が増したところをスプーンに絡めてすくい取って、パクリとひと口。
臭い!
そして旨い!
口中に残った「芳香」をお酒で洗い流します。
合わせるお酒はブルゴーニュの赤ワインが定番ですが、実はこれ、日本酒にもよく合うんです。
旨みや酸が乗った、繊細かつ芳醇なタイプの日本酒は、ウォッシュチーズと抜群のマリアージュで、こんな時は日本酒の無限の可能性を改めて感じ取ります。
本当は全部食べてしまいたいのを我慢して、残りの「エポワス」は再度冷蔵庫に保管。
数日後にはさらに熟成を増していることでしょう。
余談ですが、数年前に長野県酒造組合の青年部に当たる「若葉会」で行った、毎年恒例の研修旅行。
この年は滋賀県を回り、夜は滋賀県酒造組合の皆様が大津プリンスホテルで懇親会を開催して下さいました。
その中で「今日は長野の皆さんのために奮発して特別に地元の名物を追加しました」と紹介されて出てきたのが「鮒(ふな)寿司」。
ご存知のように、鮒と米を塩とともに長期熟成した発酵食品です。
これがまた旨いのなんの。
中には、匂いで食べられない方もいらっしやいましたが、私はそれをもらい受けて食べてしまいました。
また、妻とともに2年続けて訪れた紀伊半島の突端の和歌山県新宮市。
入った鮨屋で見つけたさんまのなれずし。
あまりの長期熟成で形が崩れ、原型を留めていません。
その白い液状と化した、発酵臭漂うなれずしを箸の隅にちょこんと付けて口に含み、日本酒で流し込む旨さといったら。
臭みと旨みは紙一重。
発酵食品のおいしさを今日も堪能する私でした。