親しい友人と久々に東京で会食しようという事になりました。
店選びを任され、迷うことなく、敬愛する城悦男氏がオーナーシェフを努める「フレンチレストラン ヴァンサン(VINCENT)」を予約致しました。
この友人と「ヴァンサン」で食事をするのは3度目。
彼もこのお店をいたく気に入ってくれ、テーマだけを伝えてあとの細かいお皿は城シェフにお任せ、というのがいつものスタイルです。
この日のリクエストは「ジビエ」。
いよいよ本格的なジビエの時期となり、シェフがどんな食材をどのように調理して出してくれるのか心が躍ります。
さて当日。
友人と共に席に着き、まずはワインを選ぼうとしたところ、新しく入ったメートルデトルの豊田さんが「今日はシェフが既にワインを用意しております」とひと言。
それが写真にもある「エシュゾー1995ヴィエイユ・ヴィーニュ ドメーヌ モンジャール・ミニュレ」!!
ブルゴーニュの極上の造り手による極上の1本です。
「ジビエ」がテーマなのでブルゴーニュの赤を選ぼうとは思っていたのですが、このような素晴らしい心震える1本をシェフ自らセレクトして頂いたことに、ただただ感激の思いです。
果たしてグラスに注がれたそのワインは、最初の1杯からブルゴーニュのトップクラスならではの風格を漂わせ、しかも時間とともに刻々と変化する香りと味わいは我々を心身ともに陶然と酔わせてくれました。
途中、料理の手を休めては城シェフがテーブルまで足を運んでくれ、料理・音楽・芸術、さまざまな話題で花が咲き、これもまたグランメゾンならではの贅沢な時間の使い方に酔いしれました。
ちなみにメインのジビエ料理は「鴨」。
野生の鴨とフォワグラがミルフィーユ調にサンドされ、その上には旬の松茸が惜しげもなく乗り、「ソースの城」ならではの極上の赤ワインソースが掛かっています。
付け合せはひとつひとつ丁寧に剥かれた栗のタルト。
まさにクラシックフレンチの王道を行く素晴らしいひと皿でした。
ひとたびメディア等で有名になると厨房に入らなくなるシェフも少なくない中、城悦男シェフは今日も自ら陣頭指揮を取りひと皿ひと皿心を込めて腕を振るい、そして合間にはテーブルを回ってお客様との交流を大切にされています。
そんな城シェフの人間的な魅力も含めて、今回も「ヴァンサン」の料理と空間とを、友人とともに存分に堪能したひとときでした。