昨夜から今朝にかけて、上田の地にもこの冬初めて雪らしい雪が降りました。
早朝まずカーテンを開けて真っ白に光る庭を見て早速着替え、雪かきを始めました。
会社の入口、駐車場、周辺の道路等、念入りに雪をかいているとかなりの重労働になり体も火照ってきます。
今日の雪は紙雪で水を含まない軽い雪だったので、思ったよりも短時間で終えることが出来ました。
個人的には雪かきが大好きです。
ただひたすらに肉体を酷使する快感といいますか、小説家の中上健次ではありませんが、単純肉体労働に没頭する喜びみたいなものをいつも感じながら体を動かしています。
ですから大雪になればなる程、さあ雪かきをやるぞ!という闘志に火が付くのです。
ちなみにひと口に信州といいますが、長野県の東信地区にあたる上田地域は比較的降雪量が少ない事で知られています。
上田からたった40kmしか離れていない長野市はかなりの雪が降りますが、大雪の長野市から上田市に戻るとそこは雪ひとつない快晴、なんて事もざらです。
経験でいくと、どうやら途中の戸倉上山田温泉がその境目のようです。
ここを抜けると雪がピタッと止み、道路もきれいに乾いていて、その豹変振りに驚かされる事がたびたびです。
さて、雪が降り本格的な寒さが訪れると、お酒の仕込みもより一層はかどる季節となります。
それは日本酒製造の特徴のひとつに「低温発酵」が挙げられるからです。
もろみ中の酵母が最も活性を示すのは25℃前後です。
ただ、日本酒をこの温度で仕込んだ場合、日本酒は「糖化」(麹菌が米中の「デンプン」を「ブドウ糖」に分解する)と「発酵」(酵母がその「ブドウ糖」を「アルコール」に変える)が同じタンクで同時に進行する「並行複発酵」ですから、品温が高いと酵母の元気が良過ぎて糖化と発酵のバランスが保てず、著しく酒質に影響してしまいます。
ですから日本酒製造では、仕込みの温度を10℃前後の低温に保ち、常に糖化と発酵のバランスを見ながらゆっくりともろみを育てる必要があるのです。
ただし今はサーマルタンクの発達や蔵そのものの全館温度管理化が進んで、昔ほど外気による仕込みへの影響は出なくなっています。
しかし逆に言えばそのような設備が進んでいるという事実そのものが、仕込みにおける温度管理の大切さを示していると言えるでしょう。