人間ドックをきっかけに約10kg減量しました。
その時の出来事です。
その日受けた検査の結果、中性脂肪やコレステロールをはじめ多くの値が標準値を上回っており、担当の先生との問診で、とにかく減量するようにと言い渡されました。
「減量かあ・・・難しいなあ」と思っていたこちらの思いを見透かすように先生は、「何か目標があった方がやりやすいでしょうから3ヵ月後に再検査しましょう。それまでにしっかりと痩せてきて下さい」とピシャリ。
そして決め言葉として「まだ健康のうちに減量しましょう。何かあってからでは遅いですよ」、確かにその通りです。
その晩から、今から思うと自分でも驚くほど節制して減量に励みました。
妻にも協力してもらい、基本的には徹底したカロリー計算による食事制限を行ないました。
そうすると1週間ほどでみるみるうちに効果が出始め、そうなると俄然面白くなってきて、日々減少する体重計の目盛りを励みに、3ヵ月後には8kgの減量に成功しておりました。
さて再検査の日。
検査を終えていよいよ問診です。
名前を呼ばれて診察室に入ると、人間ドックの時とは別の、田村正和を彷彿させる中年のダンディなドクターが座っていました。
「さて、ではまず検査の結果を診ましょう」、低い声でそう言いながら示された検査結果は、嬉しい事にほぼすべての値が標準値に戻っていました。
ただひとつ、γーGTPを除いて。
すかさず先生もそれに気付いて「γーGTPがかなり高いね?」と問いかけてきます。
私としては、それは仕方がないだろうという思いと共に「いえ、実は私はお酒の仕事をしているので」と言い訳をしたその瞬間、先生がひと言。
「二流だな」
「はっ?」
「二流だと言ってるんだよ」
先生の少し怒気を含んだその言葉の意味が分からず、しばし唖然。
すると先生が言葉を継いで「仕事を言い訳にして体調管理も出来ない者を二流と言うんだ!」
返す言葉も見つからず、謝っても仕方がないのに「すみません」と、その言葉を発するのが精一杯でした。
でも確かに言われてみればその通りで、それまでは、お酒に毎日囲まれているのだからγーGTPの値だって多少高くて当たり前、そう思っていた自分が恥ずかしくて、思わず下を向いてしまいました。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、先生は「さて、それで君はこの3ヶ月で何キロから何キロになったんだ?」と核心に迫る質問をしてきます。
私は少し気を取り直して、でもたった今受けた衝撃を消す事ができずに謙虚な面持ちで「はい、74.8kgが67.4kgになりました」。
そう答えた瞬間「おめでとう!」
「はっ?」
その瞬間、先生が右手を差し出して私に握手を求めてきます。
「よく頑張った!」
ダメだ、この先生、カッコ良過ぎ。
恐る恐る手を握り返しながら顔を上げると、先生はにこやかにそしてダンディーに笑っていました。
それを機に、体重と健康管理にはしっかりと気を遣うようになりました。
おかげ様で体重のリバウンドもありません。
加えて言えば、γーGTPもほぼ標準値まで戻りました。
やればできるじゃん、なんて自分を励ます毎日です。