敬愛する、広島県の株式会社天宝一の村上社長から本年度の新酒が贈られて参りました。
「天宝一 八反錦純米生原酒」がその1本です。
村上社長は、私と同年代の熱き五代目です。
数年前に初めて知り合った時から、何かに付けまだまだ未熟な私を叱咤激励して下さり、殊にお酒の製造に関しては、自分の酒造りに賭ける「思い」も含めて私に伝授して下さっています。
ある年はわざわざ広島県までお招き頂き、それこそマンツーマンで1日掛けてご自身の蔵をご案内頂いて、製造技術を惜しげもなく教えて頂きました。
また、村上社長を慕って集まる若き蔵元の皆様も本当に魅力ある情熱家ばかりで、この方々との出会いが私の大きな財産のひとつとなっています。
今回送って頂いたお酒も、新酒が搾れたこの時期に合わせて「わしも頑張っとるけ、和田はどうじゃ?」という暖かな無言のメッセージです。
さて、早速その晩開けた「天宝一」の新酒、ひと口飲むと・・・昨年よりも更に力強さが増して、まさに村上節全開の1本です。
聞けば今年は若い新人ふたりが蔵に入っているのだとか、確実にパワーアップしています。
まず口に含むと、青竹を割ったようなフレッシュな香りがいっぱいに広がり、そのあと柔らかく厚みのある旨みと、そしてシャープな酸とがバランスよく絡んで口の中で踊ります。
酸がきれいに効いているのでキレよく飲み飽きせず、つい次の一杯に進んでしまいます。
この日の夕食のメインはカキフライだったのですが、これまたこのお酒に合う事といったら。
カキの磯を思わせる複雑な味わい、そしてフライの油、それぞれがこの新酒の力強さに見事にマッチして、気が付いたらあっという間に半分以上がカラになっておりました。
1日で飲み切ってしまうのはもったいないとようやく自制が働き、今日はここまででお預け。
また今晩、今度は少し温度を変えて、そして違う肴に合わせて味わってみたいと思います。
村上さん、今年もありがとうございます。
村上さんの心意気、確かに受け取りました。
私もぜひ皆様にご満足頂けるような新酒を出したいと思います。
差し当たっては年末予定の「純米しぼりたて生原酒」です。