先日出張で東京へ行った折、日頃から公私ともども大変お世話になっている方からランチのお誘いを頂きました。
喜び勇んで、待ち合わせ場所のJR有楽町駅で落ち合いそこから歩いてほんの数分、連れていって頂いた先が・・・思いも寄らぬ感動の一軒でした。
有楽町「アピシウス」。
フランス料理界を代表する老舗のグランメゾンです。
同じ銀座・有楽町地区では「レカン」「ロオジェ」などと共にいつか一度は行きたいと思っていた憧れのお店だっただけに、まさかその日が今日訪れようとはと、地下へと続くお店の入り口に立った時は夢見心地でした。
階段を降りてエントランスから案内されるがまま、曲がりくねった長い回廊をゆっくり歩いた先に、華やかなメインダイニングが登場します。
途中の廊下やバーラウンジ、そしてメインダイニングに飾られた絵画や彫刻を眺めながら、これが噂に聞くユトリロ、シャガール、ワイエス、ロダン等々の本物かと、おのぼりさん状態で思わず回りをキョロキョロしてしまいました。
料理は今日はホストの方に完全にお任せ。
メニューは以下の通りです。
・オーベルニュ地方 フルム・ダンベールチーズのムースリーヌ 初夏のフルーツ添え
・海の幸のソーセージ仕立て アネットの香り
・茹でた北海道産ホワイトアスパラガス オランデーズソース
・和牛頬肉のプレゼ ブラックオリーブ風味 自家製のヌイユ添え
・デゼールとコーヒー
ちなみにホワイトアスパラガスはアラカルトメニューからの追加でした。
ここに、ワインを軽く飲みましょうということで選んで頂いたのが「ピュリニーモンラッシェ・プルミエ・クリュ・ピュセル 2002 ドメーヌ・ルフレーヴ」。
まさか今日ルフレーヴを飲めるとは思わなかったので感激に輪が掛かりました。
総じての感想ですが、やはり素材とソースとのマリアージュを大切にしたクラシックフレンチは素晴らしいと改めて実感致しました。
最近はどちらかといえば、素材重視のシンプルな調理法でソースも軽めの、いわゆる現代風フレンチが主流となっています。
しかし好みから言えば、クラシカルなソース(あるいはそれを発展させたソース)が、やはりしっかりと調理された食材と絡み合って真価を発揮する重厚なひと皿が私は好きです。
語弊を承知で言えば、フレンチなのかイタリアンなのか区別がつかなくなっている皿も多くなっている昨今だからこそ、クラシックなフランス料理とその進化にはなおさら新しい発見と魅力を感じます。
それらにしても店内が満席なのには驚きました。
不景気とはいっても魅力あるお店にはちゃんと人は集まる、不景気を言い訳にしてはいけない、そんな事を肝に銘じました。
ふたりでおいしい料理と楽しい会話とで過ごしたあっと言う間の2時間半、最後のプティフール(小菓子)に至るまでグランメゾンの魅力を堪能致しました。
食事を終えて地上に戻ると、燦々とした日差しが体に降り注ぎ、現実に戻った頭の中で、先程の午餐のひとときが夢のような時間として脳裏に焼きついたのでした。